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『太陽の棘』(読書メモ)

原田マハ『太陽の棘』文春文庫

事実に基づく小説らしい。

戦後間もない沖縄が舞台。米国本土から派遣されてきた、芸術好きの若手精神科医エドワードと、沖縄の若き画家たちとの交流を描いた作品。

ニシムイという地区に住む画家たちは、沖縄米軍兵士が絵を購入してくれることで生計を立てている。

やはり芸術家にはパトロンが必要であることが伝わってきた。

ただし、食べていくための絵(兵士のお土産)と、芸術としての絵(自己表現としての作品)が、なかなか両立しないところが問題である。

ちなみに、表紙の絵は、本作に登場する画家タイラのモデルである玉那覇正吉さんが、同じくエドワードのモデルであるスタンレー・スタインバーグを描いた作品。

食べていくための絵と芸術としての絵が融合した作品であるといえる。

よく考えると、どんな商売でも、食べていくための仕事と自己表現としての仕事があって、それを一致させことができたときに「納得のいく仕事」になる、といえるかもしれない。




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