2023年8月27日(日)
新たな「国家総動員体制」
民生9技術・民間空港・港湾 軍事利用へ枠組み
政府関係閣僚会議
新たな「国家総動員体制」と言える動きが始動しました。政府は25日、安保3文書の一環として、(1)民生技術の軍事利用(2)民間空港・港湾の軍事利用―の推進を目的とした関係閣僚会議(議長・松野博一官房長官)の初会合を開催。研究開発では、9分野を「重要技術課題」に指定しました。民生分野を大量動員するかまえです。この中には、危険な攻撃的兵器につながる技術も目につきます。
政府は配布資料で、「民生用と安全保障用の技術の区別は極めて困難となっている」と指摘。関係省庁の民生利用目的の研究の中から9分野(表)を指定し、5~10年以内の装備化=兵器化を目標に掲げました。
このうち、「エネルギー」分野では高出力エネルギーを投射する高出力マイクロ波、高出力レーザーを列挙。各国が開発を進めているレーザー兵器につながる技術です。
「無人化・自律化」では、ドローンなどの無人兵器や、AI(人工知能)使用の自律兵器が想定されます。AIをめぐっては、攻撃目標の自動設定など未知の危険をはらんでいます。
「機械」分野では「極超音速飛しょう技術」を列挙。音速の数倍から十数倍で飛行し、射程3000キロ以上とされる極超音速兵器の技術基盤となります。長射程の敵基地攻撃兵器の主力兵器になりうるものです。
空港・港湾の軍事利用をめぐっては、沖縄など南西地域を念頭に、平時からの軍事利用を可能とする「特定重要拠点空港・港湾」を指定。さらに、軍事利用を促進するために空港の滑走路延長・エプロン整備や港湾の岸壁・航路の整備を行うとしています。
■民生分野の軍事利用を想定する「特定重要技術」
(1)エネルギー(高出力マイクロ波・レーザー)
(2)センシング(高精度の測位・航法)
(3)コンピューティング(高速・高効率コンピューター)
(4)情報処理(人工知能、自衛隊員の認知)
(5)情報通信(高速・大容量通信)
(6)情報セキュリティ(サイバー)
(7)マテリアル(耐熱・軽量素材など)
(8)無人化・自律化(ドローン、自律兵器)
(9)機械(極超音速飛しょう技術)