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クリスマスの未明に火災が発生したソウル道峰区(トボング)のマンションの5階の住民Sさん(54)は、右往左往した当時の状況をこのように説明した。

2023-12-29 | 市民のくらしのなかで

「マンション共和国」 韓国には避難マニュアルがない

登録:2023-12-27 06:35 修正:2023-12-27 08:38
 
3階の火災で5階は生存、10階は死亡 
年間2600件余りのマンション火災が起こるが、対処法など分からない
 
 
消防と警察など火災鑑識班員たちが26日午前、ソウル道峰区のあるマンションの火災現場の合同鑑識のため移動している=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社

 「ドアを開けたら、すでに煙が立ち込めていました。夫と子どもを連れてまず1階に向かうため階段を降りようとしたのですが、煙で窒息するかもしれないと思い家に戻りました」

 クリスマスの未明に火災が発生したソウル道峰区(トボング)のマンションの5階の住民Sさん(54)は、右往左往した当時の状況をこのように説明した。幸い、Sさん一家は濡れタオルで口を塞ぎ、火がまだ届かないベランダ側に出て救助を待っていたため、人命事故を免れた。救助隊から防毒マスクを渡されたSさん家族は、救助されるまで家の中に待機した。一方、10階の住民は家族を連れて避難させる途中、煙を吸い込んで死亡し、4階に住んでいた男性は子どもを抱いて飛び降り死亡した。

 韓国国民の2人に1人はマンションに住んでおり、毎年マンションで発生する火災だけでも2600件余り(2021年基準)にのぼる。マンションの火災状況に合う避難原則を熟知し、マンションごとに火災対応マニュアルを点検する必要があるという声があがっている。

 消防庁が先月改正した「マンション火災発生時の避難要領」の内容は、一言で言うと、「むやみに避難してはならない」ことだ。「火事が起きれば、とりえず避難しなければならない」という従来の指針が人命事故をさらに誘発する恐れがあるという指摘を反映したものだ。火災発生によって有毒ガスが広がる速度は、人の移動速度よりはるかに速い。避難する過程で煙の吸い込み、窒息などの被害を受ける可能性もある。実際、消防庁の統計によると、ここ3年間(2019~2021年)マンションで発生した火災8360件で1040人(死亡98人、負傷942人)の人命被害が発生した。このうち39.6%(死亡29人、負傷383人)が避難途中で被害を受けた。

 避難の可否については「炎と煙」を中心に判断しなければならない。まず自分の家の玄関ドアから熱気が感じられた場合は、すでに廊下や階段などに煙や炎が広がったとみるべきだ。このような場合、玄関のドアを開けずに家の中で救助を待っていた方が良い。

 マンションの玄関ドアは建築法上防火扉だ。1時間は火災に耐えられる。その代わり、煙が入り込まないように、濡れた衣類などでドアの隙間と窓を塞がなければならない。

 家の中では、ベランダなど家の内部と断絶され外部と連結された空間に避難するのが原則だ。だが、今回の火災のようにベランダを通じて火が広がった場合には、浴室に移動した方が安全だ。浴室には水があり、水は火と煙を防いでくれるからだ。もしそれが難しいなら、玄関から最も遠いところに避難すべきだと専門家たちは勧める。火災時の廊下は炎と煙の移動経路であり、玄関ドアは炎と煙を家の中に入れる入口であるためだ。

 救助隊は遅くとも10分以内に到着することを忘れず、慌てないことも重要だ。消防車が通報から現場到着までかかる時間を意味する「消防車ゴールデンタイム」は現在7分。10月に無所属のイ・ソンマン議員室が消防庁から受け取った資料「消防力現況」によると、ソウルでは消防車の出動から到着までかかる時間は4分95秒だった。最も出動距離の長い慶尚北道の場合、所要時間が9分13秒で消防車ゴールデンタイムを超えたが、到着までは10分以内だった。忠清北道が8分45秒、全羅南道が8分40秒、江原道が8分20秒などの順だ。

 煙があまり広っておらず、避難できると判断した場合は、火災の発生地点を考慮しなければならない。自分の家より下の階で火災が発生した場合は開放された屋上に、上の階で火災が発生した場合は地上階に移動し、建物の外に移動するよう消防当局は勧めている。2017年以降、30世帯以上の共同住宅の屋上出入り口は火災時に自動的に開かれる自動開閉装置の設置が義務付けられている。

 避難時にはできるだけ腰を落とし、濡れたタオルなどで口と鼻を覆ってできるだけ煙を吸い込まないようにする必要がある。家にあらかじめ防毒マスクを用意しておくと、煙を吸い込む心配なく安全に移動できる。消防庁火災予防総括課のチョ・ソンゲ係長は「市民のみなさんが火災状況を判断しなければならず、通常は火災や煙が発生する位置の反対側に移動する必要がある」と述べた。

 このような「大原則」に劣らず重要なのが、自分の住んでいるマンションの状態を普段から把握しておくことだ。消防当局と専門家は、各家庭でマンションの環境に合う避難計画を立て、消防・避難施設の使い方を熟知することが重要だと強調する。牧園大学消防安全学部のチェ・ジン教授は「状況に応じた避難要領および体験に基づいた消防安全教育が必要だ」と指摘した。

 住民たちに余裕がない状況では、マンション管理事務所の案内放送の役割も非常に重要だ。しかし、このような訓練が行われているケースはほとんどない。今回の火災でもマンションの住民たちは「待避せよ」という放送も火が消える頃に遅れて聞いた場合があったと伝えた。また、マンション内の火災警報音も大きく聞こえず、火災が発生した事実を把握するのが難しかったという。火災発生棟の2階の住民Aさん(54)は、「寝室で寝ていたが、サイレンの音も聞こえなかった。アナウンスが流れたが、小さすぎてよく聞こえなかった」と語った。これと関連し、専門家は外部火災感知器の他に「単独警報型感知器」があれば、家の中でも警報音を聞いて避難時間を減らせるとして、設置を推奨した。

 一方、警察は発火地点であるマンション3階の家の小さな部屋でタバコの吸殻とライターを発見しており、失火の可能性があるとみて捜査を進めている。同日、消防と1次合同鑑識を終えた警察は「電気器具の誤作動や漏電など電気的要因や放火の可能性は低いものとみられる」と発表した。

クァク・チンサン、ユン・ヨンジョン、コ・ナリン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

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