柳蔭書翰

徒然なるままに、音楽関連の話題に拘らず、常ならんこの世の事々書き散らし諸兄のお耳汚しに供したく思います。

的はずれ

2007-07-28 08:40:44 | Weblog
中越沖地震で、トヨタやら日産やらの車製造ラインが何日か止まりましたね。エンジン部品の殆どがここで(リケンというメーカー)作られているから、部品の供給がストップしてラインそのものがストップしたという経緯です。素人(私)の印象は、へぇこんな田舎でシェア握っているんだという驚き、こんなに簡単にラインが止まるんだという驚き、世界のトヨタもこういう弱点持っているんだという驚きでした。後それなりに理由を考えたりしました、有識者達のご高説も聞けました、時間が経ってからTVが新聞が色々解説してくれました。こんな田舎の会社が大きなシェア握っているのはひとえにコストダウンに成功したからでしょう、運搬コストを克服したというか。東京は文化の中心であると同時に技術のるつぼというべきで、よくTVで特集ものが組まれるように下町の小さな小汚い工場にとんでもない技術があることは有名ですよね、体中油まみれの頑固社長がいて。それが東京じゃなくて新潟、トヨタ本社近くでなく新潟なんです。製品精度だけじゃなく運搬費を含めたコスト削減です。その為には有名なトヨタ方式でしょう。カンバン方式。必要なものを必要なときに必要分だけ作る。在庫を貯めない。ギリギリまでコスト削減する。原価の削減を図る。こういう競争に勝ってきたのがこのリケンという業者であったわけです。凄いことですよねぇ。だから二番目の驚きは当然なんでしょうね、余分な在庫などないが道理ですから。今要る分しか供給しないんです。今要る分しかまた要求もしないし。だからラインもすぐに止まります。なるほど。GMを抜いて世界一になろうかというほどの大企業が、一メーカーのシステムダウンで立ち止まってしまう。普通は代わりがあろうにと思うことですが、そうじゃないんですよね、これが面白いというか、このメーカーの凄みというべきか、またそうと知りつつこういうラインを組み立てているトヨタの徹底ぶりの凄さともいうべきか。製品の精度完成度の高さとコストの低さ。このメーカーの努力研鑽は想像に余りましょう、人の数倍数十倍の努力。これがあらばこその現況です。それを産経抄は22日、地震で死んだのが一人暮らしの老人が多かったことを指して、地方が日本経済の心臓部を担うことはできても、高齢者が家族と一緒に安全に暮らすことはできない、豊かな町づくりと結びついていなかったのだ、なんて言います。なんと的はずれなことを。地方の一メーカーにどんな大役を負わそうとしているのでしょうか。シェアをこれだけ握ってのはこのメーカーの力です。不断の努力の結果でしょう。そしてトヨタがあれだけ大きくなったのも、トヨタ方式と呼ばれる徹底したコスト管理意識あらばこそというのが確定した評価でしょうに。それを、一旦不具合が起これば、足りない足りないと誹る。都合よくすり替えるんじゃない、と言いたいですね。おまけに福岡県知事も言ってましたよ、一点集中はいかがなものか、分散しないと同じことの繰り返しになると。こういう発言こそが、民間企業のやる気を削ぐということに心が及ばないのでしょうね。所詮は役人なんです。天下国家を語る振りをして、実は何も考えていない、空っぽの一般論を口にするだけ。あれを聞いて腹立たしく思いました。現状に至るまでのリケンの企業努力に対して何の敬意も払わない。事が起こるまでは何も言わない、考えもしないことだったのに、まるで前から思っていたような口振りで。的はずれの非難には腹が立つことでした。
コメント
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