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『ハンナ・アーレント』(映画)

『ハンナ・アーレント』(2012年、マルガレーテ・フォン・トロッタ監督)

哲学者ハンナ・アーレントの本は、これまで何度か読もうと思ったが、難しそうなので買っていない。その代わり、映画を観てみた。

ドイツ生まれのユダヤ人ハンナは、戦時下、フランスに亡命している時に、親ナチ政府に拘留された経験の持ち主。その後、アメリカに亡命し、大学教授となる。

1961年、大量殺人に加担したナチ高官のアイヒマンがつかまりイスラエルで裁判を受けることになるのだが、ハンナはニューヨーカーの特派員として裁判を傍聴し、記事を書くことに。

実際のアイヒマンは普通の男であり、「私は上の命令に従っただけ」と罪の意識もない。さらに、当時のユダヤ人指導者たちも、ナチに協力していたという事実も明らかになる。

「世界最大の悪は、平凡な人間が行う悪である(悪の凡庸さ)」「ユダヤ人指導者の協力で死者が増えた」という記事を書いたハンナは、「裏切者!」とユダヤ人社会から大バッシングを受けることに。

哲学者であり研究者であるハンナは「論理と感情」を切り分けて、事実を書いているだけなのだが、「論理的には正しくても、感情がそれを許さない」のが世間というもの。

この映画を観て、ハンナの著作を読みたくなった。






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