MEDINT(医療通訳研究会)便り

医療通訳の制度化を目指す医療通訳研究会(MEDINT)のコラム
~みんなで 医療通訳者を増やし、守り、育てよう!~

インターネット

2011-01-30 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
インターネットは便利なツールです。

病名を外国語で検索することもできるし、
それに関して解説しているページを読むこともできる。
診療科別の病院を探したり、地図を出すこともできるし、
電話番号や面会時間や担当医師の名前まで出てきます。

実際に使っていると
インターネットを使う人と使わない人で
情報格差がでてくるなあと実感します。

ただし、インターネットのなかった時代にはなかった弊害もでてきました。

Aさんは30代のおしゃれが大好きな女性。
友人が勧めてくれた海外製のクリームを個人輸入しました。
日本では発売していない製品です。
昔ならその国に行かなければ買えないようなものを
インターネット上には個人代行しているお店がたくさんあるのです。
クリームを使ったら発疹がでてきたので皮膚科にいきました。
もちろん、使用感に個人差がありますし、テストをしてから使うようにと書いてあります。
クリームの是非ではなく、こうした商品が本当に手軽に購入できるようになったということです。

おなじようにサプリメントや薬などを個人で使う目的で購入している人たちもいます。
インターネット以前なら、海外に行った人に買ってきてもらうくらいしかなかった商品です。
母国からの取り寄せも簡単だし、未成年が親に黙って注文するというトラブルもあります。

また、インターネットからは医学情報も簡単に手に入ります。
中には相談を受け付けているサイトがあったりもします。
個人の体験談も時には参考になりますが、極端な書き方をしている人も中にはいるし、
商品を売るために様々な効能をうたっているようなサイトもあります。

最近、相談の中で、
海外のサイトで購入した薬や検査薬についてのものが増えてきました。
私たちは医師ではありませんので、病院を紹介することになるのですが、
どこから探し出してきたのだろうというような薬もあります。

昔は主治医が指定した薬以外には、
ほとんどお目にかかることもなかった薬が、
いとも簡単に手に入るようになっていることが、
治療のプラスになればいいのですが、そうしたケースばかりではありません。

外国人患者でも難しいのは、
インターネットを通じて母国を含めて世界中の情報を得ることができて、
逆に情報を抱えすぎて主治医を信じられなかったり、
判断ができなくなる人もいることです。

主治医の意見をきちんと聞いてください。
不安ならセカンドオピニオンを受けてくださいと伝えますが、
インターネットの情報ばかりに頼るときちんとした医師の診断を受けなくなるのが
とても心配なのです。

インターネット上の情報が時には外国人患者の受診の妨げになっています。
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医療英語分科会

2011-01-23 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
23日(日)英語と中国語の言語分科会がありました。

MEDINTでは、医療のことや外国人支援、通訳技法などを学ぶ講座のほかに、
同じ言語の人が一緒に学べる言語分科会を開催しています。

講師はネイティブの先生で、質問をしたりロールプレイをしながら進行します。
これが言語別に特徴があって、見ていてとても面白いのです。

今回は医療英語の分科会のことをご紹介したいと思います。

医療英語分科会は年に4回開催されます。
コンロイ先生は医療関係者ではなく英語の先生です。
なので英語の素材の使い方や教え方はもちろんプロ!です。
時にはユーモアを混ぜながら、優しいお人柄のにじみ出る教え方です。
医療の専門用語については、実は坂尾先生が担当してくださっています。
坂尾先生は西宮市の夙川で開業されている先生で、内科と小児科がご専門です。
「英語で診療」という本をコンロイ先生と二人で執筆されています。
坂尾先生は6月に医療講座でお世話になりましたが、
この言語分科会はボランティアで参加してくださっています。

この講座、何がユニークかといえば
英語ネイティブの授業と医師の授業が両方一度に受けられるからです。
たとえば、メタボリックシンドロームのロールプレイをやったのですが、
発音や言い回しはコンロイ先生が担当され、
医学的な解説は坂尾先生がしてくださるのです。
なので、どちらの質問をしても答えていただけます。

私はオブザーバーでロールプレイに参加せず後ろで聞いているのですが、
授業が終わったらスペイン語のその疾患単元のノートが作れています。
それくらい充実した講座なのです。

今は10~15名前後の参加者なのですが、
あまり増えてほしくないと思いつつ、
参加しないともったいないなあと毎回思います。

MEDINTの講座は会費さえ払えば何回でも好きなだけ講座が取れるようになっています。
是非、貪欲に学んでほしいと思います。
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びわ湖国際医療フォーラムのシンポジウム

2011-01-16 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
15日(土)大津市で第22回びわ湖国際医療ファーラムが開催されました。
今回は一般演題を少なめにして外国人医療をテーマにシンポジウムを行い
私は座長として参加させてもらいました。

医師、看護師、医療通訳者、支援団体それぞれの
外国人医療と言葉の問題の考え方の違いを知ってもらい、
歩み寄れる状況を考えていくのが狙いです。

議論のテーマは3つ

1:言語のできる医療者の育成について
通訳者を置くことと医療者自ら外国語に堪能であることのメリット・デメリットを明らかにし、
外国語のできる医療者も、外国語のできる人に医療資格をとってもらうのか
(たとえばブラジル人2世やベトナム人2世に奨学金を出すとか・・・)
医療資格を持っている人に外国語を習得してもらうのかの是非について

2:外国人医療を特別扱いする必要があるかどうか

3:外国人医療のキーパーソンは誰なのか?

それぞれの基本発言を含めて1時間半しかなかったので、
まとめるのは無理でしたが、違った角度からの議論を
聞いていただけたのではないかと思います。

医療通訳のキーワードは多様性です。
外国人医療の言葉の問題に取り組むためには、
さまざまな専門家が知恵を持ち寄らなければいけないし、
多様な考え方を受け入れる土壌がなければいけない。
みんなでタッグを組まないとやっていけない世界です。

在日外国人とメディカルツーリズムも根本は同じ。

仲良くやりましょう!
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静岡外国人医療を考える会

2011-01-09 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
静岡県で無料検診会を長年続けているグループのお招きを受けて、
研修会に参加してきました。

場所は違っても、
医療従事者の方々はやはり言葉の問題で困っておられます。
医療通訳者の立場から現在の問題点を話し、
医療従事者側からできることを考えてもらいました。
(人を変えるのは難しいけど、自分が変わるのは簡単だからです)

英語が話せないことにコンプレックスを持つのではなく、
日本の外国人登録者数は圧倒的に非英語話者であることを理解して、
まずはわかりやすい日本語での会話を心がけることだと思います。
たとえば日本語で伝える方法を
日本語教師や言葉の専門家の方に研修していただいてもいいかもしれませんね。

また、研修後、参加されていた栄養士のグループの方と
外国人医療に栄養相談は必要かという議論をしました。
私の経験から、腎臓疾患や糖尿や肥満の患者さんの診察の後に
栄養指導に同行した経験がありますので、
日本人と同じように外国人にも栄養指導は必要だと思います。

ただし、指導内容が日本人の食生活に基づいているものですので、
実践しづらいのが現状だと感じてきました。
一度、医師が軽い気持ちだと思いますが「肉はやめましょう」と言われたことがあったのですが、
この患者さんには肉を食べないなんて考えられず「死ねというのか」とつぶやいていたことがあります。
日本人にとって肉を食べないという選択は
肉を主食のように食べている人たちからみれば、はるかに精神的負担の大きいことなのです。

南米で暮らしていた時に
食生活は変えることの難しい文化なのだと痛感しました。
健康を維持するために食事制限は大切ですが、
その患者さんの文化に応じたものでなければ
意味がないのだなと思います。
是非、いろんな国の食文化を踏まえた上での栄養指導を
考えていただけたらなあと思いました。

主催者の方は静岡市は遅れていると謙遜されていましたが、
もう何年も無料検診を続けている方々がいらっしゃるのを見ると、
外国人医療においては立派な人材先進地域だと感じました。
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医療通訳者の報酬について

2011-01-02 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
2011年になりましたね。
派手な活動はできませんが、コツコツとブログは続けるつもりです。
読んでくださっている皆様、今年もよろしくお願いします。

さて、今年の最初のテーマは医療通訳者の報酬額についてです。

医療通訳者の雇用に熱心な医療機関の方から
医療通訳にはいくらくらい払えばいいのだろうという質問をよく受けます。

今までは、予算がこれくらいあるから逆算して医療通訳報酬は
これくらいという考え方が主流でしたが、
せっかくいくらほしいと聞いてもらえるのであれば
現実的な金額を提示するのが良心的かなと思えるようになりました。

たぶん、日本の中で医療通訳の仕事内容に一番似ているのは
司法通訳および法廷通訳だと思います。
在住外国人が利用するコミュニティ通訳であり、
専門用語や専門性が必要な専門通訳であり、
対話(ダイアローグ)通訳であることが共通点です。
認定資格がないことと通訳者の公的ランク付けがされていないところも似ています。

ですので、公表されている報酬基準のなかで一番近いのは
国選弁護の通訳報酬かなと思います。
医療機関からの問い合わせには国選弁護の通訳報酬を参考にしてくださいと伝えます。

http://www.houterasu.or.jp/content/kokusen_bengonin_tsuuyaku.pdf

もちろん月額、日額で報酬を支払う場合や
長時間にわたって通訳をする場合は、計算方法は契約によって違ってくるのは当たり前です。

ただ、法廷通訳も医療通訳も、
必要な場面のみ短時間使いたいということが多く、
30分だけとか1時間だけという依頼があるのですが、
準備時間や待機時間、移動時間などを入れると軽く半日から1日はかかってしまうのです。
実働時間のみではなくその背景にある時間も要求しなければならないのがポイントです。
検討してみてくださいね。
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