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リーダーシップと人間的魅力

『大統領でたどるアメリカの歴史』を読み、44人のアメリカ大統領の中で最も魅力を感じたのは、フランクリン・ルーズベルトである。

大恐慌が深刻化していた1933年に大統領に就任したルーズベルトは、100日の間に一連の緊急策を打ち出し、危機に瀕したアメリカを救う。いわゆるニューディール政策である。

単にスピーディというだけでなく、アメリカ経済を根本から再生させる戦略を持っていたという点が重要である。彼の政策によって雇用が創出され、アメリカの中間層が厚くなったという。

また、就任から1週間後、当時ラジオが家庭に普及していたため、不安におののく国民に直接語りかけ、自信に満ちた声によって安心させている。ポジティブさもリーダーにとって大切な条件である。

驚いたのは、彼が30歳のときに小児マヒにかかり、車いす生活であったこと。テレビがなかったのは幸運だったかもしれない。ルーズベルトは、演説のときには足を固定させたりしながら、障害があることを国民に知らせなかった。

偉かったのは、当時のジャーナリストである。決して車いす姿の大統領を写真に撮らなかったらしい。すぐに揚げ足を取る今のジャーナリストとは大違いである。 

能力も大事だが、リーダーシップの決め手は人間的魅力だな、と感じた。

出所:明石和康『大統領でたどるアメリカの歴史』岩波ジュニア新書

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