MEDINT(医療通訳研究会)便り+

医療通訳だけでなく、広く在住外国人のコミュニケーション支援について考えていきます。

三重大学病院に行ってきました

2013-05-27 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
先週、愛知県の仕事が続いたので、
空き時間を利用して三重大学病院に行ってきました。

この大学病院の医療福祉支援センターには
ポルトガル語の医療通訳さんが常勤雇用されています。

大学病院の常勤医療通訳は全国でも珍しいですし、
受付や医事課ではなく医療福祉支援センターへの配属は
患者サイドからも望ましい形だと思います。

実際、病院に伺って通訳さんの仕事ぶりを少しだけ見せていただきました。

まずは、3年近く常勤雇用が続いているのは
この通訳さんの人柄と力量に負う部分が大きいと感じました。

昨年12月のシンポジウムでリリアン先生が
「通訳を制度化して配置しても、
だめな通訳者ならコミュニティの中ですぐに噂になってしまう。
医療通訳者を置くなら人選をきちんとしないと成功しない」と
いうようなことをおっしゃっていました。

病院の中では医療通訳者は必要だけれども異端な職種です。
病院としてもどう扱っていいのか、どう接していいのかというところからはじまります。
成功している医療通訳の配置ケースは
良い通訳さんが病院で活動して、
それを病院が認めたというところから始まっています。
病院が医療通訳の有用性を認めてはじめて雇用や受け入れにつながります。

この大学病院も最初は4名の短期間配置があって、
その中から彼女が選ばれ、短期の雇用を経て現在の常勤になったとのことです。
最近では財団からのスペイン語の配置もはじまっています。

何よりもポルトガル語通訳さんが
そばにいることで患者さんに安心の表情がでていることに
感銘を受けました。

集住地区で需要が多いということもあると思いますが、
各都道府県の拠点病院にこうした通訳さんがいれば
外国人の人たちもより安心して病院にいけるのだなと思いました。


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異文化ソーシャルワーク考

2013-05-20 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
偉そうなことを言えば、
日本の福祉の概念の中で「外国人・異文化」はとても希薄で
言葉の問題や文化の問題があるため枠外に置かれることが多いと感じます。
(現場は必ずしもそうではありませんが)
教科書にもほとんど取り上げられていません。
障害を持ったり、高齢化したり、病気になった
在日外国人の権利擁護は誰がするのか、
対人援助は誰が担うのかも明確になっていません。

通訳者は擁護・アドボケイトを行わないのが原則です。
そうした訓練を受けていないからです。

でも現場には介入場面があふれています。
その矛盾が通訳者を悩ませます。





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やっぱりだめだった

2013-05-13 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
脳動脈瘤で受診しているAさん。

「病院で説明は受けたけれど
先生の言っていることが、ところどころわからない。
どうしたらいいか?」
と、相談を受けました。

「先生は通訳を連れてくるようにって言うけど、
平日昼間に一緒についてきてくれて
自分より日本語のできる通訳者に心当たりがない。
どうしよう・・・」

すぐにその場に同行できる通訳者はいません。
とりあえず、今日は電話での通訳をするから、
先生の許可を得て、診察室から電話してください
と伝えました。

2時間後、本人から電話があり
「先生が電話の通訳はだめだって、
通訳は連れてこなければ診ないって。」
と言われました。

医療通訳の活動をしていて、
医師や医療者側も外国人患者を診ることに不安があるということは
よくわかりました。

もちろん電話という顔の見えない人間に通訳を頼むことに抵抗があるのも確かです。
患者が依頼してきているにもかかわらず
患者のプライバシーを理由に電話通訳を断られることもあります。
もしかしたら、今まで下手な電話通訳で嫌な思いをされたことが、
あったのかもしれません。

ただ、平日昼間に医療通訳レベルの通訳ができる人が
ウヨウヨしている状況でもないのです。
とくに英語以外の言語は
日本ではそもそも医療通訳レベルの通訳者人数が少ないのです。
せめて電話での通訳を受け入れてくだされば
必要な部分の適切な通訳はできます。

細かいところはまた後日考えるとして、
書面などもあとでFAXで送ってもらって電話で説明することもできるとして、
とにかく救急の場合は電話通訳を受け入れていただけないかと思います。

本人の「やっぱりだめだった・・・」という言葉に
無力さを感じます。


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移住連神戸大会が開催されます

2013-05-06 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
第9回移住労働者と連帯する全国フォーラムが
6月15日(土)~16日(日)の2日間神戸で開催されます。

これは外国人を支援している全国の様々なNGO・NPO団体が、
2年に1回集まって議論をする大きな集会です。
2年前は名古屋での開催だったのですが、
600人近くの人が集まり会場に入りきれないくらい大盛況でした。

今年の会場は東灘区の甲南大学です。
分科会も14分科会が予定されていて、
今まで「医療通訳」については
医療分科会の中で議論されていたのですが、
今回から
分科会12「医療通訳・コミュニティ通訳」と独立しました。
外国人を支援する専門通訳について、
じっくり2時間議論します。
神戸での開催ですので、
この分科会はMEDINTがコーディネートすることになっています。

もちろん、
ほかにも盛りだくさんの分科会が用意されています。

再び関西に戻ってくるのはまた先の話ですので
是非この機会に参加してみてください。

神戸フォーラムのHPは こちら
ちらしは こちら

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