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『ジャクリーヌと日本人』(読書メモ)

ヤーコブ(相良守峯訳)『ジャクリーヌと日本人』岩波文庫

舞台は、1920年代のドイツ、ベルリン(ちなみに、大恐慌の真っただ中)。

音楽家夫婦(私とジャクリーヌ)と、その家に間借りしている日本人研究者「プロフェッサー・ナカムラ」との交流が描かれていて、なかなか味わい深い作品だった。

貧乏生活を強いられる音楽家夫婦に対し、日本から留学に来ているナカムラは羽振りが良い。

それに加え、ナカムラの人間性に好意を持つ妻ジャクリーヌにイライラする音楽家は、「ケッ、黄色人種のくせに」という差別感情を抱く。しかし、彼とつきあっていくなかで、徐々にナカムラの精神性に感銘を受けるようになるという物語。

特に、関東大震災によって日本にいる家族が大変なことになっているにもかかわらず、平静を保つナカムラの態度が「ザ・サムライ」という感じで印象ぶかい。

なお、ナカムラのモデルとなった先生による「解説(追憶?)」が本書の巻末に収録されているのだが、実際のヤーコブやジャクリーヌに対するネガティブなお話が暴露されていてビックリ。

作品と現実のギャップを感じた。



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