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ラクダ・ライオン・赤ん坊

梅原猛さんの『少年の夢』(河出文庫)から。後半パートは、小学生に対する授業である。

梅原さんは、ニーチェの言葉を引きながら、人生には「ラクダ・ライオン・赤ん坊」という三つの段階がある、と説明する。

「最初は、ラクダ。みんな、ラクダを知っているだろう。背中に山のあるラクダです。次には、ライオンになる。そして、最後には子どもになる」(p.121-122)

「ラクダは忍耐です。ラクダは重い荷物を背負って、砂漠を歩きます。だから忍耐がラクダの精神ということになる。勉強はしんどいですね。学校もしんどい。塾に行っている人もいると思うけど、塾に行っていると、ものすごくしんどいね。勉強するということは、ラクダが重い荷物を背負って歩くのと同じように、一生懸命、知識を蓄えておくことです」(p.122)

「それからどうなるかというと、ラクダが突然ライオンになります。ライオンというのは批判精神です。やっぱり、学問というのは少しやると、批判精神を持たないと一人前になれないことがわかってくるのです。それまで教えられていたことが正しいことだけではないんじゃないか、間違っていることもあるんじゃないか、と考える」(p.123)

「しかし、ライオンになればいいかというと、それだけでは人生はいけないんだ。批判するだけではダメです。最後は、自分でモノをつくり出さなければならない。それには、赤ん坊の無邪気さが必要になります。赤ん坊はいつも新鮮な目でモノを見るね。そういう赤ん坊の精神がないと、モノはつくれません。最後には、モノをつくらなければいけないよ。人生においては、創造することが大事なんです」(p.124)

この「ラクダ・ライオン・赤ん坊」は、「守・破・離」とも通ずるものがあると思った。

「離」のためには、「赤ん坊の精神」が必要となるという考え方は新鮮だ。しかし、年齢を重ねると赤ん坊から遠ざかってしまう。

本書を読み、「赤ん坊のような無邪気さ」を取り戻したい、と感じた。




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