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『倚りかからず』(読書メモ)

茨木のり子『倚りかからず』ちくま文庫

茨木のり子さんの詩は肩ひじ張っておらず自然である。こころのなかにスッと入ってくる。良かったのは次の詩。

40年前の ある晩秋
夜行で発って朝まだき
奈良駅についた
法隆寺へ行きたいのだが
まだバスも出ない
しかたなく
昨夜買った弁当をもそもそ食べていると
その待合室に 駅長さんが近づいてきて
二、三の客にお茶をふるまってくれた
ゆるやかに流れていた時間


茨木さんが大事にしている心象なのだろう。
こうした思い出を保存するためにも詩があるのかな、と思った。




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