2023年11月6日(月)
米欧日に怒りアラブで拡大
ガザへの無差別攻撃 なぜ不問
「民間人虐殺が自衛か」
【カイロ=秋山豊】アラブの人たちには、イスラエルとともに、米国、英国、ドイツ、日本などに対する強い怒りが広がっています。これらの国は、パレスチナのガザ地区を無差別に攻撃するイスラエルを批判しないばかりか、同国に「自衛権がある」として即時停戦さえ求めていないからです。(ガザ攻撃に世界が抗議6、7面)
SNSでは、米国のコーヒーチェーン大手スターバックスや米国に本社があるコカ・コーラなどの不買も呼びかけられ、数えきれない怒りの文章が投稿されています。
「イスラエル軍の犯罪を支持する者は損失を被れ」「安売りし始めた企業もあるが、誰が買うか」
米ファストフード大手マクドナルドのイスラエル法人は、イスラエル軍に食事を大量に無償提供して強い怒りを買っています。
来店客ゼロ
3日午前10時半、エジプト首都カイロ近郊の同店に客は全くいませんでした。この日は金曜日。エジプトの休日で、普段ならレジの前に列が出来ています。
従業員の女性(26)は「お客さんは来ないし、配達の注文も減った。不買運動を支持してやめた従業員もいる。ガザの子どもがどんなに苦しんでいるかみてほしい。私も退職を考えている」と言いました。
同店の近くに住むマイ・ムハンマドさん(30)=建築家=は「欧米はイスラエルに自衛権があると言う。民間人の虐殺や病院への空爆が自衛に関係あるのか」「私にとって欧米製品の購入は、パレスチナ人を殺す弾丸への資金提供と同じだ」と話します。
ヨルダン首都アンマン在住のオサマ・ハムザさん(34)=会社員=は「飲食店や化粧品、タバコなどの不買運動を行っている。イスラエルと、それを支持する国は、民主国家だと言いながら争いの論理しか持っていない」と怒ります。
「恥を知れ」
国連総会は人道的休戦を求める決議を121の賛成で採択していますが、その採決で棄権した日本政府への怒りも渦巻いています。
カイロに暮らすラマダン・アブデルラハマンさん(41)は「私は日本製のテレビを持っている。しかしガザでの虐殺に目をつぶり、人道を尊重しない国の物はもう買えない。日本政府は恥を知れ。ガザの人びとに謝れ」と言いました。
ガザ在住の政治アナリスト、アイマン・ラファティさんは「日本政府は、数千トンの爆弾を落としているイスラエルに加担したとみなされている。日本政府が停戦に背を向ける態度を改め、虐殺に反対しない限り、怒りはおさまらない」と言います。
ラファティさんは「人権と国際法、国際人道法を擁護する日本国民のみなさん、あなた方の政府の態度をただしてほしい。日本政府が米国に追従するのを止めてほしい」と訴えました。