MEDINT(医療通訳研究会)便り+

医療通訳だけでなく、広く在住外国人のコミュニケーション支援について考えていきます。

訳してくれない通訳

2009-11-04 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
医療通訳を頼まれるとき、
時々、すでに家族や友人が通訳として付き添っているので、
内緒で通訳して欲しいといわれることがあります。

それは、通訳(家族・友人)が患者本人の伝えたいことを
きちんと訳してくれないことに患者が困って、
でも通訳にやめられたり嫌な思いをされては今後困るので、
こっそり内緒で医師に伝えて欲しいというものです。

医療通訳は患者や医療者の言葉をすべて通訳するのが
大原則なのですが、
家族や友人が通訳をしたり、
その通訳者が医療通訳としての研修・訓練をうけていなければ、
上記のようなことが起きてしまうことがあります。
そして、それは残念ながら珍しいことではないのです。

たとえば、敬虔なカトリック教徒の人に
堕胎の通訳をお願いすると、
医師に通訳する前にやめるように諭されたとか、
民間療法を用いていることを医師に伝えようと思ったところ、
医師に怒られるから言わないほうがいいと伝えてもらえなかったと
いう話を聞いたことがあります。

医師に
「え~、今までちゃんと通訳してくれているものとばかり
思っていたんだけど」と言われる事も少なくありません。

外国人患者に通訳を使う時は、
きちんと伝わっているかどうか、
医療者側も是非関心を持ってくださいね。

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