2010年1月13日
京都府知事
山田 啓二 様
日朝協会京都府連合会
代表理事 大橋満
Tel/Fax 075-841-4316福谷気付
申し入れ
昨年の12月4日「在日特権を許さない市民の会」と名乗る団体が、京都朝鮮第一初級学校に「襲撃」を行った。 日朝協会京都府連合会は、このような不法行為を見過ごすことは出来ません。
この問題は、正式な手続きを経て公共の場所を利用している人々に対して、一部の人々が自らの主張をおし通すために、「公園を不法占拠している」という言いがかりをつけ、法律を無視して「襲撃」したものでした。
その内容は学校教育の場で、子どもたちを前にして、拡声器を用いて聞くに堪えない差別的な言葉をはき、脅迫するという非常識で許しがたいものでした。証拠のビデオがインターネットにもながされています。
近くの教室で普通の授業を受けていた低学年の子どもは、大音量で自分たちを侮辱する言葉を浴びせられ、パニック状態になって泣き出す子もでました。
警備の要請を受けて出動した京都府警察官は、「在日特権を許さない市民の会」の行動を何ら規制しようとはしませんでした。
このような襲撃事件は、日本社会が多文化・多民族との共存、協調が求められる現在の国際化社会のもとで、起こしてはならない恥ずかしい出来事です。
「在日特権を許さない市民の会」は、1月14日にも再び「襲撃」をすると予告しており、京都府、(京都府警察署、京都府教育委員会)をはじめ全ての関係者におかれましても、かかる事件が起こらないよう万全の対策をして頂きたいのです。
日朝協会京都府連合会は、日本人の団体として、日本人が朝鮮・韓国人と友好を深め、特に在日朝鮮・韓国人の方々との共生をはかり、お互いが信頼しあえる隣 人として生活し、協力していくために、日本人の責任として、京都府知事とその関係者に、「民族教育」などをはじめ在日外国人に対する排外的行動が起こらな いよう一層の対策をとり、もしかかる事態が起こった時は、法律に基づき、特に子供たちへの教育的配慮をしながら、襲撃者に対して断固たる措置を執られます よう強く申し入れます。
以上
府連理事、大橋・黒田が知事の他、京都府警察本部・京都府教育委員会・新聞20社デスクにも行きました。全ての方々が、好意的に主旨をご理解頂き、対応すると言う話し合いが出来ました。
急な申し入れに、快く対応して頂いた担当者のみなさん、ありがとうございました。さらに、府内の全ての市町村長・議会議長に、申し入れをしました。
京都弁護士会が朝鮮学校「襲撃」事件について、次の声明を発表され各関係者に送付されました。日朝協会が弁護士会事務局を取材したところ、声明の送付先は以下のところでした。
①、総理大臣 ②、法務大臣 ③、京都府知事 ④、京都市長 ⑤、府警本部長
⑥、法務局(人権擁護委員会)⑦、衆・参議長 ⑧、日弁連 ⑨、都道府県弁護士会
⑩、政党 ⑪、京都府選出国会議員
「朝鮮学校に対する嫌がらせに関する会長声明」 (全文)
(2010年1月19日)
1 2009年(平成21年)12月4日(金)午後1時頃、京都市南
区にある京都朝鮮第一初級学校校門前において、授業中に、「在日特権
を許さない市民の会」等のグループ数名が、「朝鮮学校、こんなものは学
校ではない」「こらあ、朝鮮、出ろ」「お前らウンコ食っとけ、半島帰っ
て」「スパイの子どもやないか」「朝鮮学校を日本から叩き出せ」「北朝鮮
に帰ってくださいよ」「キムチくさいねん」「密入国の子孫やんけ」などの罵
声を拡声器等で約1時間に渡って同校に向かって大音量で浴びせ続ける
という事件があった。その際には、公園に置いてあった朝礼台を同校の
門前まで運んだり、門前に集まって門を開けることを繰り返し求めたり、
公園にあったスピーカーの線を切断するなどの行為も行われた。
2 このグループは、同校に隣接する勧進橋児童公園の使用を巡って、
同校を批判しているようである。
しかし、今回の行為は、公園の使用状況に対する批判的言論として許
される範囲を越えて国籍や民族による差別の助長・煽動に該当するもの
であり、このような嫌がらせや脅迫的言動はいかなる理由であっても決し
て許されず、在日コリアンの子どもたちの自由と安全を脅かし、教育を受
ける権利を侵害するものである。同時にこれらの行為は、憲法第13条及
び世界人権宣言第1条・第2条・第3条をはじめ、国際人権規約、人種差
別撤廃条約、子どもの権利条約などにおける人の尊厳の保障及び人種
差別禁止の理念及び規定に反する。
3 これらの嫌がらせや脅迫的言動は、朝鮮学校に通う子どもたちやそ
の家族、朝鮮学校関係者など在日コリアンに不安と恐怖を生み出してお
り、国籍や民族による差別をなくすための早急な対策を講じることが必要
である。インターネット上で公開されている動画を見る限り、これらの行為
は違法な行為に該当する可能性があるので、警察において必要な対処
をすべきである。
当会は、前記憲法及び国際人権法に基づく責務として、各関係機関に
対して、国籍や民族が異なっても、何人も差別を受けることなく安全・平穏
に生活し、教育を受ける権利を保障し、そのための方策を講じ、実現する
ことを要請する。
当会は、今後、国籍や民族の異なる人々が共生する社会の実現に向
けて、いっそう積極的に取り組む決意である。
以 上
2010年(平成22年)1月19日
京都弁護士会
会長 村 井 豊 明
1・21日午前、日朝協会(大橋 満)にNHK京都放送局・放送部・記者 が、京都府知事に行った「前だし・13日付申しいれ」に関して、取材がありました。その後、19日付で京都弁護士会が同趣旨の声明を発表しました。
私は記者の質問に、日朝協会は、日本人の自主的な団体で、55年の歴史があり、かっては立命館総長の末川博さんや、同志社大学教授の和田洋一さんが会長をしておられました。日朝協会は、韓国・朝鮮両国の国民と友好を進めており、在日のかたがたの暮らしや権利が守られるよう、日本人の立場で活動しており、その一環として今回の申し入れを行った事を説明しました。
何よりも近所で暮らしておられる外国人とも仲良く暮らすことが、これからのアジアの時代をつくることになる。我々日本人が外国で暮らしたときに、その国の人にどのようなことをしてほしいかを考えたとき、自ずと答えがわかるのではないか、日朝協会は、日本人が世界にでていったときに、恥ずかしくない日本人となるためにも活動していることを説明しました。