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『医療のこと、もっと知ってほしい』(読書メモ)

山岡淳一郎『医療のこと、もっと知ってほしい』岩波ジュニア新書

ジャーナリストの山岡さんが、救急医療、地域医療、医療保険について取材・解説した本である。

一番インパクトがあったのは、第3章「なぜ医者になるの?」で紹介されている、フィリピン国立大学医学部レイテ分校(School of Health Sciences, 略称SHS)の事例。

SHSの学生は、生まれた町や村の推薦を受け、奨学金をもらいながらSHSにやってくる。まず、2年かけて、助産師資格を持つ地域健康指導員となり、勉強を続けたい人は、正看護師コースへと進み、その上で、3~4年かけて医師になるという仕組みなのだ。

いきなり医師を目指す日本の大学と異なり、ステップバイステップ方式である。

SHSを訪問した日本の医学生は次のように語っている。

「SHSのシステムをそのまま持ち込むのは無理だけど、たとえば日本の大学でも早い時期に医学生がひと月でいいから看護実習できれば、患者さんとの接し方が変わりますよ。もっと患者さんとうまく触れあえるはずです」(p. 132)

少し調べたら、医学生による看護実習を取り入れている医大もあるようだ。

こうした取り組みが広がると、患者に寄り添うことができる医師が増えると感じた。




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