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シェイクスピアと知的所有権

最も優れた英文学作家と言われるシェイクスピアは、作品を作るにあたり、必ず何かを模倣、あるいは下敷きにしていた。安西徹雄氏は次のように説明している。

「よく知られているように、シェイクスピアはその劇作に当たり、さまざまな材源を参照しつつ、あるいは先行する劇などからヒントを得て、作品をつくりあげてきた。もちろんそれは、今日言われるような「盗作」などではなく、多くの原料を配合して素晴らしい効能を持つ製品へと完成させたと言うべきだろう」(p.156)

たぶん、シェイクスピアが現代に生きていたら、知的財産を巡る訴訟に巻き込まれていたに違いない。何かを生み出すために模倣が必要だとしたら、知的所有権がうるさい現代は、新しいものが生まれにくくなっているのかもしれない。

出所:シェイクスピア(安西徹雄訳)『ハムレットQ1』光文社


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