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『ショーペンハウアー:欲望にまみれた世界を生き抜く』(読書メモ)

梅田孝太『ショーペンハウアー:欲望にまみれた世界を生き抜く』講談社現代新書

1788年、ドイツの裕福な商人の家に生まれたショーペンハウアー。

当初はビジネス教育を受けるものの、次第に哲学へと関心を移していく。

世界はわたしの表象である」という考え方を示した点に、彼の哲学の特徴があるらしい。梅田先生は次のように説明する。

「わたしたちは普段、「世界というモノが無条件に実在していて、その内に自分もモノとして実在している」と想定しがちだが、ショーペンハウアーの主張からすると、これは一つの臆見にすぎないということになる。むしろ、「世界」というのは、人間の認識主観によって見られたかぎりでの世界であり、「表象」意外の何物でもない」(p.46)

確かに、同じ世界であるはずなのに、ある人にとっては「明るい世界」に、別の人にとっては「暗い世界」に見えるはずだ。

なお、ショーペンハウアーによれば、「人生は苦しみである」であり、そうした人生を幸せに生きる鍵は「欲望を鎮める」ことにあるという。

「ショーペンハウアーにとって幸福とは、より多くの欲望を満たすことではなく、むしろなるべく欲望を鎮め、心の平穏を得ることだった。そのために、次から次へと欲望を搔き立てる「外面の富」よりも、もともと備わっている「内面の富」に目を向けるべきなのである」(p. 89)

幸せになれるかどうかは心の持ちようで決まる、といえる。


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