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『雪のひとひら』(読書メモ)

ポール・ギャリコ(矢川澄子訳)『雪のひとひら』新潮文庫

雪のひとひら」が、ある村に舞い降り、川や湖に流れる途中で「雨のしずく」と出会い、子どもをもうける。やがて、夫や子供たちとも別れて、海へと導かれ、そして天に召されるというストーリー。

ギャリコのやさしい語り口と、深沢幸雄さんの挿絵に、ホッとさせられた。

なお、snow flakeを「雪のひとひら」と訳した矢川澄子さんの感性もすごい。

ギャリコは、雪の結晶が一つ一つ違っていることを、人間ひとりひとりに個性があることに重ね合わせている。

いかなる理由あって、この身は生まれ、地上に送られ、よろこびかつ悲しみ、ある時は幸いを、ある時は憂いを味わったりしたのか。最後にはこうして涯しないわだつみの水面から太陽のもとへと引きあげられて、無に帰すべきものを?」(p. 134)

北海道には雪がたくさん降るが、そのひとひら、ひとひらに個性があると思うと、雪の見方、人生の見方が少し変わったような気がした。







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