MEDINT(医療通訳研究会)便り

医療通訳の制度化を目指す医療通訳研究会(MEDINT)のコラム
~みんなで 医療通訳者を増やし、守り、育てよう!~

「ごめんなさい」の重さ

2012-07-30 15:17:30 | 通訳者のつぶやき
Aさんは障害を持った子供さんを一人で育てているお母さんです。

Aさんにはずっと気がかりなことがあります。
子どもが障害を負ったとき、
病院の看護師さんがAさんに「ごめんなさい」といったことです。

Aさんは謝るには何か絶対理由があると考えます。
たぶん看護師さんが何か大きな秘密を知っていると思っています。
例えば医療過誤があったとか、子供を落としてしまったとか・・・。
だからAさんは病院のことを今でも疑っています。

看護師のBさんとその話をすると、
日本の看護師さんはいろんな場面で「ごめんなさい」を使うと言います。

「力は尽くしたけれど、至らなくてごめんなさい」
「命を守るためにした処置だけど、血が出てしまって痛い思いをしたね。ごめんなさい」

相手を思いやって患者の心を軽くするために医療者が謝る
もしくは、相手の機嫌を損ねないうちにこちらから謝るということが
日本の文化の中にあるのかもしれません。

でも、「ごめんなさい」という言葉を謝罪=悪いことをしたという文化の人からみると
一体何があったのだろうと思うのです。

このごめんなさいの意味を乗り越えなければ
Aさんは子供さんの障害の受容ができないような気がします。
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アウトリーチと医療通訳

2012-07-23 13:40:45 | 通訳者のつぶやき
最近、医療通訳が外国人医療支援を包括的に受け持つことが多く、
診察室や病院で終わらないケースが増えてきました。

帰宅しても仕事ができず生活が成り立たない。
自宅介護で何らかの継続支援が必要。
家族との調整や帰国の準備。
保険や福祉サービスの手続き・・・。

最近、外国人医療は全人的な支援であると
痛感することが少なくありません。

また外国人患者さん、
特に精神疾患やがんなどの患者さん、
母子や虐待ケースやDVケースなど
アウトリーチが必要だなと
思うことがよくあります。

アウトリーチとは、
「社会福祉事業などにおいて、
医療・福祉関係者が直接的出向いて心理的なケアとともに
必要とされる支援にとりくむこと」とされています。

医療通訳をやっていて、
この概念に出会うことはあまりありません。
通訳は「通訳」だからです。
アウトリーチを行うのはあくまでも福祉職者であり
病院関係者だと思うのですが、
同じ言葉を話す人間として気になる・・
会いに行きたいというのが
正直な気持ちなのです。

アウトリーチのできる医療通訳者が誕生するには
もう少し社会の成熟や
医療通訳の熟練が必要かと思いますが、
最近の外国人患者を見ていると
ちゃんと治療継続できるかなと心配なケースも少なくないのです。

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感情のもつれ

2012-07-16 09:20:02 | 通訳者のつぶやき
外国人の方から医師や病院を訴えたいという相談を受けます。

また、医療通訳の講座でも
外国人患者の医療過誤はどうしたらいいという相談をうけます。

医療過誤の相談を受けていると感じることなのですが、
訴えの中心が技術的なミスではなく、
医療者や医療機関との感情のもつれが主訴である場合が少なくありません。
(決めつけることはできませんが)

過誤に具体的な証拠がなく、
「医師が自分たちの目を見てくれなかった」
「看護師が外国人だからと言って避けたような気がする」
「カルテの名前を見て、あきらかに外国人なので厄介ばらいをされた」など
医療行為の前に、
外国人であることで何らかの拒否反応をされたように感じていたり、
そのことで治療がおろそかになっているのではないかと疑ったり。

実際の治療は普通に行われていても
感情のしこりが治療に対しての不満になるような気がします。

先日ある外国人患者さんと話をしていて、
彼女にとっていい医師とは
「友人のようにフレンドリーに接してくれる人」と言われて
私たち日本人が医師に求めるものと違うなあと感じました。
私たちは少しくらい無愛想でも腕のいい医師や
表に出さなくても心優しい医師を理想と感じますが、
国際化すると医師も感情表現を求められる時代が来るのでしょうか。

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清々しい研修会

2012-07-09 09:24:18 | 通訳者のつぶやき
土曜日、河内長野市国際交流協会の研修会に行ってきました。

最近、コミュニティ通訳や医療通訳が取り上げらる機会が増えていて、
なんかブームみたいに「通訳ボランティア」と言われることも少なくありません。

そうした研修会行くと、ぐったり疲れて後悔ばかりしてしまうのですが、
今回は久しぶりに、エネルギーをもらえた研修会でした。

規模も小さく、外国人の数も少ない地域で
コミュニティ通訳の養成について
理解を得るのはなかなか大変なことです。
まず、スタッフの方々が
人数は少ないけれど、確実にこれから需要がでてくる
通訳の分野を整備していきたいとの明確なビジョンを持っていること、
事業の開始にあたって利用者である外国人の姿が
きちんと映っていることが大切です。
そうした当たり前のことが
きちんとなされていることに感銘を受けました。

私自身も
外国人支援を始めたときに感じていた気概を
あらためて思い出して身の引き締まる思いでした。

一通訳者でしかない私が話をさせていただくのは
不遜であると思うこともあるのですが、
少しでも頑張っている人たちを
励ますことができたらうれしいと思います。

うっとおしい日が続きますね。
この梅雨が明けたら暑い夏がやってきます。
みなさん、お体ご自愛ください。
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ともに老いる

2012-07-02 17:04:28 | 通訳者のつぶやき
今年でスペイン語相談員も20年。
阪神大震災も経て、ずいぶん長いことやってきたと思います。

一つの仕事に20年なんて世間では大したことはないですが、
この20年で外国人を取り巻く環境は大きく変わってきましたし、
これから20年でもっと大きく変わっていくと思っています。

現在のテーマは日本社会と同じ「高齢化」です。
私のクライエントの最高齢は82歳。
会うたびに縁起でもないですが「生きててよかった~」と心から思います。
90年代の働き盛りが50~60代になります。
そして私自身も同じように年を重ねてきました。
病気にかかわる支援は年々増えてきます。

医療通訳を含む支援は
これから必要になってくる分野だと日々肌で感じています。




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