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『バチカン』(読書メモ)

郷富佐子『バチカン:ローマ法王庁は、いま』岩波新書

ヨハネ・パウロ二世からベネティクト十六世への移行期にバチカン担当だった郷氏(朝日新聞社)のレポートである。

今は、フランシスコ法王となっているので少し内容は古いのだが、バチカンや法王についての理解が深まった。印象に残ったのは次の2点である。

まず、カリスマ的リーダーであり、26年以上も法王として活動したヨハネ・パウロ二世の活動。

反ユダヤ主義、キリスト教会の分裂、十字軍、ガリレオ・ガリレイの宗教裁判など、カトリック教会の犯した過去の過ちを謝罪する旅を続けたという。

「ときには「そこまで謝らなくても」「歴代法王を愚弄し、信者を混乱させる行為ではないか」という反発がパチカン内にもあったという。しかし、カトリックに十字軍をはじめとする暗い過去や矛盾の数々があったことは事実だ。異宗教、異人種、異文化との摩擦が多くの戦争と悲劇を生んできたことも、自らの経験から身にしみてわかっている」(p.117)

謝罪するということは前を向いて進むための第一歩である。しかし、それがなかなかできないのが人間だ。この点において模範を示したヨハネ・パウロ二世はさすがである。

もう一つ心に残ったのが1959年の「第二バチカン公会議」。公会議とは、教会の全体会議であり、ここで決定したことは教令として公布され、信者はそれにしたがうことが義務づけられているらしい。

第二バチカン公会議が画期的だったのは、カトリック以外のキリスト教会や他宗教を尊重する姿勢を明示した点である。

「カトリック教会は、これらの諸宗教の中に見いだされる真実で尊いものを何も排斥しない」「他の諸宗教の信奉者との話し合いと協力を通して、かれらのもとに見いだされる精神的、道徳的富および社会的、文化的価値を認め、保存し、さらに促進するよう勧告する」(p.219)

文化間、宗教観の対立が激化する今、互いを尊重する姿勢が世界に求められている。いろいろな問題を抱えるバチカンであるが、上記のような活動は見習うべきではないか、と思った。



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「チェック型」と「対話型」の振り返り

先日、某研究会にて管理会計の先生から、業務の振り返りやレビューには2タイプあることを教えてもらった。

第1のものは、「診断的」振り返りであり、あらかじめ設定した目標と現実にギャップがあれば、それを是正するものである。要は「チェック型」の振り返りといえるだろう。

もう一つは、「インターラクティブ型」の振り返りであり、現場の意見やアイデアを吸い上げて、新しい戦略につなげるものである。これは「対話型」の振り返りと言えそうだ。

「チェック型」の振り返りは重要だが、それだけだと学びが少ないように思う。「チェック型」と「対話型」を組み合わせることで、学習する組織を作ることができるのではないか、と感じた。

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