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大橋みつるの平和ト-ク・・世直しご一緒に!

世界の変化を見ながら世直し提言
朝鮮・韓国・中国・ロシアとの友好促進
日本語版新聞紹介

京義線陸路が再び開かれたのは、2016年2月の開城(ケソン)工業団地閉鎖以来、約2年ぶりだ。

2018-01-22 | 韓国ハンギョレ新聞

北朝鮮のヒョン・ソンウォル団長、ソウル駅でKTXに乗り江陵へ移動

登録:2018-01-21 12:43 修正:2018-01-21 12:48

開城工業団地閉鎖から2年ぶりに京義線陸路で訪問 
1泊し公演施設など点検予定 
ソウル駅など移動経路に警察官など集中配置

北朝鮮芸術団の事前点検団を率いるヒョン・ソンウォル三池淵管弦楽団団長が21日、江陵に移動するためにソウル駅に到着している=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 ヒョン・ソンウォル三池淵(サムジヨン)管弦楽団団長をはじめとする北朝鮮芸術団の事前点検団7人が京義線陸路を通じて軍事境界線を越え南側に到着した。

 統一部は、平昌(ピョンチャン)冬季五輪への北側芸術団派遣のための事前点検団が21日午前8時57分に軍事境界線を通過し、9時2分に都羅山(トラサン)駅南北出入り事務所に到着し、9時17分に出入境手続きを完了したとこの日明らかにした。

 京義線陸路が再び開かれたのは、2016年2月の開城(ケソン)工業団地閉鎖以来、約2年ぶりだ。文在寅(ムン・ジェイン)政府スタート以後、北側の要人が南側に訪問したのも今回が初めてだ。

北朝鮮のヒョン・ソンウォル三池淵(サムジヨン)管弦楽団長一行を乗せたバス2台が21日午前、京畿道坡州市(パジュシ)の統一大橋を渡り自由路へ向かっている=坡州/キム・ソングァン記者//ハンギョレ新聞社

 北側の事前点検団は午前10時22分、ソウル駅広場におりてKTX乗り場に移動、10時29分に江陵(カンヌン)行きKTXに乗車した。ヒョン団長は暗色のコートに毛皮と見られるマフラーをまいた姿だった。ソウル駅には万一の事態に備えて警察官が集中配置され、ヒョン団長ら北側点検団を取り囲む警護官が密着警護した。

 点検団は江陵に到着した後、公演会場などを見て回り一泊して明日ソウルに戻ると発表された。

毛皮のマフラーをまいたヒョン・ソンウォル三池淵管弦楽団団長が21日、ソウル駅に到着しバスからおりている=キム・ソングァン記者//ハンギョレ新聞社
ヒョン・ソンウォル三池淵管弦楽団団長が21日、ソウル駅に到着し江陵行きKTXに乗るために移動している=共同取材団//ハンギョレ新聞社
ヒョン・ソンウォル三池淵管弦楽団団長など北朝鮮側の平昌冬季五輪芸術団公演のための事前点検団が21日午前、ソウル駅に到着し江陵行きKTXに乗車している=キム・ソングァン記者//ハンギョレ新聞社
ヒョン・ソンウォル三池淵管弦楽団団長など北朝鮮側の平昌冬季五輪芸術団公演のための事前点検団が21日午前、ソウル駅に到着し江陵行きKTXに乗車している=共同取材写真//ハンギョレ新聞社
21日午前、北朝鮮側の平昌冬季五輪芸術団公演のために南側を訪問したヒョン・ソンウォル三池淵管弦楽団長が、南北出入境事務所でハン・ジョンウク文化体育観光部課長と握手している=統一部提供//ハンギョレ新聞社
ノ・ジウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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朝鮮半島情勢の緊張局面が続いているなかで、レックス・ティラーソン米国務長官が30日に中国を訪問する。

2017-10-01 | 韓国ハンギョレ新聞

朝鮮半島緊張の中、ティラーソン米国務長官訪中…ひとまず“中国圧迫”に集中

登録 : 2017.09.29 22:51 修正 : 2017.09.30 07:26

 

「トランプ訪中議題…北朝鮮核問題もテーブル上に」 
ソーントン東アジア太平洋次官補代行は 
「中国が対北朝鮮政策を切り替えている」 
米中、「制裁以後の交渉再開局面」に備え戦略議論も 
中国党大会後にトランプ訪中 
「朝鮮半島情勢」短期的変曲点

米国のレックス・ティラーソン(右)国務長官と中国の劉延東副首相が28日、ワシントンの米国務省庁舎で米中社会・文化対話に先立って記念写真を撮っている=米国務省提供ワシントン/EPA連合

 朝鮮半島情勢の緊張局面が続いているなかで、レックス・ティラーソン米国務長官が30日に中国を訪問する。ティラーソン長官は訪中過程で、北朝鮮の核・貿易問題を巡り中国を一層締め付けるだろうという見方が多い。

 

 ティラーソン長官は28日(現地時間)、中国への出発に先立ち米国ワシントンで開かれた劉延東・中国副首相との米中「社会・文化対話」を始める前に記者団に「(訪中過程で)ドナルド・トランプ大統領の訪中議題について議論する」とし「当然、北朝鮮問題も議論のテーブルに上がるだろう」と明らかにした。

 

 ティラーソン長官は中国側の人々に会い、朝中経済の連結遮断を強く要求するものと予想される。これと関連して、スーザン・ソーントン米国務省東アジア太平洋担当次官補代行はこの日、上院金融委員会の聴聞会に出席し「中国が(対北朝鮮)政策を転換しているのを見ている」とし、「私たちは北朝鮮を一種の(戦略的)資産と眺める中国の立場を変えるために努力している」と述べた。中国を通した対北朝鮮経済制裁戦略が受け入れられているという判断の下、対中圧迫の強度を一層高めるだろうと予告したと見られる。

 

 また、これは北朝鮮と取引する中国の銀行・企業に対する制裁予告行政命令の他にも、中国の安保環境を揺さぶり北朝鮮を戦略的負担と感じさせる軍事的圧迫手段も併行していることを示唆する。

 

 ハーバート・マクマスター国家安保補佐官も25日「米国戦争研究所」主催の行事で、中国が対北朝鮮制裁に協力しなければ、韓国および日本の軍事活動増強と「再武装の可能性」に直面するだろうとも警告した。中国圧迫のために韓国と日本に対する先端武器販売と韓米日3国間安保協力を強化するという意味と解説される。

 

 専門家たちは、トランプ行政府の予測不可能な対中国強弱両用戦略、韓国と日本の対北朝鮮強硬策への合流、北朝鮮の相次ぐ戦略的緊張高揚行為、中国内部の政治的状況などから、中国が米国に譲歩を続ける姿を見せていると診断する。中国も貿易よりは北朝鮮核問題を米国に対する“譲歩カード”として使っているという分析もある。

 

 こうした理由で、中国が10月の党大会を終えた後に対米路線を攻勢的に切り替えるかどうか、米国の対北朝鮮石油類供給全面中断要求の強度、米中による北朝鮮の核と貿易問題を交換する戦略、北朝鮮の戦略的緊張高揚の有無などが、トランプ大統領の11月訪中により変曲点をむかえ、朝鮮半島の気流に複合的な影響を与えるものと見られる。ただし、ティラーソン長官の今回の訪中で、米中が「制裁以後の交渉再開局面」に備えた戦略なども広範囲に議論されることもありうる。

 

ワシントン/イ・ヨンイン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

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韓米自由貿易協定廃棄の可否を決める最初の分岐点は今月5日になると予想される。

2017-09-05 | 韓国ハンギョレ新聞

トランプの韓米FTA廃棄の動きに米国内部で賛否両論

登録 : 2017.09.03 23:06 修正 : 2017.09.04 07:35

 

国家安保補佐官・国防長官など 
「韓国を孤立させてはならない」引き止め中 
トランプ、ライトハイザー貿易代表部代表は廃棄側 
5日、廃棄可否を議論… 
「交渉ための見えすいた脅し」かどうかは不確実

ドナルド・トランプ米大統領がメラニー夫人とともに2日、ハリケーン被害を被ったテキサス州ヒューストンを視察するため空港に到着している。先月ヒューストンを訪問し大統領の行き過ぎた自己宣伝とメラニー夫人のハイヒールなどで物議をかもしたトランプ大統領夫妻は、この日再びヒューストンを訪問した=ヒューストン/AFP聯合ニュース

 ドナルド・トランプ米大統領が、韓米自由貿易協定(FTA)廃棄を検討していると言われる中で、米国内でもこれをめぐり賛否両論が交錯していると見られる。米国企業と議会側では廃棄の動きに反発する気流が強いという。

 

 韓米自由貿易協定廃棄の可否を決める最初の分岐点は今月5日になると予想される。ウォールストリートジャーナルは、トランプ大統領が5日に協定廃棄の可否を議論するため、ホワイトハウス高位参謀らと会う予定だと報道した。

 

 協定廃棄については、トランプ行政府内でも賛否の対立があると米国メディアは伝えた。トランプ大統領とロバート・ライトハイザー米貿易代表部(USTR)代表は、交渉廃棄に関心を示しているとウォールストリートジャーナルは伝えた。

 

 一方、ハーバート・マクマスター国家安保補佐官とジェームズ・マティス国防長官、ゲーリー・コーン国家経済委員会委員長らは、トランプ大統領の協定廃棄の動きを阻むために努力しているとワシントンポストは伝えた。協定廃棄反対派は、北朝鮮がミサイルプログラムと核実験、日本上空へのミサイル発射などを通してますます敵対的になっている時点に、韓国政府を孤立させることを望まないとしていると同紙は説明した。

 

 トランプ大統領の韓米自由貿易協定廃棄準備指示、および廃棄可否議論の方針は、先月22日にソウルで開かれた特別会議が決裂した後に出てきたと見られる。米国のマスコミも、韓国が特別会議で協定に重大な変化を望まないという立場を見せたことに、トランプ大統領が不快感を感じたと伝えた。韓国が提案した「共同研究」を、時間稼ぎ戦略と見なし、トランプ大統領が「強攻」を指示した可能性が高いと見られる。

 

 「廃棄検討」指示が、自由貿易協定の改定交渉で有利な高地を先に占めるための見えすいた脅しなのか、真剣に廃棄を念頭に置いたものなのかはまだ確実でない。ホワイトハウスのサラ・ハッカビー・サンダース報道官は、廃棄の有無については直接言及せず「交渉が進行中」とし「今の時点で私たちが発表する内容はない」と述べた。議論の過程に精通した行政府外部の関係者はウォールストリートジャーナルに「(廃棄検討が)どれほど真剣なのか実際には疑問」と明らかにした。

 

 米国の経済界では廃棄に反対する声が多い。米商工会議所はこの日、会員に向けて緊急に回したメモで、自由貿易協定発表以後に航空宇宙分野で韓国への輸出が80億ドルになり倍増し、農業分野の輸出も急増したとし「韓米自由貿易協定の廃棄はホワイトハウスと産業・農業系間の関係を破裂させるだろう」と警告した。

 

 全米製造業者協会も会員向けに緊急Eメールを送り、廃棄決定を阻むために「できるだけ早く政府高官、議会、州知事と接触せよ」と促したとウォールストリートジャーナルは伝えた。

 

 議会側でも廃棄阻止の動きが活発化する可能性が高い。畜産業が主な経済基盤であるネブラスカ州を選挙区とする共和党のベン・サス上院議員は、この日声明を通じて「私は農民、牧場主らと共にする」として反対する方針を明らかにした。また、韓米自由貿易協定は当初から「経済同盟」概念で接近した側面があり、いわゆる議会の知韓派を中心に協定廃棄に反対するものと予想される。

 

ワシントン/イ・ヨンイン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

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THAAD問題は現在、中韓関係の発展に最も大きな障害物であり、国交正常化以来、最も困難な問題」だ。

2017-08-23 | 韓国ハンギョレ新聞

韓中、長くて暗いTHAADトンネル…「戦略的協力」の出口はあるのか

登録 : 2017.08.23 02:52 修正 : 2017.08.23 06:50

岐路に立たされた韓中関係 
 
THAAD配備で両国最悪の冷却機 
朴槿恵政権の“豹変”で急速に冷却 
 
文在寅政権の韓米同盟優先に 
中国「核心利益を毀損」圧迫を強化 
両国の軋轢は相当期間続く見込み 
THAADめぐる立場変えなければ長期化の可能性も 
「中国の経済報復など深刻性を直視すべき」

中国当局と官営メディアがTHAADの朝鮮半島配置を強く非難している中、北京のある食堂に「韓国のお客さんお断り」の貼り紙が貼られている=中国威信貯蔵//ハンギョレ新聞社

 在韓米軍の高高度防衛ミサイル(THAAD)の配備問題で、韓国と中国が冷ややかな国交正常化25周年を迎えている。THAAD配備を決定した朴槿恵(パク・クネ)政権が退いて、文在寅(ムン・ジェイン)政権が発足したが、期待に反して両国は合意点を見出せず、依然として平行線を辿っている。専門家らは、韓中が2008年、「戦略的協力パートナー関係」に格上げされたが、両国関係が依然として脆弱な現実を確認しただけと指摘している。1992年の国交正常化以来、“最悪”と言われる韓中関係を文在寅政権がこれからも“放置”すれば、“突破口”は見つからないだろうという憂慮の声もあがっている。邱國洪駐韓中国大使は21日にも「THAAD問題は現在、中韓関係の発展に最も大きな障害物であり、国交正常化以来、最も困難な問題」だという言葉を繰り返した。

 

■依然として脆弱な韓中関係

 

今年5月文在寅大統領と行った最初の電話会談で、中国の習近平国家主席は「求異」(同じものを追求するものの、他のものにおいては和解する)を言及し、新政府が以前の政府とは異なるという期待感を示した。

 

 朴槿恵政権当時、韓中関係は大きく揺れ動いた。2015年10月、朴前大統領は「韓国は米国のアジア・太平洋再均衡政策の核心パートナー」と宣言し、事実上「米中間均衡外交」が終焉したことを明らかにした。米国の反対を押し切って習主席と並んで北京天安門の城閣に立っていわゆる「城閣外交」を誇示してから、1カ月後のことだった。翌年7月、朴前大統領は、中国が激しく反発してきたTHAAD配備の決定を電撃的に発表した。黄教安(ファン・ギョアン)前首相が中国指導部に会って、「THAAD配備は決定されていない」と説明してからわずか10日後のことだった。

 

 THAAD配備の決定を発表したことを基点に、両国関係は急速に冷え込んた。振れ幅が大きかった「朴槿恵外交」が中国政府に不信感を抱かせたのも事実だが、冷ややかな雰囲気の底辺には韓国が日米同盟のもう一つの軸として編入されることに対する中国の憂慮が大きく働いたものと見られる。成均中国研究所のヤン・ガビョン研究室長は「最も大きな問題は、韓中関係が米中関係の従属変数になること」だと話した。

 

■THAADが露呈した韓中の本音

 

今年7月6日、ベルリンで初めて文大統領と対座した習主席はいっそう強い言葉で「THAAD反対」の意向を明らかにした。文大統領が初の韓米首脳会談のために訪問したワシントンで「環境影響評価(アセスメント)の指示などはTHAADの撤回を念頭に置いた処置ではない」と釘を刺した直後だった。

 

 キム・フンギュ亜州大学中国政策研究所長は「習主席は7月6日、韓中首脳会談でTHAAD問題を『核心利益』と規定した」とし、「韓中関係の条件と脈絡を再規定したのは重要なシグナル」だと話した。

 

 中国は「THAADが戦略的安保利益と地域の戦略的な均衡を損なう」と反発しているが、韓国は「THAADは北朝鮮の核・ミサイル脅威を防御するためのもの」だと対抗してきた。含意は別にある。まず韓国としては「韓中関係を活性化するために韓米同盟を裏切るわけにはいかない」という前政府の“選択”が、現政府でも有効であることを意味する。イ・ヒオク成均中国研究所所長は「文在寅政権が韓米同盟を堅固化した後、これに基づいて、韓中関係を発展させるという方針を固めたようだ」と話した。

 

 一方、中国としては、韓国が米国主導の東アジアのミサイル防衛(MD)体系に編入され、米国が追求してきた韓日米安保協力の強化が「三角同盟化」することをただ手をこまぬいて見ているわけにはいかない。中国はこれを自国を牽制するための米国の東アジア戦略の一環と見ているからだ。

 

■韓中の戦略的協力は可能か?

 

 当初、文在寅政権は南北関係を改善し、これをテコにしてTHAAD問題を解決するという構想を持っていた。文大統領は昨年5月に特使を送り、このような論理で中国を説得しようとした。当時の事情に詳しい外交消息筋は「中国は北朝鮮の核問題とTHAADを別問題として分離してアプローチするのが原則であるため、他の案が必要だという立場を示した」と伝えた。

 

 多くの専門家は韓国と中国間の冷却機が相当期間持続するだろうと予想している。文在寅政権がTHAAD配備を既成事実化した状況である上、習主席の首脳会談での発言からして、今秋、中国の第19回党大会が終わってからも、すぐには関係改善のきっかけを掴むのは難しいということだ。

 

 政府の立場も大きく変わらないようだ。大統領府関係者は「THAADに対する韓国政府の立場が変わるか、それとも中国が第19回党大会以降、周辺環境に対する再評価作業を行わなければならないだろう」とし、「このような状況で、政府が積極的な措置を取るのは難しい」と話した。匿名を希望した元政府高官は「現在(THAAD問題に対する)政府の対応は安易で無責任だ」だと指摘した。

 

 文在寅政権にとって、この局面の長期化は交易1位を占める中国の“経済報復”が続くという意味だ。すでに韓国経済のいたるところで確認される被害は、今後さらに大きな打撃につながる見通しだ。キム・フンギュ所長は「大統領府が、現在、韓中関係が直面した深刻性を直視する必要がある」としたうえで、「政府が対応策の模索に乗り出さなければならない」と助言した。

 

キム・ジウン記者、北京/キム・ウェヒョン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

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朴槿惠(パク・クネ)-チェ・スンシル国政壟断を粘り強く追跡・暴露し、大統領を罷免に至らせたハンギョレ特別取材チームの体当たりのスクープ秘話。

2017-07-29 | 韓国ハンギョレ新聞

[書評]ハンギョレはいかにして「国政壟断」の尻尾を掴んだのか

登録 : 2017.04.28 04:32 修正 : 2017.04.28 07:24

 

チェ・スンシルゲートのスクープ顛末記  
「なぜ?」という問いかけから始まる  
地下鉄の乗客も“取材協力”

『チェ・スンシルゲート-記者たち、大統領を引きずり下ろす』ハンギョレ特別取材班著/トルベゲ・1万5000ウォン//ハンギョレ新聞社

 朴槿惠(パク・クネ)-チェ・スンシル国政壟断を粘り強く追跡・暴露し、大統領を罷免に至らせたハンギョレ特別取材チームの体当たりのスクープ秘話。

 

 取材チームは2016年9月2日から2017年1月6日まで、127日間にわたり100人以上を取材し、様々な文書を集めて分析した。その結果、朴槿恵とチェ・スンシルが共謀して弱点をつかまれた大企業から数百億ウォンをゆすり取り、ブラックリストを作って文化界を圧迫し、気に入らない公務員を追い出すなど、不正を犯した事実を突き止めた。

 

 スクープは、「なぜ」という問いかけと豊富な経験、粘り強い追跡、またチームワークによって成し遂げられるものであることが、この本でわかる。

 

 2016年8月18日、大統領府は禹柄宇(ウ・ビョンウ)大統領府民政首席に対する捜査を依頼したイ・ソクス特別監察官と「朝鮮日報」の電話インタビューを問題視し、「国家紀律を揺さぶる行為」だと規定した。民政首席秘書官一人をかばうために、チェ・ドンウク検察総長の婚外子の報道で政権初期に不正選挙をめぐる議論を鎮静化した「朝鮮日報」に、全面戦争を宣布するなんて…。なぜだ?好奇心に駆られた「古株記者」のキム・ウィギョムは、あちこち電話をかけた結果、大統領府が「ミル・Kスポーツ財団」と「ミセスチェ(チェ・スンシル)」を守るため、「過剰反応」していることを感知した。長年の取材経験から「大物」であることを直感した彼は会社に掛け合い、カン・ヒチョル、リュ・イグン、ソン・ホジン、ハ・オヨン、パン・ジュンホなどで特別取材チームを作った。

 

2016年9月20日付のハンギョレ紙面//ハンギョレ新聞社

 取材チームは9月20日、「財閥から資金288億(約28億3千万円)を集めたKスポーツ財団、理事長はチェ・スンシルが常連のマッサージ院長」という記事を始めて掲載した。ここでも疑問符がつきまとった。特別でもないスポーツマッサージセンターの代表が数百億ウォンを牛耳るスポーツ財団代表を務めるなんて…なぜ?この記事で「チェ・スンシル」という人物が姿を現した。1カ月以上も続いた「ミル・Kスポーツ財団疑惑」記事は、情報のかけらを集め、パズルのようにつなぎ合わせる辛い作業だった。「チェ・スンシル、Kスポーツ財団の主要事業直接報告を受けた」事実を暴いた10月24日からは、「チェ・スンシル国政壟断」「チェ・スンシルゲート」へと広がった。2週後の11月8日、「朴大統領、捜査を控えた辛東彬(<シン・ドンビン>重光昭夫)会長と単独面談し、財団への支援を要求」との記事が出てからは「朴槿恵-チェ・スンシルゲート」に、事件の性格が急激に変わった。

 

 セウォル号惨事当日、朴槿恵大統領がアップヘアを完成するのに90分を無駄にしたという記事は、“粘り”続けた末、ついに手にしたスクープだ。大統領府を出入りする人が院長を務める美容室で、目の上のたんこぶ扱いをされながら、5日間も通い続け、(アップに)かかった時間が90分なのかと問い続けた結果、院長から「いいえ」ではなく、「正確に答えられなくて申し訳ありません」という答えを引き出したのだ。不正の頂点には朴槿恵大統領がいることを教えてくれたイ・ソンハン前ミル財団事務総長やチョン・ヒョンシク前Kスポーツ財団事務総長とのインタビューは、長い時間をかけて接触し、信頼を積み上げてきた結果だ。大統領府による大韓航空の人事介入や文化界のブラックリスト通達、文化体育観光部の幹部ノ・テガン、チン・ジェス氏の追放などは、特別取材チームではなく、同僚記者たちの人脈と協力が大きな役割を果たした。

 

「朴槿惠-チェ・スンシル国政壟断」を粘り強く追跡・暴露し、大統領を罷免に至らせた特別取材チーム。左側から時計回りに、キム・ウィギョム、ハ・オヨン、パン・ジュンホ、リュ・イグン記者=ハンギョレ資料写真//ハンギョレ新聞社

 弾劾事態が有力メディアと政府の思惑通りに進まなかった状況も確認できる。チョン・ユラ(チェ・スンシルの娘)の大学入試や学事における不正は、財団をめぐる疑惑報道の過程で「一呼吸置いた」報道だった。しかし、この記事は他のメディアの関心を集めると共に、教育問題に敏感な保護者らの憤りを呼び起こし、ゲートを全国民の関心事に浮上させた。当時与党のセヌリ党(現在自由韓国党)のイ・ジョンヒョン代表が、ハンガーストライキと共に国政監査を拒否することで朴大統領の庇護に乗り出し、朴槿恵大統領が改憲論を持ち出して流れを変えようとしたが、思い通りにはならなかった。

 

 取材過程で目撃した世相も目を引く。自ら嘘をつきながらマスコミを非難する教授、チョン・ユラの行方を教えながら面白そうに笑っていたドイツ人、単独で情報を提供すると言って、マスコミ各社に連絡した情報提供者…。最も印象的な場面は、地下鉄の騒音に声が大きくなった電話取材の間、息をひそめ、降りる時に「お疲れ様です」と労いの言葉をかけてきた乗客たちだ。

 

 恥ずべき「チェ・スンシルゲート」を暴いた彼らの報道は、韓国マスコミの快挙と言われた。『チェ・スンシルゲート-記者たち、大統領を引きずり下ろす』はワシントンポスト記者たちの(ウォーターゲート事件を取り上げた)『大統領の陰謀-ニクソンを追い詰めた300日』を彷彿とさせる。スクープ記事が掲載された新聞紙面がそのまま載せられており、ジャーナリズム・スクールの教材としても使えそうだ。

 

イム・ジョンオプ先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

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パク・クネ-チェ・スンシルゲートと関連した1審の初判決でパク・ヨンス特別検察官チームが起訴した「秘密診療や特恵疑惑」

2017-05-20 | 韓国ハンギョレ新聞

「国政壟断聴聞会」での偽証に懲役1年…

国会偽証罪で17年ぶりに実刑判決

登録 : 2017.05.19 04:20 修正 : 2017.05.19 09:04

国政壟断関連初の1審判決…秘密診療関係者全員に有罪 
聴聞会で偽証したチョン・ギヤン教授、懲役1年法廷拘束 
イ・イムスン教授、懲役10カ月に執行猶予2年 

秘密診療に関わったキム・ヨンジェ氏、懲役1年6カ月に執行猶予3年 
夫人のパク・チェユン氏、懲役1年の実刑 
「キル・ライム」と虚偽記載したキム・サンマン氏、罰金100万円

2016年12月14日午前、国会で開かれた聴聞会でキム・ヨンジェ氏が後方に座ったイ・イムスン順天郷大学ソウル病院教授との関係に対する質疑に答えている。イ・イムスン教授の左はチョン・ギヤン教授。 彼らはすべて国会偽証罪で有罪判決を受けた=イ・ジョンウ先任記者//ハンギョレ新聞社

 「朴槿恵(パク・クネ)-チェ・スンシルゲート」と関連した1審の初判決でパク・ヨンス特別検察官チームが起訴した「秘密診療や特恵疑惑」の当事者らが全員有罪判決を受けた。国政壟断関連者を処罰しようとする裁判所の意志が確認されたものと評価されている。裁判所は特に、国会聴聞会での偽証に対し、17年ぶりに実刑を言い渡し、厳しく断罪する意向を示した。

 

 ソウル中央地裁刑事23部(裁判長キム・テオプ)は18日、国会の国政調査聴聞会で虚偽の証言をした容疑(国会での証言・鑑定などに関する法律違反)で起訴されたチョン・ギヤン・セブランス病院皮膚科教授に懲役1年を、イ・イムスン順天郷大学ソウル病院産婦人科教授には懲役10カ月に執行猶予2年を言い渡した。裁判所は「国政壟断の疑惑事件の真相が明らかになることを望んでいる国民の切実な思いに背き、国民の代表機関である国会聴聞会でも偽りを述べた」とし、「国民に向けて虚偽の証言をし、真実を隠蔽すると共に、国政調査の機能を毀損した」と指摘した。

 

 国会偽証罪で実刑判決が下されたのは1999年「服ロビー疑惑」事件と関連し、2000年にカン・インドク元統一部長官の夫人ペ・ジョンスク氏が1審で懲役1年を言い渡されて以来初めてだ。

 

 昨年12月14日に開かれた「国政壟断国政調査聴聞会」で、チョン教授は「大統領にヤングスリフト施術(シワ改善施術)をしようと思ったことはない」とし、イ教授は「ソ・チャンソク・ソウル大学病院長にキム・ヨンジェ夫妻を紹介したことはない」と偽証した疑いで、今年2月に裁判にかけられた。裁判所は法廷で犯行を否認したチョン教授に実刑を言い渡して法廷拘束しており、法廷で過ちを認めたイ教授に対しては、執行猶予を宣告した。

 

 裁判所は「秘密診療と特恵」の中心だったパク・チェユンYジェイコブズメディカル代表とキム・ヨンジェ「キム・ヨンジェ医院」院長夫妻にも有罪を言い渡した。裁判部は海外進出などを手助けした見返りとして、アン・ジョンボム元大統領府首席に4949万ウォン(約500万円)、キム・ジンス元大統領府秘書官に1034万ウォン(約100万円)の賄賂を渡した容疑(贈賄)で起訴されたパク代表に、懲役1年を言い渡した。裁判所は「被告人は大統領とその側近であるチェ・スンシルの国政壟断に主導的に便乗し、利益を享受しており、(それによって)中小企業を運営する企業家らは公正に競争する機会を奪われた」と明らかにした。賄賂を受け取ったアン元首席も実刑を免れないものと見られる。

 

 裁判部は、一部の賄賂を一緒に渡して朴前大統領に5回美容整形の施術をした後、記録を残さなかった疑い(医療法違反)などで起訴されたパク代表の夫、キム・ヨンジェ院長には懲役1年6カ月に執行猶予3年、罰金300万ウォン(約30万円)を言い渡した。2012年4月から2014年3月の間に、24回にわたり朴前大統領を診療したにもかかわらず、チェ・スンシル、チェ・スンドゥク、キル・ライムなど他の人の名前で診療記録簿を作成した疑い(医療法違反)で起訴され、裁判にかけられたキム・サンマン元緑十字アイメッド院長は、罰金1000万ウォン(約100万円)を言い渡された。

 

キム・ミンギョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

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韓国大統領選挙情報:ハンギョレ新聞より。共に民主党の文在寅候補が40%前後の固定支持率を維持!

2017-05-02 | 韓国ハンギョレ新聞

「“当選するであろう候補”を押すより“望む候補”に投票」…

明確になった1強2中

登録 : 2017.05.01 23:13 修正 : 2017.05.02 06:48

 

文、40%台の支持率で誤差範囲を超えて首位 
安、討論の不振・保守をつかみ損ね逆風に苦戦 
洪、“割り打ち”で保守層結集させ 
専門家「有権者、戦略的投票よりも 
今度は所信投票する可能性が高い」

 第19代大統領選挙を8日後に控え、大統領選挙の構図が「文在寅(ムン・ジェイン)対安哲秀(アン・チョルス)」の2強構図から「文在寅対安哲秀・洪準杓(ホン・ジュンピョ)」の1強2中体制に急速に再編された。共に民主党の文在寅候補が40%前後の固定支持率を維持する一方、国民の党の安哲秀候補と自由韓国党の洪準杓候補は、保守票心の移動とともに2位争いを繰り広げる様子だ。

 

国民の党の安哲秀大統領候補が5月1日午後、仁川南区の新世界百貨店の前で開かれた遊説に先立ち、壇上に上がってあいさつしている=仁川/カン・チャングァン記者

 最近の世論調査の結果で、安候補の下落と洪準杓候補の上昇ははっきりしている。「明日新聞」がザ・オピニオンに依頼し29~30日、全国の成人1000人を対象に大統領選挙候補の支持度を調査した結果、文在寅37.3%、安哲秀20.5%、洪準杓15.8%、沈相ジョン(シム・サンジョン)6.9%、劉承ミン(ユ・スンミン)4.9%の順で調査された。「キリスト教放送」リアルメーターの調査(27~29日)の調査でも、文在寅42.6%、安哲秀20.9%、洪準杓16.7%、沈相ジョン7.6%、劉承ミン5.2%と出ている。文候補が独占的優位を固めた中、安候補と洪候補が誤差範囲内で競争している格好だ(詳しい内容は中央選挙世論調査審議委員会ホームページ参照)。

 

自由韓国党の洪準杓大統領候補(右)が5月1日午後、全州殿洞聖堂の近くで開かれた遊説で支持者から贈られた種雌鶏を食べている。洪候補の妻のイ・スンサム氏は全羅北道扶安出身だ=全州/聯合ニュース

 わずか2週間前まで文在寅候補と首位争いを展開した安哲秀候補の“急落”の原因をめぐり、これまで大統領選挙の結果を左右した「理念」と「地域」の二つの軸が再び作動し始めたという分析が出ている。進歩(文在寅)と保守(洪準杓)の間で、確固たる支持基盤もなく中道を標榜した安候補の立地が狭まるほかないということだ。キム・ヒョンジュン明智大学教授は「安候補は自分の弱点を乗り越えるために『未来』と『統合』などを主張してきたが、フレームの獲得が未熟であり、主要イシューとして打ち出した第4次産業革命なども国民が体感するには曖昧だった」と指摘した。また、保守層を攻略するため、主要な安保イシューで「右寄り」の姿勢を見せたが、結果的には進歩・中道層の従来の支持層を失った。特に、5回にわたるテレビ討論会が支持率急落の決定的な契機を提供したという見方が多い。韓国ギャラップが4月25~27日に実施した調査で、安候補はテレビ討論会以後、イメージが前より悪化したという回答が44%で、主要候補5人の中で最も多かった。匿名を求めた世論調査専門家は「圧縮的に行われる今回の大統領選挙では、テレビ討論会が候補選択の決定的な基準になった」とし、「先月23日の3回目の討論会時、安候補の『甲(カプ)哲秀』(甲は優位の者による横暴の意味)、『MBアバター』(李明博元大統領に代わる者の意味)発言以後、下落傾向が明確になった」と説明した。安哲秀候補陣営関係者は「世論調査は深層の民意を汲んでいない」とし、反騰を信じている。

 

 一方、洪準杓候補の急浮上は「割り打ち(相手の勢力圏を分割する)戦略」が効果を発揮したことによるものとみられる。「従北左派」、「3%の強硬な貴族労組」などの発言を繰り返しながら、大邱(テグ)・慶尚北道と保守層に浸透していっているということだ。ここへ、最近起こっている外交・安保問題も支持層を結集させているという分析もある。洪候補側は、世論調査結果の公表が禁止される「暗闇選挙」期間(3~9日)の間、安哲秀候補を抜いて「シルバークロス」を成し遂げると判断している。キム・ヒョンジュン教授は「洪候補はフレームづくりに長けている。『暴言』と荒々しくぶっきらぼうな発言に明け暮れているが、終われば残像を残す」と話した。キム教授は「多者構図が続いて大統領選挙の変動性が大きくなり、有権者たちは『(大統領に)なるであろう人を押す』という戦略的投票よりも『私が望む人に投票する』という所信投票に臨む可能性が高い」と話した。洪候補の上昇の勢いが続くだろうということだ。

 

チェ・ヘジョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

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2002年民主党大統領候補となった盧元大統領の釜山選挙対策本部長を務めたことで、政治と縁を結んだ。

2017-04-04 | 韓国ハンギョレ新聞

文在寅はどんな人物?

登録 : 2017.04.04 04:11 修正 : 2017.04.04 07:59

盧武鉉元大統領との出会いで政治の道へ… 
「弊害の清算」課題抱えて再挑戦

文在寅前代表が3日、高尺スカイドームで民主党の19代大統領選候補に選出された後、花束を手に党員に挨拶している。文候補は同日の首都圏・江原・済州道の予備選挙を含め計4回の巡回予備選挙の累積得票率57%を得て、決選投票なく候補に確定した。カン・チャングァン記者//ハンギョレ新聞社

 3日、共に民主党の大統領選候補に選出された文在寅(ムン・ジェイン)前代表(64)は、誰かの一歩後ろに立っていた方が落ち着くような人だった。維新反対デモを率いていた大学生から人権弁護士に、社会変革に取り組んできたが、彼はいつも“政治”の前面に出るより、“自由人”としての生活を渇望していた。2012年の大統領選挙を控えて盧武鉉(ノ・ムヒョン)前大統領の逝去後、“運命”のように政治に呼び寄せられた彼は、自分の名前を掲げて政権交代を叫ぶ“現実政治家”に変貌した。

 

■運命

 

 1953年1月23日、慶尚南道(キョンサンナムド)巨済(コジェ)で2男3女の長男に生まれた文候補は、貧しさのためにトウモロコシのおかゆの給食で食事を済ませ、月謝が払えず、授業の途中に教室から追い出されたこともあった。慶南中・高等学校を経て、浪人して慶煕大学法学部(1972年)に進学してからは、勉強よりも維新反対デモの先頭に立った。司法研修院を次席で修了したにもかかわらず、デモの前歴のため、判事になれなかった彼は、検事でも大手法律事務所の弁護士でもなく、「庶民が経験する事件の中で弱い人を助けてやりがいを見つける普通の弁護士」になる道を選んだ。

 

 そんな彼に政治家の道を歩ませたのは盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領だった。いや、運命だった。“弁護士盧武鉉”と釜山(プサン)でともに法律事務所を運営していた文候補は、2002年民主党大統領候補となった盧元大統領の釜山選挙対策本部長を務めたことで、政治と縁を結んだ。

 

大学生の文在寅(左)と現在の妻、キム・ジョンスク氏(左から2番目)//ハンギョレ新聞社
特戦司令部部隊の同僚と共に。右端が文在寅候補//ハンギョレ新聞社
開業した弁護士事務所で母親と記念写真を撮る姿//ハンギョレ新聞社

 彼は盧武鉉政権で大統領府民政首席秘書官、大統領秘書室長などを歴任したが、盧前大統領の相次ぐ勧誘にもかかわらず国会議員選挙に出馬するなど政治の第一線に出るのは極力避けた。彼を政治舞台に呼びよせたのは2009年5月23日の盧前大統領の逝去だった。「あなたはもう運命から解き放たれたが、私はあなたが残した宿題に縛られることになった」。彼は結局、2011年末「政権交代」という大義名分のために、野党の大統合を通じた民主統合党の創党に参加し、2012年4・11総選挙当時、釜山沙上(ササン)選挙区で議員に当選した後、大統領選挙まで駆け上がった。しかし、同年12月、当時朴槿恵(パク・クネ)セヌリ党候補と対戦した大統領選挙の結果は51%対49%、彼にとっては痛い敗北だった。

 

盧武鉉政権の大統領秘書室長職を務めていた時代//ハンギョレ新聞社
大統領府から退いた後、慶尚南道梁山の家でのひととき//ハンギョレ新聞社

■権力意志

 

 眠っているかのように見えた彼の権力意志が新たに注目され始めたのは、2015年に新政治民主連合2・8全党大会の時だった。当時、党内の長老たちだけではなく、側近たちも「じっとしていれば花の御輿に乗せて大統領選挙に運んであげるのに、汚れ仕事の代表を務めても何の役にも立たない」と止めた。しかし、彼は「このままじっとしていると、私は何もできず消えてなくなる」と言い、出馬を決めた。結局、党代表になったが、それから10カ月は茨の道だった。代表就任後、2カ月後に行われた再・補欠選挙で惨敗した直後、沸騰した「責任論」は“新人代表”のリーダーシップを巡る議論に飛び火した。また、「公認革新案」の処理のため、党代表再信任投票まで掲げたが、安哲秀(アン・チョルス)前代表などが「親文(在寅)覇権主義」を批判しながら、大挙離党し、党が割れた。

 

 2016年4・13総選挙を控えて危機に直面した彼は勝負をかけた。2012年の大統領選挙の際、ライバルの朴槿恵前大統領側で国民幸福推進委員長を務めた金鍾仁(キム・ジョンイン)元議員を非常対策委員会代表に迎え入れ、正面突破を試みて、総選挙で勝利した。しかし、「政界引退」まで公言し力を入れた全羅道で国民の党に惨敗したのは、政治的負担になった。

 

 文候補は、今回の大統領選挙で「弊害の清算」と「完全に新しい大韓民国」を約束する一方、「異なることが間違いとして排斥されてはならない」と強調している。2度目の大統領選挙の挑戦に乗り出した彼は、党外から吹き荒れている反文連帯の風を静め、反対側に立った有権者を説得して“過去”と決別しなければならない難しい宿題を受け入れた。

 

イ・ジョンエ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

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来年9月の3連投のための党総裁選挙を控えて、安倍政権の支持率が急落しかねないという展望を出し始めた。

2017-03-15 | 韓国ハンギョレ新聞

安倍首相、日本版「チェ・スンシルゲート」で支持率大幅下落

登録 : 2017.03.14 22:01 修正 : 2017.03.15 07:15

「森友学園スキャンダル」、安倍首相支持率動揺 
2021年9月までの安倍首相任期延長に対しても 
賛成一色の自民党とは異なり賛否意見拮抗

安倍晋三首相とサウジアラビアのサルマン国王が13日、日本の首相官邸で会談を行い、サウジアラビアに日本企業のための経済特区を設置する内容の「日・サウジ ビジョン2030」を発表した。写真は会談場でのサルマン国王(左)と安倍首相=東京/共同聯合ニュース

 日本の政局を揺るがしている「森友学園スキャンダル」が、安倍晋三首相の支持率を揺さぶっている。安倍首相の3連投を可能にした自民党党規改正に対する世論も賛否意見が拮抗している。

 

 朝日新聞が14日に公開した3月世論調査結果によれば、安倍政権の支持率は前月より4%ポイント下がった52%を記録した。前日の毎日新聞世論調査でも前月より5%ポイント下がった50%であった。

 

 支持率の急落には、安倍首相の不誠実な態度も一役買った。学園側が子供たちに日本軍国主義教育の象徴である教育勅語を暗唱させるなど「極右教育」を受けさせたり、安倍首相の夫人である昭恵氏が新設予定の小学校の名誉校長を引き受けるなどの癒着疑惑が絶えず提起された。しかし安倍首相は「妻は私人」とし自身との関連性を否定したり、野党の真相調査要求も皮肉たっぷりな態度で握りつぶしてきた。朝日新聞の調査によれば、国民の81%が鑑定価格より8億円も安く土地を購入した森友学園の取引に対して「妥当でない」と答え、「適法な取引」という政府の説明に対して71%が「納得できない」と答えた。

 

 さらに自民党総裁の任期を「2期6年」から「3期9年」に延長した5日の党規改正に対しても、世論は予想以上に冷たかった。毎日新聞は14日「安倍首相の3連投」に対する質問に、賛成と反対が45%対41%だったと伝えた。「安倍一強」体制の自民党で圧倒的賛成により改正案が通過したこととは相当な温度差が見られる。他の新聞の調査ではあるが、森友学園スキャンダルが本格化される前の先月24~25日、日本経済新聞の「3連投賛成」63%の調査とは相当な差がある。

 

 日本のマスコミは、安倍政権の看板政策であるアベノミクスが結局失敗に帰したという傾向が確認されれば、来年9月の3連投のための党総裁選挙を控えて、安倍政権の支持率が急落しかねないという展望を出し始めた。

 

東京/キル・ユンヒョン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

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朴槿恵前大統領の罷免決定に日本のマスコミ:干渉して、入れ知恵して、罷免決定が下されると癇癪を起こす!

2017-03-14 | 韓国ハンギョレ新聞

[記者手帳]日本マスコミの“度を越した”報道をどう見るべきか

登録 : 2017.03.13 22:53 修正 : 2017.03.14 06:51

 

日本の新聞による韓国の内政に対する口出し的干渉が度を越している。読売新聞は12日付で、朴大統領を罷免した憲法裁判所の全員一致判決に対して「政治的決定」ではないかという疑問を提起した//ハンギョレ新聞社

 「大陸浪人」という言葉に初めて遭遇したのは、明成(ミョンソン)皇后暗殺事件に対する古典といえる角田房子の『閔妃暗殺』という本を通じてだ。この本で、日本陸軍少佐出身の岡本柳之助(1852~1912)という謎めいた人物は、民間人の身分で日本政府が背後で主導した明成皇后暗殺(1895年)の主導的役割を担う。このように明確な公的地位もなく朝鮮半島、満州、中国を往来して日本の大陸侵略のために活動した者を「大陸浪人」と呼ぶ。

 

 彼らが初めから明確な目的意識を持って動いたわけではない。しかし、彼らは結局日本の国益を貫徹するために朝鮮の内政に干渉し、その過程で一国の王妃を殺害し、結局朝鮮を強制併合する一助となる。

 

 解放以後にも日本は自国の利害により韓国の国家利益を規定した後、多様な公式・非公式的ルートを通じて多くの干渉と圧迫を加えてきた。日本と韓国軍事政権の間の黒幕として活動したのが児玉誉士夫、瀬島龍三のような日本の右翼人士だった。特に後に伊藤忠商事の会長職にまで上がることになる瀬島は、公職者ではなかったが、全斗煥(チョン・ドファン)時代に韓国軍事政権と日本政府を連結する後援者の役割を果した。

 

 瀬島は光州(クァンジュ)虐殺で沸き立った韓国の世論を収拾するための方策として、全斗煥元大統領にはソウルオリンピック誘致、盧泰愚(ノ・テウ)元大統領には保守大連合を通した内閣制改憲などを助言したと伝えられる。日本の右翼が韓国の軍事政権を支援した理由は一つであった。冷戦時期に共産勢力に対抗し日本を守る強固な防波堤として韓国を活用する必要があったためだった。

 

 10日、朴槿恵(パク・クネ)前大統領の罷免決定に対する日本マスコミの報道態度もこれと似ている。日本の保守を代弁する読売新聞は12日、朴前大統領の罷免を確定した憲法裁判所決定に対して「憲法裁判所が大統領罷免を要求する国民の声におもねって権力を行使したのなら行きすぎだろう」と主張した。それと共に、韓米日3角同盟深化、THAAD配備決定維持、12・28合意尊重を要求した。日本の口に合うように韓国の国家利益を規定した後、干渉して、入れ知恵して、罷免決定が下されると癇癪を起こすような態度だ。

 

 安倍晋三政権は彼らの支援を背景に韓国の新しい政権が朴槿恵政権の外交・安保政策を修正しようとすれば、多様な報復措置を次々と与えると予想される。日本マスコミの「大陸浪人」のような報道を見て、韓日関係の本質は100余年前と全く変わっていないことを改めて痛感する。

 

東京/キル・ユンヒョン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

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長い冬が去り春が来る町角で、腐って病気にかかった枝は落ちた。そしてその場に新しい芽生えが始まっている。

2017-03-11 | 韓国ハンギョレ新聞

[社説]民主主義の道しるべを新たに打ち立てた市民革命の勝利

登録 : 2017.03.10 23:57 修正 : 2017.03.11 06:16

10日午前、朴槿惠大統領弾劾案が憲法裁判所で認容された瞬間、ソウル鍾路区の安国駅近隣に集まっていた市民が立ち上がって歓呼している=キム・テヒョン記者//ハンギョレ新聞社

 愚かで極悪非道な大統領は、結局権力の座から追い出された。事必帰正。国民を蔑視し国家権力を私物化して国の根本を揺るがした罪に対する当然の因果応報だ。長い冬が去り春が来る町角で、腐って病気にかかった枝は落ちた。そしてその場に新しい芽生えが始まっている。

 

 朴槿恵(パク・クネ)大統領罷免の外的形式は憲法裁判所の弾劾認容だが、実際的内容は常識と当然な道理の勝利だ。これは、左右の問題でも、進歩と保守の対決でも、理念と階級の問題でもない。冬の間に広場で燃え上がったろうそくの炎は「法治と民主」に向けた渇望であったし、憲法裁判所は「全員一致の罷免賛成」でこれに答えた。「大統領の違憲・違法行為は、憲法守護の観点から容認できない重大な法違反行為」であり「大統領罷免により得られる憲法守護の利益が圧倒的に大きい」という憲法裁判所の決定は簡潔で的を射ている。ろうそく市民が流した涙は、不正な権力によって汚された世の中を浄化し、炎に宿った生命力は国を新たに脱皮させようと力強くゆらめいている。

 

 法治主義は統治者の恣意的支配を排撃することから始まる。憲法の「憲」は、何人も社会構成員に対し害を及ぼせないよう、目と心で徹底的に監視するという意味を含んでいる。大韓民国が一瞬にして奈落の底に落ちたのは、合理的な法の支配ではなく権力者の自分勝手な支配が横行したためだ。憲法裁判所は傍若無人な恣意的統治にとどめを刺し、国家に害悪を及ぼした最高権力者を厳しく懲治することによって法治主義の大義を再び打ち立てた。

 

「法治と民主」の価値を確認した憲法裁判所決定

 

 

昨年11月26日夕方、ソウルの光化門広場で開かれた第5回ろうそく集会を終えた市民が大統領府側に行進している=キム・ポンギュ先任記者//ハンギョレ新聞社

 大統領の罷免は国民にとって羞恥であると同時に誇りでもある。ねつ造された神話と虚像にだまされて傲慢無道な資格未達者を国家の最高指導者に選んだことは復元が難しい失敗であった。だが、私たち国民は誤りを自ら原状回復させる偉大な底力を発揮した。「水は船を出すことも、ひっくり返すこともできる」という古の先賢の言葉を身をもって証明した。これを通じて民主主義を一段階進展させた。2017年3月10日は、世界史的にも類例を探し難い市民革命の貴重な勝利の貴重な勝利の日として歴史に長く記録されるだろう。

 

 朴前大統領は今“失楽園”の悲哀を再確認しているかもしれない。過去4年の歳月、彼女にとって大統領府は思う存分羽を伸ばして楽しむ楽園であっただろう。だが、国民にとっては地獄だった。経済はどん底で停滞し、民生は破綻して、韓国は国際社会の袋叩きに遭うことになった。全国どこを見回しても、一箇所として完全なところはない。無能な権力者が追い出され、残された各種の不幸な遺産はそっくり国民の肩の上に重い荷物として残った。

 

 それでも朴前大統領には最後まで反省も懺悔もない。憲法裁判所の罷免決定の後にも、一切の立場発表もせずに沈黙で一貫している。この間、憲法裁判所前の道路で繰り広げられた弾劾反対者らの集会は、暴力と過激に上り詰め、2人が亡くなるという不幸な事態が起こった。朴前大統領に最小限の良識があるならば、憲法裁判所の決定直後に直ちに謙虚に承服するという立場を発表することが正しい身の振り方であった。それでパニックに陥った弾劾反対者らをなだめて、気持ちを落ち着かせようと努力することこそ正しかった。しかし、彼女は最小限の義務さえも最後まで放棄した。

 

 朴前大統領は逆に弾劾反対集会での不祥事を、自身の立場の強化に活用しようと考えているかもしれない。権力の座から追い出されたその先には、検察の捜査など険しい茨の道が待っている。弾劾反対者らの激烈なデモは、自身を保護する良い盾になると見ているかもしれない。朴大統領がこれまで見せた振る舞いを見れば、国家がどうなろうが自分の利益のためには何でもするという破廉恥と小細工の連続だった。「憲法裁判所決定への承服が民主主義の出発点」という命題くらいは簡単に蹴飛ばす人が朴前大統領だ。真に嘆かわしいことだ。だが、朴前大統領は勘違いしてはならない。そうした小細工で法の厳重な審判を避けることはできない。

 

憲法裁判所決定に沈黙で一貫している意図は何か

 

 朴前大統領と彼女の支持者は、もう狂気の濁流から抜け出さなければならない。大統領に対する弾劾反対は、灯りに向かって無為に飛び込んでいく夏の虫に過ぎないことが、憲法裁判所の決定により確認された。それでも無駄になった迷妄と盲信から抜け出せずに、このままずっと太極旗を辱める行為を続けるならば、それは国の不幸であり本人の不幸だ。

 

 憲法裁判所は単に朴大統領の弾劾可否だけを決めたのではない。国の根幹を新たに立て直し、今よりもっと良い国を作らなければならないという課題が、そこには含まれている。憲法裁判所の決定は、弾劾列車の終着駅であり、新しい挑戦に向けた出発駅だ。国の根幹を新しく立てることは、単に法治主義の確立、最高権力者の節制などにとどまらない。“ヘル朝鮮”という言葉で代弁される社会全般の不条理と不平等、社会の随所で乱舞する反則と特権、政官財界の強固な既得権体系など、これまで韓国社会に重々積み上げられた積弊の清算がそれだ。

 

 憲法裁判所の決定で目前の現実になった5月「桜咲く大統領選挙」の歴史的意味もやはり自明だ。春の明るい気勢をむかえ、古く病にかかった枝をすべて落として、新しい芽生えを果すための重大な過程だ。その新しい芽が花を咲かせるまでには、まだ長い道のりが待っている。

 

韓国語原文入力:2017-03-10 20:02
http://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/786026.html 訳J.S(2355字)

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日本のマスコミの「“敵国”である北朝鮮関連報道」:誤報と“未確認情報”報道が相次いでいる。

2017-02-19 | 韓国ハンギョレ新聞

“未確認情報”乱発する日本マスコミ、なぜ?

登録 : 2017.02.17 21:54 修正 : 2017.02.18 06:40

日本マスコミ、「金正男殺害」以後 
北朝鮮相手に誤報乱発 
「容疑者2人死亡の可能性」 
「逮捕女性は韓国旅券を所持」 
事実確認が困難な内容を1面報道も 
北朝鮮に対する嫌悪感と過度な報道競争が背景

17日、マレーシアのセパン地域の警察署の鉄製の塀の隣に取材陣が押しかけ撮影に熱中している。この警察署では、金正男氏を殺害したといわれる女性容疑者が拘禁されていると伝えられている=セパン/聯合ニュース

 緻密な事実確認を経て慎重な報道をするのが日本のマスコミの長所だが、唯一例外がある。“敵国”である北朝鮮関連報道だ。13日、金正日(キム・ジョンイル)国防委員長の長男の金正男(キム・ジョンナム)氏が亡くなった後、日本のマスコミの誤報と“未確認情報”報道が相次いでいる。

 

 金正男氏の突然の殺害のニュースが伝えられた翌日の15日午前、日本の共同通信は日本の政府関係者の話を引用して、今回の殺害に加担したと見られる女性2人が「すでに死亡した可能性がある」と報道した。金正男氏を殺害した主体が北朝鮮である可能性が高いという推定が出ている中で、飛び出してきたこの記事で日本はもちろん韓国も騒然とした。「北朝鮮工作員の仕業」という疑惑をさらに濃厚にするだけでなく、あたかもスパイ映画のように任務を遂行した工作員までを除去する北朝鮮体制の非情さを表わす報道だったためだ。だが、その日午後、容疑者のベトナム女性ドアン・ティ・フォン(29)がマレーシア警察に逮捕されて誤報であることが確認された。共同通信は16日にも2人目の容疑者が捕まった直後の午前11時50分頃、「逮捕された女性が韓国旅券を持っている」と報道し、韓国のマスコミが共同通信を引用して速報を流したが、わずか1時間も経たずに「インドネシア国籍」と訂正報道を出した。

 

 事実確認が困難な“未確認情報”報道を1面に掲載する場合も多い。産経新聞は17日付1面に「複数の消息筋」を引用して「今回の事件が発生したことは、金日成(キム・イルソン)主席の血統を引く人物を擁立し亡命政府を樹立しようとする勢力と金正男氏が接触したためである可能性がある」と報道した。前日、朝日新聞も1面に「中国政府関係者」の話を引用して「2012年に金正男が北京で北朝鮮工作員と見られる人に襲撃されたことがある」と報道した。しかし、これらの情報は伝言の伝言だったり、専門家の発言を通じて「そのような可能性もある」という噂の水準だ。北朝鮮の記事でなければ、1面には使えない内容だ。日本のマスコミのこうした報道は、韓国の保守マスコミが片隅に配置した推測性記事を土台にしている場合がたびたびあるが、日本のマスコミが内容を追加して前進配置すると、これを再び韓国マスコミが引用報道して拡大再生産の悪循環過程を経たりもする。北朝鮮に対する日本大衆の嫌悪感と、北朝鮮報道に対する日本マスコミの過度な競争がこのような報道形態の背景にある。

 

 読売新聞は17日、今回の事件を「北朝鮮偵察総局が起こしたと見られる」と断定して、「“女性”と“毒劇物”を使うのは北朝鮮工作員の手法」とまで報道した。

 

日本の公営放送(NHK)が、マレーシアのクアラルンプール空港で殺害された北朝鮮の金正男氏(46)関連ニュースを15日の主要ニュースとして扱っている。写真は放送画面=東京/聯合ニュース

東京/キル・ユンヒョン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

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当初事件の黒幕として北朝鮮が名指しされたが、これを裏付ける証拠はなかなか見つからない。

2017-02-18 | 韓国ハンギョレ新聞

「北朝鮮黒幕説」確証なく、ますます迷宮に…マレーシア側も「推測は性急」

登録 : 2017.02.18 01:13 修正 : 2017.02.18 07:04

国家情報院の「北朝鮮の仕業」主張広がったが 
物証なく、関連性見つからず 
 
現地マスコミ「北朝鮮偵察総局が関与」示唆 
警察は「外国情報機関と断定できない」 
中国の官営メディア「体制転覆に向けた」陰謀論も

金正男氏殺害事件から5日目の17日、インドネシア出身女性容疑者の恋人が警察の捜査に協力しているセパン地域警察署。マレーシア警察は北朝鮮側の要請にも関わらず正男氏の遺族がDNAサンプルを提出するまでは遺体を引き渡さないと明らかにした=セパン/シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長の異母兄弟の正男(キム・ジョンナム)氏が殺害されてから17日に5日目を迎えたが、彼の死をめぐる論議は足踏みばかりしている。当初事件の黒幕として北朝鮮が名指しされたが、これを裏付ける証拠はなかなか見つからない。

 

■国家情報院による「北朝鮮黒幕説」

 

 これまで金正男氏殺害の黒幕は北朝鮮という最も“確定的”な主張は、イ・ビョンホ国家情報院長の口から出た。イ院長は今月15日、国会情報委員会で「金正男氏の暗殺は金正恩政権後、必ず処理しなければならないという命令によるもの」だと報告した。彼は「金正男氏が自分の統治に脅威になるという計算的行動というよりも、金正恩の偏執狂的性格が反映されたものと思われる」と付け加えた。イ院長は、具体的な根拠を示さなかったが、「北朝鮮黒幕説」は簡単に定説となった。

 

 今月15日、マレーシア捜査当局が直接犯行を行った女性容疑者2人を相次いで捕まえたことで、事件は簡単に解決されると思われた。彼女らが「北朝鮮が雇った多国籍暗殺団」という憶測まで飛び交った。「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」など一部の外国メディアは、「北朝鮮は、女性暗殺要員を積極的に育成・活用する」と報じ、雰囲気を盛り上げた。

 

 しかし、犯行と逮捕を前後した彼女らの中途半端な行動は“精鋭要員”とは程遠いものだった。彼女らと北朝鮮のつながりを示すものもまだ見つかっていない。逮捕された容疑者らの黒幕とされる、逃走した男性4人の行方も依然不明である。「ニュー・ストレーツタイムズ」は、容疑者の供述内容を取って「逃走した男性のうち、1人が北朝鮮と関係がある」と報じたが、これを裏付ける物証はまだない。

 

 にもかかわらず、「北朝鮮黒幕説」は簡単に収まらない状態だ。地元紙の「ザ・スター」は17日、情報消息筋を引用し、「マレーシアとシンガポールは(北朝鮮の対外工作活動を総括する)偵察総局が最も好む地域」だとしたうえで、「偵察総局は2000年代序盤からマレーシアを神経ガス製造用に使われる禁止された薬物を北朝鮮に持ち込むルートとして活用してきた」と伝えた。今回の事件に北朝鮮偵察総局が関与した可能性があることをほのめかしたのだ。

 

■まだ分からない

 

 現地警察当局の司法解剖の結果、金正男氏の遺体に外傷の痕跡は全くなかった。毒物の散布による傷や注射針の跡なども発見されなかった。捜査当局は解剖を通じて得たサンプルについた化学分析作業に入った。分析結果が北朝鮮との関連性を示すかどうかがカギとなる。

 

 「ザ・スター」は同日付で、「毒物攻撃による死亡は死因を明らかにするのが難しい。証拠が確定的でないため、分析するのに時間がかかる」という科学捜査の専門家の言葉を伝えた。逃走した4人の容疑者が、早いうちに逮捕されなければ、捜査が長期化する恐れもある。

 

 マレーシア当局は慎重な姿勢を維持している。国営通信「ベルナマ」は17日、警察当局者を引用して「金正男氏殺害の裏側に外国情報機関があるというのは、現段階としては性急である」と話した。これに先立ち、ザヒド・ハミディ副首相も前日「金正男氏の死の裏側に北朝鮮があるというのは、現在ただの推測に過ぎない」と述べた。

 

 このような状況を受け、一部からは「北朝鮮黒幕説は陰謀論」という主張まで出ている。中国官営メディアの<グローバル・タイムズ」は17日、「金正恩委員長を金正男暗殺の黒幕に名指しするのは、彼を悪魔化して北朝鮮体制を転覆しようとする目的」だとし、「今回の事件を政治的目的に利用しようとする勢力があるのは明らかだ」と報じた。

 

チョン・インファン、キム・ジンチョル記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

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ハンギョレ新聞の記事をそのまま掲載しています。他の報道もありますが・・・・・・

2017-02-15 | 韓国ハンギョレ新聞

[ニュース分析]金正恩の腹違いの兄・金正男を誰がなぜ暗殺したのか

登録 : 2017.02.15 08:17 修正 : 2017.02.15 09:24

 

北朝鮮偵察総局、権力の「目の上のこぶ」除去? 
「金正恩の承認なしには成しえない」 

一時有力な次期後継者に指名 
内外の危機を迎えた金正恩体制 
脅威要素の除去の必要性強まる

昨年10月、デイリーNKが公開した金正男氏と推定される男性の写真。デイリーNKはこの写真について「金正男の息子と推定される“キム・ハンソル”の親しい知人と言われる“キム・チョル”(Kim chol)のフェイスブックに掲載された金正男未公開写真」だと明らかにした。共同通信は10日、この写真を報道した/聯合ニュース

 北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記の長男であり、金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長の腹違いの兄である金正男(キム・ジョンナム)氏(46)が13日午前、マレーシアで殺害されたと伝えられた。

 

 韓国政府消息筋は14日、金正男氏の殺害の事実が大統領府などに報告されたと聞いていると語った。金正男氏は13日午前9時にクアラルンプール空港で女性2人に毒針を刺され殺害されたとされる。金正男氏は毒針で倒れて空港診療所に行き、病院に移送されたが、結局死亡した。

 

 マレーシア警察は、死亡した金正男氏のパスポートには名前がキム・チョル(Kim Chol)と書かれており、1970年6月10日平壌(ピョンヤン)出生となっていると明らかにした。現在警察はマレーシア内での金正男氏の動線や彼が会った人物に対して調査を進めており、2人以上の女性とされる容疑者の後を追っている。

 

 マレーシア警察は、金正男氏が2月6日にマレーシアに入国し、マカオに出国する計画だったとし、金正男氏が出国場で待機していたと明らかにした。

 

 正男氏の暗殺には、北朝鮮関連当局が介入した可能性が高いという推定が多い。一時、金正恩委員長と権力継承をめぐる競争関係にあったからだ。世宗(セジョン)研究所のチョン・ソンジャン統一政策室長は「金正男氏暗殺は、金正恩の直接承認や同意なしには成しえないこと」とし、「これまで金正男氏の監視を務めてきた北朝鮮偵察総局が直接関与したものと判断される」と話した。

 

 今年で5年を経た北朝鮮の金正恩体制は、昨年36年ぶりに第7回党大会を開き、党組織を整備するほど安定的という評価もあるが、昨年から核・ミサイル開発にともなう各種の対北朝鮮制裁の局面で内外の危機を迎えている。そのような理由から、最小限の脅威要素でも取り除かなければという必要性が高くなったという観測が流れている。

 

 まず、金正日総書記の長男である金正男氏が北朝鮮の権力世襲を批判してきたという点で、金正恩委員長が腹違いの兄を暗殺したのではないかという話が出ている。2011年12月に金正日総書記が死亡する前までも、金正男氏は北朝鮮の権力世襲に対する批判的発言を公然としてきた。彼は2010年10月11日、テレビ朝日とのインタビューで「個人的に3代世襲に反対する」と述べ、2011年1月、東京新聞とのインタビューでも同じ趣旨で話した。しかも、金正男氏は一時、有力な次期後継者とされていた。腹違いの弟である金正恩委員長より認知度も高く、後継授業を早くから受けてきたという話も多かった。

 

 彼が追いやられた決定的な事件は2001年に起きた。偽造パスポートを所持して日本に入国しようとして摘発され、国際的な恥をさらした後に権力から遠ざけられたという。後継構図から押し出された金正男氏は、マカオや中国を転々としながら、北朝鮮の外で待機していた。ただ、彼はマスコミとのインタビューで、金正恩委員長が後継者とされたことについては、「父が決断したものだと思う。もともと残念でもなく、また関心もなかったので全然気にならない」と明らかにするなど、慎重な態度を取った。金正日総書記の死亡後、金正恩委員長が権力の座に上がった後、彼は外部への発言を自制してきたが、外国マスコミとはたまに接触したりした。金正恩委員長の脅威から自分を防御するため、国際社会に自分の存在を喚起させたというのが専門家の分析だった。

 

 金正男氏の死は、悪化した中朝関係と無縁ではないという指摘も出ている。金正恩委員長が最高指導者の地位に就いて5年が過ぎたが、まだ中朝首脳会談は行われていない。中国政府から公式な認定を受けられていない状況で、金正恩委員長は中国が金正男氏を立てて、いわゆる「傀儡政権」を樹立する可能性を最も恐れているという観測が提起されてきた。北朝鮮に急変事態が発生する場合、比較的開放的かつ柔軟な思考を持った金正男氏を前面に掲げる可能性が大きいというものだった。このために海外をさまよう金正男氏の身柄を保護してきた背景には中国があるというのが専門家の一致した見解だった。そのようなことから、今回の金正男氏の死は、2013年12月に電撃的に行われた金正恩委員長の叔父のチャン・ソンテク氏の処刑と同じ延長線上に置かれているといわれる。チャン・ソンテク氏は北朝鮮の代表的な「親中人物」だった。

 

キム・ジンチョル記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

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保守系では唯一の有力候補だった潘氏が不出馬を決めたことで、大統領選の構図が大きく変わる」

2017-02-03 | 韓国ハンギョレ新聞

“潘基文の落馬”を残念がる日本、その理由とは?

登録 : 2017.02.03 03:05 修正 : 2017.02.03 05:54

日本の主要マスコミ、潘前総長の不出馬宣言を1面で報道 
12・28合意継承する唯一の候補の消滅に落胆隠せず

潘基文前国連事務総長が2月1日午後、国会正論館で大統領選挙不出馬を宣言する緊急記者会見を終えた後、記者らの質問に口を閉ざしたまま固い表情で国会議事堂を後にしている=イ・ジョンウ先任記者//ハンギョレ新聞社

「韓国『保守の軸』消滅」(「読売新聞」)、「韓国保守の本命不在に」(「日本経済新聞」)

 

 1日、潘基文(パン・ギムン)前国連(UN)事務総長の突然の大統領選不出馬宣言は、隣国の日本でも大きな反響を呼び起こした。「朝日新聞」、「読売新聞」など日本の5大全国紙は一斉に潘前総長の出馬断念の知らせを1面の主要ニュースなどで扱った。

 

 ところが、論調は落胆そのものだった。

 

 日本保守の情緒を代弁している「読売新聞」は、1面で「潘氏は保守系の有力候補とみられていたが、1月に韓国に帰国後も支持率が低迷していた。保守系では唯一の有力候補だった潘氏が不出馬を決めたことで、大統領選の構図が大きく変わる」と報じた。

 

 同紙はどうして潘前総長の落馬を残念がっているのか。

 

 日本軍「慰安婦」問題に対する韓日本政府間の12・28合意のためだ。同紙が本格的に本音を表したのは1面ストレートの記事に次ぐ8面の解説記事だった。読売新聞はこの記事で「潘前総長は、国連事務総長時代、慰安婦問題の日韓合意を評価したが、(これが)左派系メディアから攻撃を受ける原因となった」、「(12.28合意を)否定するなど反日的姿勢が目立つ共に民主党の文在寅(ムン・ジェイン)前代表に(選挙構図が)有利になるものとみられる」と評した。朝日新聞も潘前総長は「慰安婦問題の日韓合意について評価した発言が批判にさらされた」と伝えた。

 

 日本のマスコミは潘前総長が国連事務総長在職時には、韓日間の主要懸案について“中立”を守っていないとして、批判する記事を少なからず掲載してきた。しかし、昨年末、韓国社会を揺るがした“ろうそく集会”で朴槿恵(パク・クネ)大統領が弾劾の危機に追い込まれると、このような危機状況を収拾し、韓日関係を安定的に率いる保守陣営の代案として、潘前総長に注目してきた。

 

 日本の保守は韓日関係が悪化した原因が、日本の歴史的過ちに反省的な姿勢を示さない安倍晋三政権の歴史修正主義ではなく、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代以降本格化された韓国の「386世代」の反日感情にあると見ている。盧武鉉元大統領の長年の側近であると同時に同僚だった文元代表が韓国の大統領になれば、12.28合意が破棄され、韓日関係が悪化するかもしれないと憂慮しているのだ。

 

 「産経新聞」は「潘氏が出馬を断念したことで、大統領選は朴槿恵大統領の弾劾訴追を主導した左派系の最大野党、共に民主党の文在寅前代表に一層有利な情勢となった」野党のダブル漁民党の文在寅(ムン・ジェイン)前代表にさらに有利になった。潘氏以外に有力候補がいない保守派では、与党セヌリ党を集団離党した議員らが発足させた第3野党、『正しい政党』のナム・ギョンピル京畿道知事と、朴氏に反旗を翻した非朴派の中心人物、ユ・スンミン議員が出馬を表明している」と報じた。

 

東京/キル・ユンヒョン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)

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