松尾睦のブログです。個人や組織の学習、書籍、映画ならびに聖書の言葉などについて書いています。
ラーニング・ラボ
『TSUNAMI 津波』(読書メモ)
高嶋哲夫『TSUNAMI 津波』集英社文庫
1年前に読んだ本だが、「こんなことが本当に起こるのか?」と、そのときはピンとこなかった。しかし今、ここに書いてることとがほぼそのまま起こっている。
この小説では、東海地震によって、中部・関西地域を津波が襲い、街が破壊されていく場面が描かれている。
「津波はただの海水が襲ってくるのではない。海底の土砂や岩を巻き込み、陸上にある家、道路、車・・・・あらゆるものを砕いて飲み込んで襲ってくる。」(p.404)
原子力発電所でメルトダウンが起こるという部分も現実と同じ。ちなみに、著者の高嶋氏は原子力の研究者である。小説の中でも、現場を軽視した本社や行政のあり方が批判されている。
「原子力発電所は技術と人と行政がそろって、初めて安全な運転ができる。現在、もっとも不備が目立つのは、人と行政の部分だ。日本の原発事故といわれるものの大部分は、人為的ミスで起きている。運転手順のミス、装置管理の不手際、検査の省略、データの捏造・・・・数え上げればきりがない。そして、それをチェックする行政機能の不備と甘さ。日本の政治体質に通じるものだ。」(p.192)
そして、本書で強調されているのは、防災の大切さ。
「最近は地震は起こるべきものと考え、もっと防災、減災に取り組むべきだという考え方が強くなっている。死者、行方不明者22万人という史上最悪の結果となったスマトラ沖地震でも、「津波」に関する知識がもっと広く住民に行き渡っていたら、死者の数は何分の一にも軽減できただろう」(p.38-39)
他国に比べたら日本の防災体制は優れているといえるかもしれない。しかし、この小説では、市役所の防災担当職員が、防災活動をなかなか理解してもらえない場面が出てくる。自分を振り返っても、防災に対する意識が欠落しているのがわかる。
今回の地震は、組織や行政の在り方とともに、われわれ住民一人一人の意識改革を迫っているように思った。
1年前に読んだ本だが、「こんなことが本当に起こるのか?」と、そのときはピンとこなかった。しかし今、ここに書いてることとがほぼそのまま起こっている。
この小説では、東海地震によって、中部・関西地域を津波が襲い、街が破壊されていく場面が描かれている。
「津波はただの海水が襲ってくるのではない。海底の土砂や岩を巻き込み、陸上にある家、道路、車・・・・あらゆるものを砕いて飲み込んで襲ってくる。」(p.404)
原子力発電所でメルトダウンが起こるという部分も現実と同じ。ちなみに、著者の高嶋氏は原子力の研究者である。小説の中でも、現場を軽視した本社や行政のあり方が批判されている。
「原子力発電所は技術と人と行政がそろって、初めて安全な運転ができる。現在、もっとも不備が目立つのは、人と行政の部分だ。日本の原発事故といわれるものの大部分は、人為的ミスで起きている。運転手順のミス、装置管理の不手際、検査の省略、データの捏造・・・・数え上げればきりがない。そして、それをチェックする行政機能の不備と甘さ。日本の政治体質に通じるものだ。」(p.192)
そして、本書で強調されているのは、防災の大切さ。
「最近は地震は起こるべきものと考え、もっと防災、減災に取り組むべきだという考え方が強くなっている。死者、行方不明者22万人という史上最悪の結果となったスマトラ沖地震でも、「津波」に関する知識がもっと広く住民に行き渡っていたら、死者の数は何分の一にも軽減できただろう」(p.38-39)
他国に比べたら日本の防災体制は優れているといえるかもしれない。しかし、この小説では、市役所の防災担当職員が、防災活動をなかなか理解してもらえない場面が出てくる。自分を振り返っても、防災に対する意識が欠落しているのがわかる。
今回の地震は、組織や行政の在り方とともに、われわれ住民一人一人の意識改革を迫っているように思った。
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