柳蔭書翰

徒然なるままに、音楽関連の話題に拘らず、常ならんこの世の事々書き散らし諸兄のお耳汚しに供したく思います。

世論

2010-07-17 08:01:37 | Weblog
急に思い出したように唐突にTV各局は臓器移植法の改正施行を報じます。そしていつもの感情論を忘れません、移植を許した家族の苦しみをクローズアップして「反対」して見せます。今回の改正で、15歳以下の子供への移植を許し、本人の意思表示が要らない、つまり家族の意思だけで移植できるようになったのです。そこを「正義の味方」達は突きます、こんなことでいいのか?本人の意思がないのに・・そのために改正したんですよ。本人の意思表示、それはカードを持ってるということなんですが、その普及が全く進まず(あなたは実物を見たことがありますか?そんなレベルです)、この10年間で80何例しか実施例がないのです、だからこれなしでも家族が承諾すれば移植できるようににしようという改正です。脳死という状態自体が一般的でないからかなり誤解を生じているのでしょうが、脳死状態に陥ると残念ながらあとは死しか待っていません、時間の問題です。本人が意思表示などできません。だから前もってのカード記載なのですが、国や関係団体の周知努力不足は目を覆うばかりで全然広まっていきません。脳死に陥った肉親の状態をしっかり把握できないままに、マニュアルに沿った「移植の勧め」が訓練受けたコーディネーターから家族に向けて為される。TVが流す家族の声です、まだ体は温かいんですよ、それを死んでるなんて・・・、明らかに改正法への反対主張です。もちろんTVはそんなことは言いません、でも菅総理の口調よろしく「いかがですか皆さん?これでいいんですか皆さん!」です。こういう反対意見を示すのがマスコミの使命なんて思いあがってるんでしょう。法律ばかり作っても、その必要性や実態の周知が全く足りない状態ではこの事態は(脳死移植が全く進まない)当然の帰結に思えます。学会や関係団体の努力不足です。それしかありません。であるのに、かたやで「移植しか治療する方法がありません」という患者をどんどん作っていく。海外へ渡る患者をマスコミは悲劇のヒーローに仕立てます。日本でできないからこうやって海外に行くしかないんだ!という色です。日本の法律を非難してますここでは。一方では臓器ビジネスを暴き、日本人が東南アジアや中国で臓器を買いあさってるなんて表現でこちらを叩きます。で、改正すればしたで、また「決定を下す家族の苦しみ」という切り口で眉を顰めて見せます。ったく。根元はなんですか?臓器移植を治療法と位置づけていることでしょう。私はパーツの入れ替えは治療ではないと思います。自らが持って生まれたパーツ(臓器)が傷んだのなら諦めなさい。人のものと入れ替えることは治療ではない、別次元のもののように思ってます。反対です。そこのところにはっきりした答えやコンセンサスを出してないから、その上に何を組み立ててもフラフラ不安定なんです。日本人の道徳観や倫理観、死生観などと言い立てる前に、医学医療として許されることなのかどうか。世界中でやっているからいいんだ、ではないでしょう。そこなんですね。日本の医療は百年の昔から西欧追随のくびきから逃げられないのです。情けないことです。
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