MEDINT(医療通訳研究会)便り+

医療通訳だけでなく、広く在住外国人のコミュニケーション支援について考えていきます。

シンポジウム無事終了

2009-09-30 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
5月28日、いのちと生きがいプロジェクトのプレセンテーションを経て
支援が決まってから、日曜のシンポジウムが開催されるまで、
本当にいろんなことを考えさせられました。

今回のシンポジウムで一番伝えたかったのは、
外国人医療の支援をしている方々の生の声を聞いて欲しいということでした。

発表者は皆さん、おしゃべりのプロではありません。
どちらかといえば、いつもは通訳者として裏方に徹し、
自分の意見を言ったり、発言したりということが少ない方々です。

外国人の医療支援の中で、
いろんなことを考えたり、工夫したりされているのに、
それがあまり医療従事者の方々に知られることがありません。

そういう人たちの声を聞いて欲しかったのです。
テーマでは終末期ケアとさせていただきましたが、
皆さん重篤なケースをいくつも乗り越えてこられたつわものばかりでした。

また、今回コーディネータとして京都橘大学の戸塚先生をお迎えできたことも、
異文化看護と医療通訳と立場は違えど、
患者の治療、よりよいケアを第一に考える姿勢は同じだと
参加者の方々にご理解いただけたのではないかと思います。

できるだけ早くプロシーディングを作成したいと思います。
完成したら是非皆さんにご覧いただければうれしいです。

会場に集まった方は70名ほどで、
決して大盛況というわけではありませんでした。
でも、このテーマは5年後ならきっとわかってもらえるようになるとおもいます。
すでに外国人医療の現場で終末期を扱うことは、
特別なことでも何でもないのが現状です。
医療通訳者も様々な覚悟をもって活動に取り組んでいます。
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西表島へ

2009-09-23 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
極度にストレスがたまることがあって、
耳が聞こえにくくなるという経験をしました。
このまま聞こえなくなったら通訳の仕事はできなくなるのかな、
ずっとこのまま洞窟の中にいるような音を聞き続けるのかなと。

でも病院に行っても機能的な問題はありません。
そういえば阪神大震災の後、聞こえないという訴えが何人かあったことを
思い出しました。

そこで、シンポジウムも言語研修もある忙しい9月なのに思い切って夏休みをとりました。
前から行きたかった西表島に一人旅です。

実はリサーチ不足で、
本当に私が行きたかった目的の場所はお隣の波照間島であることが、
西表島についてから判明したわけですが、
それでも、シュノーケルではきれいな魚に食べられそうな距離で泳いだり、
川を登ってのトレッキングでは、人のいないジャングルをひたすら歩いたり、
きれいな夕日を半時間ほどずっと毎日見てすごしていました。
早朝トレッキングでは蝶が乱れ飛ぶ光景にも出会いました。

本来の目的だった山羊にも少しは会えたし、
ひと夏分の汗をかいて、リフレッシュして帰ってきたら、
耳の調子はよくなっていました。

MEDINTのスタッフの皆には迷惑をおかけしましたが、
たまにはサボるのもいいかな・・・というか、
私がいなくても全然大丈夫なのだということがよくわかり楽になりました。

今週末はMEDINTシンポジム2009
「外国人患者の終末期ケアを理解するために」です。
今日の朝日新聞大阪版に掲載していただいたので、
お問い合わせ、参加申し込みもたくさんいただいています。
シルバーウィークの最後の日にこんな重い話は嫌かもしれませんが、
とてもいいお話が聞けると確信しています。
もしお時間があればご参加くださいね。
詳細はHP medint.jp まで
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支払い交渉

2009-09-09 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
あくまでも素人の意見として聞いてください。
病院やクリニックの窓口でもっとクレジットカードが使えれば
助かるなと思うことがよくあります。

病院の支払いは、
時にはおもわぬ高額になったり、
高額療養費として返ってくるのは数ヵ月後で
それまで立て替えなければいけないが現金がなかったり、
救急で運ばれて手持ちがなかったりと、
治療よりも会計の窓口でのトラブルは
たぶん日本人でも少なくないとおもいます。

たいていの方はその場で払えないと後日、
もしくは給料日以降、もしくは分割払いの交渉を
したいといわれますので、そのたびに通訳します。
この交渉が病院によって違うのでいつも大変困ります。
クレジットカードにしてくれれば、
支払い交渉はクレジットカード会社になるので、
病院の窓口ではなく、後日電話での交渉も可能です。
利子は安くありませんが、分割やリボ払いなどもあります。

本来はクレジットカードの一括払い以外の使い方は、
よくカードの使い方を理解した方以外にはお勧めしないのですが、
病気の場合は緊急事態でもあり、
できれば治療を優先するために
その場では支払いの心配をしないためにクレジットカードを使うことがあります。

実は、現在外国人生活相談の窓口には
クレジットカードでの多重債務や支払い不能の相談が後を絶ちません。
ただ、クレジットカードの会社はそうしたリスクに対しても、
様々な方策を提案してきます。
返済交渉の通訳をしながらプロだな・・・と感心することもあります。
弁護士に介入してもらうことも少なくありません。

こうして治療と支払い交渉が分けられれば、
少しは楽なのですが・・・。

観光客や訪問者が多い東京の病院では、
多くがクレジットカード払いを採用しています。
ホテルの予約のように、
受付したときにまずカードを提示するという方法で、
未払いで帰ってしまうリスクを回避することもあるようです。

神戸でも先日行った夜間救急窓口ではカード払いが可能でした。

少しずつ病院でもクレジットカードの使用が可能になってきているようです。
もちろんクレジットカードをもっていない方は
従来どおりの交渉をしなければいけないのですが
最近の日系人労働者はクレジットカードを所有する人も少なくありません。

支払い交渉に悩んでいらっしゃる方、
一度クレジットカード支払いの採用をご検討いただければとおもいます。

PS:私はクレジットカード会社のまわしものではありませんが(笑)
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多文化共生って?

2009-09-02 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
「多文化共生」について話してくださいという依頼をうけることがあります。
そういう時は外国人相談の現場とコミュニティ通訳の現場しか知らないので
総括的なお話ではなく、現場から見える状況についてとご了承をいただいてから話します。

ただ時々「多文化共生」を何か美しい国際交流や国際理解だと
勘違いされている方もいらっしゃるのでは?と思うことがあります。
「多文化共生」は決して美しいものでもすばらしいことでもありません。

あまりよい例えではないですが、
「子どもは天使のようですね」と夢見がちに語る人に対して
「決して子どもは天使ではない!」と感じる保母さんの気持ちに
近いかもしれません。

「多文化共生」
それは小さな紛争と我慢と和解の連続です。

私は外国人相談の窓口にいるので、
日本社会と外国人の気持ちとの折り合いをつけることで、
衝突を少しでも小さくすることの連続のような気がしています。

外国人がかわいそうな人で人権侵害されていて、
生き辛い日本でたくましく生きているので、
そういうかわいそうな人を守ってあげようという考えはありません。

目の前にある現実に少しでもうまくストレスなく対応できるように、
言葉の壁を取り除いたり、
わかりにくい習慣を説明したり、
子どもが恥をクラスで恥をかかないようにとか、
お父さんが会社で同僚の人や上司とうまくいくようにとか、
そんなことを考えながら寄り添うことが仕事です。

そうした支援は形を変えて過剰な要求になったり、
甘えやわがままになることもあります。
その場合はきちんと断ることも必要です。

定住化が進み、国際結婚も増えて
もう日本は外国人移民なしには考えられない社会になりつつあります。
今回は多国籍・多言語・多文化の人々との共生社会です。

きれいごとではなく、
本音でぶつかることが大切です。
そのために私たちコミュニティ通訳を使っていただければと思っています。

昨年来の不況と言う名の労働者置換から、
日系人相談は多忙を極めていて、
ネガティブなことしかかけなくてブログの更新が遅れてすみません。

9月になればMEDINTの活動も夏休みを終えて再開します。
英語講座中級からはじまり、中国語、ポルトガル語、スペイン語の分科会、
月末にはシンポジウムも開催します。
その出会いの中で少し元気が貰えたらと思っています。




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