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『永遠の夫』(読書メモ)

ドストエフスキー(千種堅訳)『永遠の夫』新潮文庫

比較的上流社会の独身男性ヴェリチャーニノフが、ある婦人と愛人関係になるものの捨てられ、その後、ペテルブルグで、その婦人の夫であるトルソーツキーと出会い、ひと悶着あるというストーリー。

ちなみに、「永遠の夫」とは、妻が愛人を作っても、妻に尽くす夫のこと。

ドストエフスキー作品の中では、比較的「軽め」なのだが、なぜか「読まさる(つい読んでしまう)」。

特に、トルソーツキーの性格が複雑で、「弱虫」「狡猾」「誠実」「粘着」といった要素が混ざっており、「直情」的なヴェリチャーニノフとのかけあいが、あたかも漫才のよう。

読後感も「フーム」という感じなのだが、重厚感もあるのが不思議である。

解説を読むと、病的賭博者であるドストエフスキーが金に困って書いた作品であることが判明(ちなみに、『罪と罰』も同じような動機で書いているので、ドストエススキー的には「普通」のことである)。

このような作品を「ちょちょっと」書いてしまうドストエススキー。やはり、天才である。



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