MEDINT(医療通訳研究会)便り+

医療通訳だけでなく、広く在住外国人のコミュニケーション支援について考えていきます。

ひとごとではないこと

2004-12-21 15:30:01 | 通訳者のつぶやき
在住外国人の通訳支援をしていると、様々な場面に遭遇します。

普通、生きていく中で出会う人や行う手続きの数はその人の人生分だけです。でも支援通訳をしていると、何十人何百人の人生に出会います。

例えば、私は結婚する前にたくさんの離婚手続きの通訳をしました。だから幸か不幸か、結婚前にもかかわらずいつ離婚しても大丈夫なくらい離婚に関しての知識がありました。それは当事者の経験ではなく、あくまで支援者としての経験であり当事者の心痛まで理解することはできません。しかし、こうした通訳支援において、様々な考え方や人生があるのだということを感じることになります。

人間には運・不運があり、生まれたときから平等ではないと思います。また、すべてがその人の努力だけで成り立っているわけではないということも感じます。最近、社会システムの問題を個人の能力や努力のせいだけにしようとする風潮があり、そのことに日々危機感をつのらせています。医療に限らず、外国人の通訳支援をしていると、日本社会が弱者にどのように接しているかを痛感するのです。生活保護申請や高額医療費の申請、障害者手帳の交付や更生医療の適応申請などの通訳をするときなどは、自分だっていつ同じ立場になってもおかしくないのだと思います。病気の予防法はあるけれど、かからない方法はありません。いつ病気になっても誰でも気持ちよく良質な医療を受けられるようにと願う気持ちは日本人も外国人も同じだと思います。
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