日本共産党の近畿民報です。
日本共産党の井上哲士参院幹事長が出演した6日の「日曜討論」では、安倍晋三元首相が米国の核兵器を同盟国で共有して運用する「核共有」をタブー視せずに議論すべきだとの考えを示していることなどについても議論になりました。
自民党の世耕弘成参院幹事長は「非核三原則が決められたのは55年前だ。ロシアは核を使った恫喝(どうかつ)を行っている。政府がやらなくても自民党を含めたいろんな場面で議論は行う必要がある」などと述べました。
これに対し井上氏は、ロシアによる侵略という力の論理に対していま世界が国連憲章に基づいた国際秩序の回復と強化を求めているときに「力には力」「核兵器の脅威には核兵器で対抗する」という考え方はプーチン氏と同じ立場にたつものであり、「議論はいいと言うが世界に議論が広がり核の保有につながれば、これこそ破滅の道だ」と批判しました。時代遅れなのは非核三原則ではなく核に核で対抗することであり、日本がやるべきことは、21世紀のメインストリーム(主流)である核兵器禁止条約に参加し、核兵器廃絶を目指すことだと強調しました。
国際情勢やコロナ禍の経済への影響については井上氏が「原油高騰に加えて、すべての物価が上がってきていることへの支援が必要だ」と強調しました。物価値上がりが家計を直撃して消費を冷え込ませているのだから「決め手は消費税の減税だ」と指摘。「家計を直接支援して消費を温め経済を立て直す決定打として、ぜひ決断を」と求めました。
【ワシントン=遠藤誠二】国連安保理は4日、ウクライナのザポロジエ原発をロシア軍が砲撃・占拠したことを受け、緊急会合を開催しました。各国は「受け入れられない」「核テロ行為だ」とロシアを批判しました。
国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は現地の状況を説明し、「軍隊が現場を支配する状況は正常ではない」と主張。今後、チェルノブイリに赴き、ウクライナの原発の安全を確保する「枠組み構築」をめざす考えを示しました。
ディカルロ国連事務次長は、ロシア軍の行為は、原発などの施設を攻撃し民間人に重大な損害をもたらすことを禁じるジュネーブ条約第1議定書に違反すると指摘しました。
米国のトーマスグリーンフィールド大使は「信じられないほどに無謀で危険」だと批判。ロシア軍が占拠したチェルノブイリ原発でも深刻な事態を招く可能性を警告し、IAEAのウクライナでの活動へ支援を訴えました。
安保理議長国アラブ首長国連邦(UAE)のヌセイベ大使は「チェルノブイリや福島の事故は代償が計り知れないことを私たちは明確に記憶しており、事故を再び起こしてはいけない」と語り、IAEAによる「枠組み構築」の必要性を説きました。
ウクライナのキスリツァ大使は、今回の事態は「核テロだ」と断言。現在、作業員が事故を防ぐため従事しているものの、ザポロジエ原発にはウクライナ当局者は入ることが許されていないと指摘。「ロシア軍はウクライナの全ての原発から撤退しろ」と求めました。
ロシアのネベンジャ大使は、今回の会合は「ウクライナによる人為的につくられたヒステリー」だと述べ、「ロシア軍による攻撃だというのは、全くのうそだ」と否定しました。
国連人権理事会は3日、ジュネーブの国連欧州本部でウクライナ情勢に関する緊急討議を開きました。ウクライナの要請で招集されたもので、ロシアの人権侵害に対する特別調査委員会の設置が提案されています。
バチェレ国連人権高等弁務官は、ロシアの攻撃で「数千万人のウクライナ人が、潜在的に死の危険にさらされている」と警告。人口密集地への砲撃や、病院、学校、幼稚園への大規模な被害、救急車への攻撃が起きているとして、戦闘の即時停止を求めました。
ウクライナのジェパル外務次官は、「人権原則の存亡の危機」だと強調。同外務次官は、ロシアが侵攻したクリミアから2014年に娘とともに脱出した体験に触れつつ、「核のボタンを手にした戦争犯罪人が、国際法やルールに基づく秩序を無視して戦争を起こした」と非難。調査委員会の設置を強く訴えました。
討議では、「ファシズム打倒で共にたたかった国がこのような国際法の侵害を行うのは言語道断だ」(英国)、「主権、領土保全の尊重は、1955年アジア・アフリカ会議のバンドン10原則、東南アジア友好協力条約でもうたわれている」(インドネシア)などと批判が相次ぎました。
中国は「人権の政治利用反対」を理由に、調査委員会の設置に反対を表明しました。
中国がロシアのウクライナ侵攻について、ウクライナに「極めて残念(痛惜)」だとする意向を表明し、「対話(談判)」を通じて問題を解決しなければならないという意向を再び強調した。戦略的な協力者であるロシアに対する露骨な批判は控えながらも、戦争には反対するという立場を繰り返し表明したのだ。
中国外交部は1日、報道資料を出し、王毅外相がこの日ウクライナのドミトロ・クレバ外相との電話会談で、「ウクライナ情勢の急激な変化について言及し、中国はウクライナとロシアの間で紛争が発生したことについて極めて残念だと考えており、民間人に被害が発生している事実について強く懸念していると述べた」と伝えた。王毅外相は、引き続き両国が「対話を通じて問題を解決する道を探さなければならない」と求めた。
中国は、今回のロシアの侵攻以降、米国と欧州が相次いで発表しているロシアへの制裁には参加していない。しかし、戦争を通じて対立を解決しようとするロシアの行動については反対するという意向を繰り返し表明してきた。中国の習近平国家主席は、開戦2日目の25日のウラジーミル・プーチン大統領との電話会談でも、「冷戦の精神を捨て、すべての国々が正当な安全保障上の懸念を重視して尊重し、交渉を通じて、バランスがとれ効果的で持続可能な欧州の安全保障体制を形成しなければならない」とし、「中国は、ロシアとウクライナが交渉を通じて問題を解決することを支持する」と明らかにした。さらに、「すべての国々の主権と領土の保全を尊重し、国連憲章の目的と原則を守るという中国の基本的な立場は一貫している」と付け加えた。ロシアが感じている安全保障上の不満については理解するが、戦争を禁止した国連憲章を無視し戦争で問題を解決しようとするロシアの手法には中国も同意することは難しいという意向を遠回しに表明したものだと読みとれる。先週の国連安全保障理事会で、中国はロシアのウクライナ侵攻を非難する決議案については、反対せず棄権した。
中国とロシアの会談後、ロシアとウクライナは28日にウクライナとベラルーシの国境地域で初の高官級会談を行い、数日中に再会することを約束した。この日の会談でクレバ外相は王毅外相に、中国がロシアの侵攻を中断させるよう要請した。これに対して王毅外相は、暴力を終息させるために外交的なすべての努力を尽くすつもりだと答えた。
参院予算委員会は2日、ウクライナ情勢等に関する集中審議を行いました。日本共産党から山添拓、井上哲士両議員が質問に立ち、ロシアのウクライナ侵略を利用した「国連・憲法9条無力論」や核武装=「核共有」を求める議論を厳しく批判し、政府を追い詰めました。(山添議員のハイライト)
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山添氏は、「国連は無力」「9条で国は守れるか」などとした一部の議論をあげ「力には力で対抗が必要と言わんばかりだ」と批判。「戦争の違法化は二つの大戦を経た重要な教訓だ。力の論理を否定し、紛争の平和的解決を求めたのが国連憲章であり憲法9条だ」として、岸田文雄首相の認識をただしました。
岸田首相は「日本国憲法の掲げる平和主義の理念は国際の平和と安全の維持を目的とした国連憲章の考え方と理念的に軌を一にするもの」と答弁。山添氏は「いま求められるのは侵略やめよの世論でプーチン政権を包囲し、平和秩序を回復、再構築することだ」と主張しました。
一方で政府が敵基地攻撃能力の保有を検討しているのは「危険な逆行だ」と指摘。「相手をせん滅するような打撃力を持つ」とする安倍晋三元首相の主張についてただしました。岸田首相は「国際法の観点からも憲法の観点からもそうした範囲内に収まるものでない」と述べ、安倍氏の議論は憲法と相いれないとの認識を示しました。
山添氏は、紛争の平和的手段による解決などに努力する東南アジア諸国連合(ASEAN)の取り組みをあげ、「これが21世紀の世界が進む道だ。平和秩序が脅かされる中だからこそ、平和のルールを実効的にすることが問われている」と訴えました。
ロシアのプーチン大統領が核兵器の使用を示唆し、核部隊への特別警戒態勢命令などを出したことを受け、自治体の首長らから抗議の声があがっています。
広島市の松井一実市長は2月28日、長崎市の田上富久市長と連名でプーチン大統領に抗議文を送りました。それによると、ロシアのウクライナ侵略と核兵器の使用を示唆した一連の行為に厳重に抗議したうえで、「『世界中の誰にも二度と同じ体験をさせてはならない』と懸命に訴えてきた被爆者の切なる思いを踏みにじるものだ」と厳しく批判。「地球上に、広島、長崎に続く第三の戦争被爆地を生むことは絶対にあってはならない」と強調し、侵略行為をただちに中止するよう強く求めています。湯崎英彦広島県知事も、「県民を代表し厳重に抗議する」として、抗議文をロシアに送りました。
また、同日には東京都武蔵野市の松下玲子市長も抗議のコメントを発表。ウクライナ侵攻と核兵器の使用を示唆したことに強い憤りを示し、非核都市宣言都市や平和首長会議の一員として断固抗議すると強調。一日も早い攻撃の停止と撤退、平和的解決を求めています。
さらに、全国の343自治体が加盟する「日本非核宣言自治体協議会」(事務局、長崎市)も、「今年1月に、ロシアを含む核保有5カ国が発出した共同声明の中で、『核戦争に勝者はなく、決して核戦争をしてはならない』と世界に発信した矢先の発言だ」と厳しく非難。会長名で抗議文を送りました。
![]() (写真)意見交換する(右上から時計回りに)ジョゼフ・ガーソン、イ・ジュンギュ、マリオン・キュプカーの各氏とコーディネーターの土田弥生・日本原水協事務局次長 |
ロシアによるウクライナ侵略と核兵器使用の脅迫に抗議の声が広がるなか、「核兵器禁止条約を力に 核兵器のない世界を実現しよう」を掲げた「2022年3・1ビキニデー」が28日、オンラインで始まりました。
日本原水協が開いた全国集会で主催者あいさつした全労連の小畑雅子議長は、プーチン大統領の核兵器による威嚇を厳しく批判し、「ヒロシマ、ナガサキに続くビキニ被ばくという核の非人道性を告発し、核兵器のない世界と禁止条約参加を求める運動を飛躍させよう」と訴えました。
日本原水協の安井正和事務局長は、ロシアの蛮行に対して国連憲章に基づき紛争の平和的解決を求める世論と運動を広げるとともに、「核兵器禁止条約への署名・批准」の一点で国民的共同を広げ、「参院選で被爆国にふさわしい政治へ転換させよう」と呼びかけました。
海外との交流フォーラムでは、アメリカの平和・軍縮・共通安全保障キャンペーン議長のジョゼフ・ガーソン氏が、「戦争の停止とともに、自国の政府に冷戦政策を捨てて軍縮を要求する」と強調。ドイツ宥和会のマリオン・キュプカーさんは、「市民の運動で核兵器禁止条約締約国会議へのオブザーバー参加を勝ち取った」と報告。韓国・韓信大学統一平和政策研究院上級研究員の李俊揆(イ・ジュンギュ)氏は、ロシア侵攻を口実にした軍拡論を批判し、「力の論理を乗り越える運動が求められる」と述べました。
「特別企画 核兵器禁止・廃絶をリードする日本へ」と題したパネル討論で、日本原水爆被害者団体協議会の和田征子事務局次長は、「核使用となれば広島、長崎に比べものにならない犠牲を生む。日本政府は禁止条約に参加を」と訴え。プロダイバーで環境活動家の武本匡弘氏は、「核兵器と気候危機は人類共通の課題。世代を超えた運動が地球を守る」と語りました。
日本共産党の笠井亮衆院議員は、「ウクライナ侵略に乗じて憲法9条や国連を無力化する『力の論理』を許してはいけない」と強調。「KNOW NUKES TOKYO」共同代表の中村涼香さんは「核戦争で被害を免れる人はだれもいない。だれもが当事者として声をあげていきたい」と述べました。