MEDINT(医療通訳研究会)便り+

医療通訳だけでなく、広く在住外国人のコミュニケーション支援について考えていきます。

第3回医療通訳士協議会総会のご案内

2010-06-24 15:56:10 | 通訳者のつぶやき
第3回医療通訳士協議会総会のご案内
「医療通訳業務の確立に向けて」
東海地区における医療通訳のパイオニアたち

とき:2010年7月17日(土曜)13:00~17:00
ばしょ:JICA中部研修センター
〒453-0872 愛知県名古屋市中村区平池町4丁目60-7

定員:150名 (定員になり次第締め切ります)
参加費:無料 (要参加申込)
※当日懇親会あります 2,000円(要参加申込)
※JICA中部内 カフェ・クロスロード

お問い合せ:★お問い合せ、申し込みはメールでお願いします
医療通訳士協議会(JAMI)事務局
Mail: jami@hus.osaka-u.ac.jp

主催:医療通訳士協議会(JAMI) 後援:JICA中部,GIC,MIEF,NIC,AIA
後援:在名古屋ブラジル総領事館、在名古屋ペルー共和国総領事館  
詳細は http://jami.hus.osaka-u.ac.jp/poster_big.htm

日本における医療通訳の議論の場所として
医療通訳士協議会(JAMI)は発足しています。
是非皆様のご参加をお待ちしています。

コカコーラの効能

2010-06-11 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
通訳をやっているといろんな母国での民間療法について
耳にします。

中南米でよく聞くのは「コカコーラの効能」です。

特定の地域ではなくいろんな国の人から
いろんな効能について聞きます。

「熱が下がる」
「風邪が治る」
「頭痛が治る」
「脱水症状を止めるため」etc...

たしかに、どんな田舎にいってもコカコーラはあります。
そういう意味では誰にでも手に入るアイテムかもしれません。
抗生物質が手に入らない場所でもコカコーラは売っています。

先日もある患者さんが食中毒による脱水症状でやってきました。
「水だけではだめだからコカコーラを飲んでいた」
と普通に説明しますが、日本人には違和感があります。

国によって熱のあるときに食べるものもかなり違います。
「冷たい口当たりのいいものを食べて熱を冷ます」国もあれば
「温かいものを食べて身体を冷やさない」国もあるし
「食欲がなくても力のでる食べ物(肉など)を食べる」国もあります。

昔から「気は心」といいますが
自分にとって身体によさそうなもの、
小さい頃親が与えてくれていたものを摂取すると
なんとなく回復に向かうような気がするから不思議です。

阪神大震災のとき
たくさんいた不定愁訴の患者さんには
検査で病気が見つからない人たちが結構いました。
病院としては病気のない人に薬を出すことはできないでしょうが、
せめてビタミン剤でも出して欲しいというのが
同行していた通訳者の願いでした。

コカコーラもそうした人々の願いを受けて
いろんな病気を治してきた経緯があるのかもしれませんね。

メディカルツーリズムの光と影

2010-06-04 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
昨年あたりから「医療観光」に関する議論が、
経済界を中心に湧き上がっています。

アジアを中心とした国々の富裕層に、
日本の余剰施設である検診などの施設を利用してもらい、
医療観光を産業として特化していくという構想です。


「観光立国推進基本計画」に定められた2010年までに
訪日外国人旅行者を1000万人とするとの目標を、
もう一歩進め、訪日外国人旅行者について、
2020年に2000万人とすることを目指していくこととしている中で、
観光客が増えれば、元気な人ばかりでなく、
お年寄りや小さな子供、障がいをもつ人たちも
日本にくることになります。
2年前、私たちが東京で開催したシンポジウムでは、
こうした外国人の人たちが観光途中で病気や怪我になっても
安心して受診できるようなシステムを作ることを提唱しました。

しかし、現在進行している医療観光は
明らかに医療を目的とした旅行です。

イメージとしてはPET検査や健康診断に
温泉や都市観光を組み合わせるツアーを考えるかもしれません。

たとえば検査旅行や検診旅行ではタイが国をあげて取り組んでいます。
価格ではとても日本は太刀打ちできません。
安い金額で通訳つき、きれいな病院で健康診断が受けられて、
その上タイ観光をしても十分おつりがくるのですから、
日本人観光客もたくさん行っています。

だから日本に求められるもの。
それは、先端医療だと思っています。

実際に中国の新聞ではよく日本の先端医療が特集されています。
中国では、医療は自由価格です。
有名な先生や技術の高い先生は高いドクターフィー(使命料)をとります。
ですので、高度医療をよい病院で受ける場合の治療費は高額です。
日本では、保険外の診療であっても150%、200%程度支払えば
保険を持たない外国人観光客であっても治療可能です。

観光ビザが3ヶ月になれば
検査して入院して手術して3ヶ月で帰国できるケースもあるでしょう。
そのとき、治療目的の観光客を日本の病院は受け入れるのかどうか。

また、外国人を受け入れるということは、
異文化の患者を受け入れるということです。
言葉だけでなく、外国人患者に対応できる職員をどれだけ配置できるか。
治療に関しての契約や医療過誤の訴訟にどれだけ対応できるか。
様々な課題が残されています。

私自身は、先端医療の治療目的のメディカルツーリズムが
日本にいる人々の限られた医療資源を奪わないかと危惧しています。