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『ワインズバーグ、オハイオ』(読書メモ)

シャーウッド・アンダーソン(上岡伸雄訳)『ワインズバーグ、オハイオ』新潮文庫

ヘミングウェイやフォークナーに影響を与えたと言われているシャーウッド・アンダーソンの作品である。

舞台は、オハイオ州にある田舎町ワインズバーグ(架空の町)。ここに住む人々の生活が20以上の短編として描かれているのだが、一つ一つが渋く、深い。人間の持つ「悩み、葛藤、罪」が集約されているような小説である。

各作品のタイトルは「手」「紙の玉」「母」「哲学者」「狂信者:四部の物語」「アイデアに溢れた人」「冒険」「品位」「考え込む人」「タンディ」「神の力」「教師」「孤独」「目覚め」「変人」「語られなかった嘘」「飲酒」「死」「見識」「旅立ち」である。

若い新聞記者ジョージ・ウィラードが全編に関わっているため、短編ではあるが長編のようにも読める。

特に、同性愛を疑われて袋だたきにあった経験を持つ元教師(手)、ほとんど患者の来ない医院の医師(哲学者)、都会に出て行った恋人を待つ服地店員(冒険)、女性の部屋を覗き見たいという誘惑と戦う牧師(神の力)の話しがよかった。

最近、アメリカ文学もなかなか味があるな、と感じ始めた。




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