松尾睦のブログです。個人や組織の学習、書籍、映画ならびに聖書の言葉などについて書いています。
ラーニング・ラボ
『言わなければよかったのに日記』(読書メモ)
深沢七郎『言わなければよかったのに日記』中公文庫
名作「楢山節考」「笛吹川」の著者である深沢七郎のエッセイ。
深沢さんは、もともとギタリストとして日劇ミュージックホールなどに出演していたが、その時に書いた小説「楢山節考」が、中央公論新人賞をとり、文壇に躍り出た。
小説の重々しさと違い(まだ読んでないが)、ご本人の性格は、無邪気でオープンで明るい。
文学賞をとってからも、作家になったことに戸惑い「自分は作家ではなく芸人だ」と思っている様子。しかし、文壇嫌いかというとそうではなく、正宗白鳥や武田泰淳などの大物の家に遊びに行って、無邪気な会話を楽しんでいる。そのおとぼけキャラがなんともいえず面白い。
表題の日記のほかに、「とてもじゃないけど日記」「変な人だと言われちゃった日記」なども収録されており、その変人ぶりが披露されている。
印象に残ったのが、深沢さんの小説の書き方。
「ボクの小説は変わっているという人があるけど、それはボクのセイじゃなくて演奏の過去を持つ者の癖だと思う。変わっているなどと云われると不安でたまらない。曲の練習をするときは一カ月も同じ曲ばかりを弾いているので、あとでその曲を弾いたりすると、その時に想像した物語―これは曲想という方が近いかナ―を思い出してしまう。」(p.184)
音楽と小説が一体となって物語が紡ぎだされるようだ。何かを創造するとき、一人ひとりにそれぞれのスタイルがある。このスタイルを見つけたとき、その人しか創れないオリジナルの何かが生まれるのだろう。
本書を読むうちに、深沢さんのギターが聴きたくなった。
名作「楢山節考」「笛吹川」の著者である深沢七郎のエッセイ。
深沢さんは、もともとギタリストとして日劇ミュージックホールなどに出演していたが、その時に書いた小説「楢山節考」が、中央公論新人賞をとり、文壇に躍り出た。
小説の重々しさと違い(まだ読んでないが)、ご本人の性格は、無邪気でオープンで明るい。
文学賞をとってからも、作家になったことに戸惑い「自分は作家ではなく芸人だ」と思っている様子。しかし、文壇嫌いかというとそうではなく、正宗白鳥や武田泰淳などの大物の家に遊びに行って、無邪気な会話を楽しんでいる。そのおとぼけキャラがなんともいえず面白い。
表題の日記のほかに、「とてもじゃないけど日記」「変な人だと言われちゃった日記」なども収録されており、その変人ぶりが披露されている。
印象に残ったのが、深沢さんの小説の書き方。
「ボクの小説は変わっているという人があるけど、それはボクのセイじゃなくて演奏の過去を持つ者の癖だと思う。変わっているなどと云われると不安でたまらない。曲の練習をするときは一カ月も同じ曲ばかりを弾いているので、あとでその曲を弾いたりすると、その時に想像した物語―これは曲想という方が近いかナ―を思い出してしまう。」(p.184)
音楽と小説が一体となって物語が紡ぎだされるようだ。何かを創造するとき、一人ひとりにそれぞれのスタイルがある。このスタイルを見つけたとき、その人しか創れないオリジナルの何かが生まれるのだろう。
本書を読むうちに、深沢さんのギターが聴きたくなった。
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