保育所 苦境
6割の市区 運営費削減
国庫負担金廃止が直撃
地方交付税削減
向日市も市営を、民間会社に移そうとねらっている
子供達の命を守るため民間委託はなじまない
保育協会調査
小泉内閣が二〇〇四年に実施した地方財政の「三位一体改革」で、公立保育所運営費の国庫負担金が一般財源化された結果、六割の市区が保育所運営費を減らしたことがわかりました。
社会福祉法人・日本保育協会が、全国八百七市(東京二十三区を含む)を対象に、〇七年四月時点の状況を調べたもの(五百九十三市区が回答)。
公立保育所運営費が一般財源化された前年の〇三年度と、〇七年度の市の予算(入所児童一人当たりの月額経費)を比べると、平均で2・4%減りました。人口三十万―五十万人の市では、5%もの減額となっています。
一般財源化後に、公立保育所運営費の予算を減らしたと答えた市は、全体の61%に達しました。人口の少ない市ほど影響が大きく、人口五万―十万人の市では65・8%が予算を減らしました。
具体的に減らした予算の内訳では、人件費が最多の59・4%でした。また、民間保育所の運営費を助成している市のうち、三分の一が助成を廃止・削減しました。
保育所運営費の財源を確保するための対応では、コスト削減が50・6%と最も多く、「民間に移管」「公立を統廃合」が続きました。保育料を値上げした市も一割を超えました。(グラフ)
民間保育所運営費を一般財源化することについては、「反対。国が負担すべき」と答えた市が86%に達しました。賛成は0・8%でした。
厚生労働省は「一般財源化しても、保育の質が下がらないよう財源は自治体で確保される」(坂口力厚労相=当時)と述べていました。しかし、今回の調査結果は、一般財源化が自治体の保育財政を直撃していることを示しています。
保育所運営費の一般財源化 政府は、あらかじめ「保育所運営費」という使い道を決めていた国庫負担金を廃止して、地方自治体の裁量で使える地方交付税に切り替えました。同時に地方交付税そのものを削減したため、市町村の財政が厳しくなり、保育予算を十分確保できない事態となっています。