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1年でインフレが暮らしに困難をもたらしたと答えた人は、出口調査で約8割にのぼり、回答者の過半数が共和党候補に投票しました。生活の悪化をめぐる不満の多くが、政権への厳しい評価につながっています。

2022-11-13 | 市民のくらしのなかで

 

米の中間選挙

変わらぬ政治に有権者の不満

 8日に投票された米中間選挙では、連邦議会下院で野党・共和党が議席を伸ばし、4年ぶりに過半数を奪い返す勢いです。上院でも、バイデン大統領の与党・民主党が主導権を確保するには至っていません。バイデン政権はこの2年間、大企業・富裕層増税、医療・社会保障の拡充、学費低減など若者支援、抜本的気候変動対策など「トリクルダウン経済政策からの脱却」を掲げましたが、共和党などの抵抗にあって変化の実感を国民に届けきれませんでした。さらに記録的インフレが重なり、有権者の不満があらわれました。

生活苦に届かない支援策

 この1年でインフレが暮らしに困難をもたらしたと答えた人は、出口調査で約8割にのぼり、回答者の過半数が共和党候補に投票しました。生活の悪化をめぐる不満の多くが、政権への厳しい評価につながっています。

 長年拡大し続けてきた格差の上に記録的インフレが襲いかかり、賃上げが追いついていません。バイデン大統領は、連邦最低賃金の時給15ドル(約2200円)への引き上げをはじめとした大型財政出動による格差と気候変動への取り組み、旧来の新自由主義路線からの転換を公約してきました。

 しかし、国民支援策は、共和党や一部の与党・民主党議員の抵抗で歳出規模も内容も大幅に縮小されました。最賃引き上げも実現せず、8月に大統領権限で踏み切った学生ローンの一部返済免除も、まだ国民の手に届いていません。

 一方で、石油大手など大企業は大もうけを記録しています。民主党のサンダース上院予算委員長は「もうけを国民に返せ」と、大企業増税による公正な経済社会を実現する必要性を訴えました。

 事前のメディア予想ではトランプ前大統領の支持を受け、共和党が圧勝するといわれました。それを覆し、与党・民主党が上院で拮抗(きっこう)し、下院でも小幅の議席減にとどまる見通しです。トランプ流の分断と排除の政治手法でなく、市民の連帯と個人の尊厳を掲げる若者や女性らの運動の盛り上がりが民主党の後退を予想以下に押しとどめたことが背景にあります。

 特に注目されたのは、女性の地位向上、権利・尊厳を守るたたかいと一体となった人工妊娠中絶問題です。保守派の判事が多数の連邦最高裁は6月、一方的に憲法上の中絶の権利を奪う判断を示しました。これに対し女性を中心とした草の根の運動がデモや投票呼び掛けで無党派層にも世論を広げ、同問題を争点に押し上げました。

 出口調査によると、有権者が投票で重視したのはインフレ(31%)が最多でした。中絶問題は27%とそれに続き、女性では33%と最大の争点となりました。

よりどころは市民の運動

 共和党は「成長促進型税制と規制緩和」を公約に掲げ、富裕層・大企業への減税措置の継続など新自由主義への後戻りを訴えました。暮らしの安定を求める国民の願いに応えるものではありません。

 バイデン政権が大企業・富裕層の利権に立ち向かい、国民の運動に応える政治を進めなければ、2年後に国民の怒りは再び政権に向かうことになります。公正な社会の実現を掲げる同政権の最大のよりどころとなるのは市民の運動です。その力とともに切実な願いを実現する覚悟が求められます。

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