MEDINT(医療通訳研究会)便り

医療通訳の制度化を目指す医療通訳研究会(MEDINT)のコラム
~みんなで 医療通訳者を増やし、守り、育てよう!~

診察室外の通訳

2008-07-30 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
医療通訳を診察室での通訳に限定して議論をしようという声があります。

ただ、実際にやってみればわかるのですが、
医療通訳は、診察室外の通訳機会のほうが圧倒的に多いと感じています。
通訳者は、さまざまな場面で医療現場およびその関連施設との通訳をしており、
特に英語以外の言語通訳者は、そうした通訳も医療通訳の一環だと考えて活動しています。

じゃあ、たとえばどんな通訳があるのか?
最近の少しでも医療に関係する通訳事例をあげてみると・・・

義肢の交換のため労働基準監督署へ

子供が学校から眼科検診の受診票をもらってきたのを説明して眼科と眼鏡屋へ

前歯が欠けてしみるから歯科受付へ説明

交通事故の後遺症でMRIをとった診断書を口頭で説明

予防接種の問診票の記入手伝い

保健センターの3歳児検診通訳

労災にかかる腰痛の診断書依頼通訳

抗がん剤治療患者のカツラのレンタル

交通事故患者の保険申請書の記入手伝い

薬屋で水虫の治療薬を購入

過食症の子供の病院探しの手伝い

などなど・・・すべて書くことはできませんが、
コミュニケーションの問題がある場合は、
医療に関するすべてのことに関わる必要がでてきます。
これが現実です。
逆に、病院外の通訳はできませんとなると、
処方箋を持って薬局に行ったり、労災申請を持って労基に行ったりは
どうしたらいいのでしょう。
医療通訳はきれいごとではすまされません。
つまり、ここまで、いつまでという線がひきにくいのが大前提です。
医療通訳を制度化するときに線引きを通訳者本人に任せると、
どこまでもやらざるを得ません。
だから、きちんと線引きしたり、
評価する第3者の存在がとても重要になってきます。
ただし、ここまでといわれると逆にストレスになるというタイプの通訳者もいますが、
現実にすべての場面での通訳を行うことは不可能というジレンマに陥ります。
通訳場所を限定する、時間を限定するなどやはり通訳指針のようなものが必要ですね。
ただ、皆さんにはこうした現実があることだけはわかっておいて欲しいなと思います。

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第12回日本渡航医学会

2008-07-23 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
先週末は岡山で第12回日本渡航医学会学術集会が開催されました。
医療関係者でない医療通訳者が参加できる学会というのはあまり多くはないのですが、
私は「訪日外国人(インバウンド)観光客と医療通訳」という視点で、
昨年からこの学会の評議員をさせていただいています。
医療従事者と医療通訳者が同じ土俵で議論できる非常に貴重な場所であり
学術集会はいつも楽しみにしています。

初日の午前中には「訪日外国人旅行者への医療対策」をテーマに
シンポジウムが開催され、私も医療通訳者の立場で
「日本における医療通訳資源」について発言しました。
当日は国土交通省から観光政策課長も参加され、
日本の観光行政に関してご発言されたのですが、
医療面からの訪日外国人施策に関して考える上で
今後の国の動きを把握することができました。
他にもたくさんの訪日外国人観光客を治療されている東京のクリニックと
関西の公立総合病院国際外来の医師の意見を聞き、
最後に私から医療現場における通訳者の活用について意見を述べました。

訪日外国人観光客数は近年のVisit Japanキャンペーンの成果で、
目標の年間1000万人到達は目の前です。
それを今後2020年にむけて2000万人を目指すとなると、
観光インフラもまったく違った形での整備をしなければいけない。
訪れる人が倍増すれば、病気になる人も増加するし、
添乗員やガイドをつけない個人旅行も増加する。
そうしたときに医療機関を利用する人数は、
単純に「倍増」ではないことが予想されます。

訪日外国人旅行者の医療問題に焦点をしぼると、
医療通訳の活用せざるをえない状況は明らかです。

来年の日本渡航医学会の開催地は福岡です。
興味のある医療通訳者の方のご参加を歓迎します。

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茨城県に行ってきました

2008-07-16 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
最近毎週末、どこかに行っています。

先週末は茨城県水戸市に行ってきました。
この年になるまで、茨城が「いばらぎ」だと思っていたのですが、
実は「いばらき」とにごらないことをはじめて知りました(苦笑)。
ということは大阪の「茨木」は「いばらぎ」でいいんでしょうね?

目的は、MEDINT顧問の連先生が講師をされる
茨城県国際交流協会の医療通訳研修の見学と
茨城県におけるタイ語通訳の現状視察です。

医療通訳研修は、
ポルトガル語、中国語、タイ語、タガログ語の4ヶ国語の
通訳経験のある人たちを対象に開催されました。

ほとんどが、日本語が母語ではない人たちで、
日本語の医療用語への対応が大変そうでしたが、
実務経験のある人たちなので、
ロールプレイなどはとても活気がありました。

朝10時から1時間講義があり、
その後1時間言語に分かれてのロールプレイ練習、
その後30分病院見学をして、30分の昼食の後
1時間の事例検討会でした。

会場が茨城県立こども病院(連先生の勤務先)だったので、
実際の施設や機材なども見学することができ、
盛りだくさんの研修でした。

県や協会の関係者の皆さんもとても熱心で、
茨城県はすごいなあと感心しました。

痛感したのは、実際に通訳に入ることの多い、
ネイティブ通訳者の研修の必要性です。
日本人通訳者とは違った日本語の医療用語や日本の医療習慣などの
研修が必要だと思います。
各地ですでにこうした研修会が開催されているでしょう
皆さんに地域の「医療通訳者」を「育てて」欲しいと痛感します。
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看護職の力

2008-07-09 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
雨が降ったり、急に照ったり不安定な天候が続いています。
なんとなく、亜熱帯のスコールみたいな雨が増えてきましたね。
やはり温暖化で気候が変わってきているのでしょうか?

ただ、この間の日曜日はとても気持ちよく晴れました。
神戸地方は暑いくらいの日差しでしたよね。
なぜなら、長崎から神戸に李先生がお見えになっていたからです!
(これが言いたかったのですが)

李節子先生(県立長崎シーボルト大学教授)のお名前は
国際看護や外国人医療を学んでいる人は一度は耳にしたことがあると思います。

今回は、びわ湖国際医療フォーラムでのご講演で関西にこられたので、
無理をお願いして次の日曜日にMEDINTの看護職対象講座でご講演いただきました。

今回の講座は看護職および看護学生を対象にしているので、
先生も看護職者へ伝えたいメッセージをたくさんつめてお話くださいました。
また、先生に「日本にはこうした看護職者対象の外国人医療に関する勉強会が
少ないのでがんばって」との励ましの言葉をいただきました。

私は通訳者なので、雑用係として看護講座に参加していますが(笑)、
看護職者はこういう考え方をするのだとか、
看護職者独自の患者に対する感じ方などが講座の中に見えてきて、
とてもいい勉強をさせてもらっています。
そしてやはり看護職者の講座は看護職者がやったほうがいいと確信しました。
看護職のことは看護職が一番よく知っているんですね。

先生は今年長崎県で医療通訳システムの立ち上げを計画されています。
今まで医療通訳について九州での活動があまり聞こえてこなかったのですが、
長崎が今後台風の目になることは間違いありません。
9月13日に大阪大学との共催で第一回のフォーラムが開催されるそうです。
楽しみですね!
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患者会

2008-07-02 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
先日、スペイン語と中国語の医療言語分科会が開催されました。
参加者はすでに通訳者として活動しているか、
言葉のできる医師で、講座はすぺてスペイン語もしくは中国語で行いました。
日頃あまり医療スペイン語、中国語を勉強できる機会がないので、
皆さんとても真剣に学んでいたのが印象的でした。

その中で、外国人患者さんの情報不足の話が出ました。
特に、がんなどの情報が大切な疾患の患者が外国人の場合、
うまく情報が届かなくて、福祉制度やサービスを受けられなかったり、
医療の選択肢が少なくなってしまうという問題が指摘されました。
外国人にも患者会があって、母語で情報交換できたらいいですよね。
誰か「外国人がん患者の患者と家族会」やってくれませんか?

私自身も患者としてある患者会に属していますが、
時には、患者会の情報が担当医師よりも詳しいことがあります。
患者会は当事者なので、情報収集に真剣(というか命がけ)ですし、
わらをもつかみたい気持ちがあります。
そのため不確実な情報もまったくないとはいえませんが、
なんといってもお互いのことが分かり合えるコミュニティでもあります。

私たちは外国人患者の言葉の問題に取り組んでいますが、
同時に情報提供や治療選択の権利などについても
議論していかなければならないと思っています。



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