主張
大軍拡と企業献金
血税のキックバックは許せぬ
自公政権は、5年間で43兆円という大軍拡計画を進めています。日本と世界の平和を脅かし、暮らしに犠牲を強いる大軍拡は許せません。
同時に、見過ごせないのは、この大軍拡によって得をしているのは誰かということです。
■受注額が4.6倍
大軍拡で最も大きな利益を得るのは兵器などを受注する軍需産業です。
防衛省の発表によれば、2023年度の中央調達(武器や燃料などの購入)実績は5兆5736億円にのぼり、前年度に比べて3倍に膨れ上がりました。
とりわけ、受注額トップの三菱重工業は1社だけで1兆6803億円、前年度の3652億円に比べて4・6倍に急増しました。アメリカ政府からの調達額1兆3686億円をも上回っています。
敵基地攻撃能力である長射程ミサイルをはじめとしたミサイル関係だけでも7000億円以上、護衛艦2隻、潜水艦1隻、次期戦闘機の開発などを受注したからです。この結果、同社の23年度決算の純利益は前年度の1・7倍となり、24年度もさらに増益が見込まれています。
このほか、国内企業では海上自衛隊への不適切な金品の提供が明るみに出た川崎重工業が3886億円(前年度比2・3倍)、日本電気2954億円(同3・1倍)、三菱電機2685億円(3・6倍)、富士通2096億円(3・2倍)など、いずれも大幅に受注額を増やしています。
この5社は、これまでも受注額上位に並んでおり、自民党が政権に復帰した13年度以降の11年間の合計では、三菱重工業4兆8008億円、川崎重工業2兆672億円、三菱電機1兆2050億円、日本電気1兆1507億円、富士通7965億円を受注。米国政府の受注分を除けば、防衛省の中央調達額の6割近くを占めています。
23年度だけで見ると、この5社だけで7割近くになります。大軍拡で得をしたのが誰かは明らかです。
■献金額と順番一致
重大なことは、これらの企業が、長年にわたって自民党に巨額の献金を続けてきたことです。
自民党の政治資金団体である国民政治協会の政治資金収支報告書によれば、自民党政権復帰後の13年から22年までの10年間の献金額の合計は、三菱重工業の3億2700万円をはじめとして、三菱電機1億9100万円、日本電気1億5300万円、富士通1億4800万円、川崎重工業2950万円となっています。
自衛隊に金品を提供していた川崎重工業を除く他の4社をみると、13年度以降の受注額の順番と自民党への献金額の順番が全く同じなのが確認できます。
経団連などは、「政治献金は企業の社会貢献」と説明しますが、現実には、献金額に応じた「見返り」を受けていることが、はっきりと示されています。
自民党政権は大軍拡を「日本を守るため」などと称しています。しかしその内実は、国民の血税で、“死の商人”である軍需産業に莫大(ばくだい)な利益をもたらし、その一部が自民党にキックバックされるというものです。こうした腐敗の構造は断じて許せません。