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親との関係を考える

以前、カフカの『アメリカ』を読んだとき、ふつうに面白い小説だったのが意外だった。『変身』のような一風変わった作品ばかりを書いている作家だと思ったからだ。たぶんカフカは、いろいろな側面を持つ人なのだろう。

では、変わった作品の源泉は何だったのか

訳者の中井氏による解説に、以下のように書いてあった。

「若いカフカは生活力のたくましい、自信に満ちあふれて独裁的な家長を尊敬し、ひそかに愛着さえもいだきながら、同時に反発と、恐怖を感じて、その精神的束縛から脱出しようともがきつづけながらも、ついに父親の支配圏からのつながりを断ち切れなかった経過には、そのままフロイトの精神分析学の、かっこうな例証になりそうな、微妙な重点がある。このような愛憎の、根づよいコンプレックス心理(つよい感情をおびて、もつれ合い、精神的なしこりの原因となる、観念の複合体)こそ、カフカ文学の秘密に照明をあてる、ひとつの重要な手がかりになるだろう」(p.212-213)

よく言われることだが、やはり、人間の行動は、両親との関係が強く影響しているのだろう。

たまに、自分が「なぜあることにこだわるのか」分からなくなることがある。そんなとき、親との関係を考えてみると、謎がとけるかもしれない

出所:フランツ・カフカ(中井正文訳)『変身』角川文庫
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