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『リフレクティブ・マネジャー』(読書メモ)

中原淳・金井壽宏『リフレクティブ・マネジャー:一流はつねに内省する』光文社新書

教育学者の中原先生と、経営学者の金井先生が対話形式で綴ったマネジャー論である。

30代の中原先生と50代の金井先生。両者の間で交わされる対話には、世代の違いや研究分野による違いから来る、微妙な緊張感がある。そこがよかった。

いろいろなテーマについて話し合われているが、印象に残ったのは「持論」や「管理職拒否」を巡る話。

「マネジャーは、修羅場経験を積んで、自分なりの持論(マイセオリー)を築き上げるべきだ」という金井先生に対し、「単に修羅場を積むだけでなく、社内・社外の人と対話することで、持論を捨てること(棄論)も大切」と説く中原先生。

同期との会話から「マネジャー予備軍の30代前半世代は、忙しすぎるマネジャーになりたがならない」と指摘する中原先生に対し、「仕事に振り回されているように感じるのは、大きな絵(ビジョン)が描けていないから」と主張する金井先生。

両先生のやりとりを通して学んだのは「自分はこれをしたい、という大きな絵(ビジョン)を描きつつ、ストレッチされた仕事(修羅場?)を積んで、他者と対話しながら、持論を改定し続けること」の大切さである。

同じ方向を向いていながら、微妙に異なるお二人の主張が、読み手のリフレクション(内省)を誘う。マネジャーだけでなく、さまざまな人にとって、「いかに成長すべきか」を考えるきっかけを与えてくれる本である。
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