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忙しさが学習を阻害する

忙しすぎると学習が阻害されることもあるようだ。

トヨタグループのジェイテクトは、自動車部品加工用の工作機械を生産するメーカーだが、好況がかえってあだとなり、生産改革が二の次になっていた、という。つまり、トヨタ最優先で仕事に追われ、生産性を向上させる時間がなかったのである。

しかし、不況になってトヨタの販売台数が減少すると、受注量が激減してしまった。同工場では、こうした逆境を機会として、生産プロセスを見直し、不況に強い筋肉質の工場づくりをしている。

まず手がけたのは、一台ごとに部品を組み立てるセル生産方式を見直し、工程管理がしやすい総組立ラインを立ち上げた。これにより、組み立て日数が半分に短縮したらしい。

また、顧客の細かい要求に応じる受注生産を進化させ「パターンオーダー制」を導入した。例えば、マシニングセンター(MC)を設計する際、12の部品について、顧客が選べる部品をそれぞれ30項目用意し、これらの組み合わせで最適な工作機械を選べるようにした。

いわゆるマスカスタマイぜーションである。これにより、納期は従来の六分の一に短縮し、部品の共通化・標準化率も1割アップしたという。

さらに、あらゆる工程に精通した多能工を、現在の2割から5割に引き上げるために研修中である。

職場における学習を促進するためには、「学習のための時間」を確保する必要がある。景気がいいときには、目の前の仕事に追われて、新たなノウハウを獲得するための時間を確保できないことが多いので注意しなければならない。業績は好調だが、企業能力は高まっていないという状況である。

不況でヒマになってしまった今、たっぷりある時間をどのように使うかによって、将来の業績が左右されるといえる。

出所:日経産業新聞2009.4.30
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