なかなか予約が取れないと評判のポワン(Point)ですが、招待を頂きましたので行ってきました。店からのご招待ではありませんので念のため…。
入り口を入るとオープン・キッチンになってるんですが、静寂に包まれていると言ってもいいくらい静かで、ここで料理を作っているとは思えないほどで、スタッフの動きも整然としています。奥に席があるんですが、5組分のスペースしかないので、予約が取りにくいと言うものうなずけます。
シェフの中多さんは、知らない人はいないと思うので紹介しなくてもいいと思うんですが、ビストロ・クレオール(江坂)からラ・クロッシュ(淀屋橋)、タイユヴァンやトゥール・ジェルダンを経てラ・クロッシュ(淀屋橋)のシェフに…。その後はアキュイール(西天満)のオーナーシェフとなり現在に至るという経歴の持ち主です。
さて、メニューは6,300円(ランチ)、12,600円(ディナー)の一本のみです。
まずは一品目なんですが、ブリティッシュ・ブレックファーストで、スコーンとかがのせられて出てきそうな二段トレーに乗せられています。上段は、ケークサレと生ウニのムース。ケークサレにはパンチェッタが仕込まれていて、ケークサレ本体は軽やかなんですが、パンチェッタの香が素敵です。
下段は、手前の四角いものがフォアグラのレーズン・サンドです。フレンチと言えばフォアグラなんですが、レーズンと合わせることでかなり軽い目の仕上がりになっていて、かつフルーティです。レーズンの方が先に主張してきて、忘れたころにフォアグラが顔を出すという感じ。
奥の黒いものは、コンテのグジュール。グジュールというのはチーズを練り込んだシュー生地菓子です。その右手が生ハムパン。左手の容器にはクレーム・ド・ピナンプールが入っています。ピナンプールは芋ですね。
二品目がズワイガニのロワイヤルですが、ハスの葉の後ろ側に、トリュフが見えています。ロワイヤルというのは、卵とブイヨンを合わせて蒸し上げた料理で、言ってみれば茶碗蒸しなんですが、この和食を思い起こさせる盛りつけは何でしょうかね。
このあとの料理のも共通するんですが、バターやクリームのこってり感のない、軽やかで爽やかな料理が続きます。その上で、盛りつけを含めて、和食的な感性に満たされています。
バターです。右側はゲランの塩。テーブルでドーム型の蓋を外してくれるんですが、薫香が漂ってきます。
パンです。普段はこんなところまで撮影しないんですが…。奥に見えているものはバター・スプーンです。手に馴染むし、使いやすさも抜群です。
続いては、ブリと大根のガトーです。ガトーってお菓子って意味ですよね。ちょっと分かりにくいですが、ブリと大根が層になってます。使われている大根は、層ごとに違う種類の大根を使っているとのことです。
代表的なおばんざいであるブリ&大根のフレンチ・バージョンと言うことなんでしょうが、あしらわれているデコレーションと言い、何とも和食を感じさせるものではあります。左側のソースは、オリーブとアンチョビを合わせたものらしいですが、何も言われなければ小豆の餡に見えたりしてきそうです。ナイフ&フォークではちらり食べにくいところがあるので、この辺は改善してほしいところです。
鱈白子のムニエルと、ゴボウのコンソメです。食器のことを考えなければ、和食の椀物にしか見えません。実際のところメンソールは、どうやって食べようか悩んだりしました。椀物の場合、ダシの味が濁るので、先に汁のみを味わい、後に浮き実を崩し食べる訳なんですが、そうした方が良いのかなとか、考えたりしました。
続いては、サワラ(和歌山産)のポワレです。右側に乗っているのはブロッコリー、左側にはブロッコリー・ソースの上にさらに牡蠣が乗っています。ブロッコリー・ソースにはひっそりと香菜の香りがしました。ブロッコリーのカリカリ感とブロッコリー・ソースのネットリ感が良いです。
メインのサルセル(小ガモ)のロティです。分かりにくいですが、もも肉と胸肉があります。これまでの流れから、この料理を見た瞬間に焼き鳥を思い出したりしました。
メンソールはチーズ好きなので、フレンチのコースにチーズが含まれていない場合は別途オーダーしたりするんですが、今回はコースに組み込まれていました。しかもモンドールの一点突破です。
続いてリンゴソーダです。ソーダには見えませんが、口の中に入れるとはじけます。本来だと、ロティの前に持ってくると思うんですが、日本人の場合は、こっちの方が落ち着くのかもしれません。
メレンゲのブランマンジェです。ひとつ前のリンゴソーダまでは、和食のテイストが見え隠れしていたんですが、ブランマンジェからは一気にフレンチの世界に引き戻されるといった感じです。
ミニャルディーズなんですが、苺飴って、屋台のリンゴ飴が連想されたりして、そのあたりを狙ったんでしょうか?。
良い店ですね。サービスについては、何も言うことはないです。料理についても、スタッフがしっかりと説明してくれますし、質問してもちゃんと答えてくれるので頼もしい限りです。
フレンチにしては和のテイストを感じさせてくれる素材の組合せや盛りつけが特徴的ですし、軽めのあっさりとした味付けになってます。
(店 名) ポワン(Point)
(ジャンル) フレンチ
(所 在 地) 大阪市福島区福島3-12-20 ツインコート一階
(電 話) 06-6455-5572
(営業時間) 12:00-15:30(火~日)、18:00-23:00(水~日)
(定 休 日) 月曜日
(予 約) 必須
(チャージ) サービス料10%
(予 算) 6,300円(ランチ)、12,600円(ディナー)のみ