MEDINT(医療通訳研究会)便り+

医療通訳だけでなく、広く在住外国人のコミュニケーション支援について考えていきます。

「外国人の医療・福祉・社会保障相談ハンドブック」

2016-11-28 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
すっかり秋も深くなってきましたね。
皆さんお元気ですか。

12月10日の医療通訳セミナーの準備が進んでいます。
土曜日でお仕事の方も多いと思いますが、
お時間のある方は、是非ご参加くださいね。
たぶん、はじめての通訳者のための3箇所同時開催です。
愛知、大阪からも一人でも多くの方に参加していただき、
医療通訳者の声を届けたいと思います。
皆さんのお力を貸してくださいね。

*********************

10月は、私のキャパでは結構一杯一杯でした。
ずっとipod classic(古い!)で音楽を聴きながら乗り切りました。

そのひとつが、「外国人の医療・福祉・社会保障相談ハンドブック」の作成です。
このハンドブックはNGO神戸外国人救援ネットが以前(2009年3月)に発行したものを
2012年の入管法改正などをうけて加筆修正したものです。
今回は、以前入っていなかった「医療通訳」をいれました。
書き始めて、医療通訳は何の法律もないなあということに気づきました。
というか、そもそも医療通訳は何を根拠に行われるのかということが
統一見解となっていないことに愕然としたわけです。
ただ、「参加することに意義がある」というか、
外国人の医療と福祉に「医療通訳」の視点を入れるだけでもいいと思って書きました。
たった6ページですが、
次回改定の時にはもっとたくさんページ数をさけるようにと願っています。

興味のあるかたは是非ご一読くださいね。
宣伝になりますが、購入方法は以下のとおりです。
(MEDINT会員の方には別途お声かけをします)

*********************

「外国人の医療・福祉・社会保障相談ハンドブック」

外国人の相談を受ける際に問題となることが多い医療・福祉・社会保障制度につい
て、在留資格の有無や種類による利用の可否やその運用のほか、災害時の支援策や通
報義務、医療通訳等についても解説。2012年の新たな在留制度に対応。

【発行】福島移住女性支援ネットワーク(EIWAN)
【編集】外国人生活・医療ネットワーク関西/外国人医療・生活ネットワーク
【価格】1部1000円 (郵送の場合は160~300円の送料が別途必要です。)
(B5判 189頁)

●目次
はじめに
第1章 外国人の社会保障・社会福祉の権利
第2章 制度の活用
(生活保護 国民健康保険 後期高齢者医療 健康保険  
介護保険 自立支援医療 入院助産制度 感染症予防法  
精神保健福祉法 難病患者のための医療 無料低額診療 
制度 行旅病人法 小児慢性特定疾患治療研究事業 母
子健康手帳 養育医療 予防接種 救急医療費損失補て 
ん事業 国民年金・厚生年金 児童手当 児童扶養手当 
外国人と労働法)
第3章 災害時の支援策と外国人
第4章 通報義務と相談・支援活動
第5章 医療通訳
【資料】関係法令通知類を掲載

【お申し込み】
お名前、住所、電話番号、メールアドレス、必要部数をご記入の上、NGO神戸外国
人救援ネットにメールまたはFAXでお申し込みください。

「外国人の医療・福祉・社会保障相談ハンドブック」編集委員会
(連絡先)〒650-0004 神戸市中央区中山手通1-28-7 NGO神戸外国人救援ネット内
TEL & FAX 078-271-3270   mail : gqnet@poppy.ocn.ne.jp

〇お申し込みいただいた場合、12月になってからの発送となります。
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第2回 全国医療通訳者セミナー(ミニ!)

2016-11-21 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
先週のブログで、
医療通訳者の辛さをわかってくれるのは
同じ言語の医療通訳者と言うお話をしました。

もちろん、医師や看護師、ソーシャルワーカーの方々など
医療職の方にもたくさんお世話になっているんですが、
通訳者は意外と横のつながりの少ない仕事なのです。

そこで来月、全国の医療通訳者の皆さんとつながるミニセミナーを実施します。

様々な言語、そして在住や観光などの患者さんの背景を問わず、
日ごろ「医療通訳者」として活躍している(したい)皆さんと思いっきり話してみませんか?

私は愛知会場に参加します。
少し名古屋からは遠いですが、期待をこめて、
愛知会場は100名はいる教室をご用意しています。

第1部は東京からの講演を聞く形になりますが、
第2部では3か所をつないで、議論をしていきます。

医療通訳者は全国にいます。
本当はもっとたくさんの場所をつなぎたいのですが、
まずは3か所から。


医療通訳者が主役のセミナーです。
是非ご参加くださいね。


********転載歓迎*********


   第2回 全国医療通訳者セミナー(ミニ!)
夏のセミナーでは、全国の医療通訳者のみなさまと一堂に会して意見交換をすることができました。
今回は、3地域で同時開催となります!全国ならびに地域での繋がりを強めてみませんか。
第1部では海外の先行事例から学び、
第2部で今後のあるべき日本の医療通訳者像について議論していきたいと思います。

と き: 2016年12月10日(土)14:00 - 16:00

ところ: <東京>順天堂大学本郷・御茶ノ水キャンパス 
第2教育棟 三階 301と302教室(文京区本郷2丁目1番1号)
http://www.juntendo.ac.jp/intro/campusmap/

<大阪>大阪大学吹田キャンパス 人間科学部 東館106講義室  
        (吹田市山田丘1-2) 
http://www.hus.osaka-u.ac.jp/ja/access.html  
 
<愛知>愛知県立大学長久手キャンパス H棟201教室
           (愛知県長久手市茨ヶ廻間1522-3)
http://www.aichi-pu.ac.jp/access/ 

プログラム
第1部: 海外の医療通訳制度から学ぶ
「先行するアメリカから学ぶ」
森田 直美(東京医科大学兼任講師)
         「多文化国家オーストラリアの通訳資格」
久次 奈美(東京福祉大学社会福祉学部非常勤講師)
「欧州の医療通訳について」
大野 直子(順天堂大学 国際教養学部 講師)

第2部:「これからの医療通訳が目指すもの」
~3会場から中継で話をしてみます~
 
申込先: 参加会場を選んでお申し込みください。
 東京:tokyomedlab@gmail.com:森田直美(東京医科大学)
 大阪:nami3kinki@gmail.com :飯田奈美子(多言語コミュニティ通訳ネットワークmcinet )     
 愛知:nami3tokai@gmail.com :伊藤美保(Medical Interpreter Network Tokai MINT)

コメント (2)
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敵が見えない

2016-11-17 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
外国人医療において、一番の困難は言葉の問題だと思っていました。
だから、良質な医療通訳を配置することで
医療のアクセスを確保できると信じていたのです。

でも、最近、そうでないケースがあまりにも山積みなので
だんだんわからなくなってきました。

思えば、以前は闘う相手がはっきりしていました。
「闘う相手」が必ずしも悪いというのではなくて、
法律や制度や通訳というツールやそういうものを駆使すれば
交渉したり解決したり、合意したりできたのです。

相手は、ブラック企業だったり、やくざまがいの派遣会社だったりもあったし、
労働基準監督署だったり、国保の窓口だったり、入国管理局だったりでした。
自分を通訳者という道具として最大限使うことで
問題解決の糸口がみつかっていました。
医療現場でもそれに近い状態だったと感じます。

最近では、「言葉」の問題に、「貧困」がからみ
そして「家族」が絡んできます。

医療現場で、日本語ができないだけでなく、お金がないだけでなく、
母子が夫から捨てられる、親が子どもをネグレクトする、
認知機能が落ちて判断ができない、遺棄に近い状態もあります。

こうなってくると、医療にアクセスする機会以前の問題なのです。
やはり、母子保健と精神疾患は時間がかかります。

外国人医療で通訳していると
そもそも病院にたどり着くまでが困難であるケースが少なくありません。

誰も悪くない。
患者の過去を批判することは、今やることではない。
だから、闘うべき敵が見えないのです。

ぐったり疲れて家に帰り
同じ言語の友人に話を聞いてもらいました。
やっと眠れました。
やはり、困ったとき医療通訳者の頼りになるのは同じ通訳者だよなあと思います。
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伝言ゲーム

2016-11-08 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
社会福祉士の授業の中で
アイスブレークとして「伝言ゲーム」をしました。

前の人の伝言を伝えて後ろの人にまわす
よくある伝言ゲームです。

メモ取りを禁止していたわけではないし、
時間を競っていたわけでもなく、
普通に前の人が言ったことを伝えるだけ。
全然難しくはありません。

なのに7人目の一番後ろの人には
季節や場所や名前などが間違って伝わっています。

これが私にはどうもわからないのです。

通訳者は言葉を発した人が言ったとおりの言葉を
短期的に記憶して、別の言語で訳出します。
日本語→日本語なら短期的に記憶してそのとおり言うだけの至極単純な作業です。
ため息や「え~と」といういい淀みまで再現してもおかしくありません。

なのになぜお話の根幹である季節や場所や名前が
間違って伝わるのか・・・・。

これはたぶん、「聞き方」の違いなのだと思います。
対話の中では細かいことを聞き漏らさずに聞くのではなくて
話を大枠で聞いてイメージするのが日常的です。
大切なことには耳をそばだてるけれど、
あまり重要じゃないときには聞き飛ばしてメモリを節約します。
つまり、聞き逃しても大変かどうかを判断しながら聞いている気がします。
よりわけて聞いているのだと思います。

しかし、通訳の場合は
通常、この言葉が大切かどうかをよりわけることはしません。
発語された言葉はすべて訳するのが原則です。
伝言ゲームのように再現することは日常茶飯事にやっているのです。

すべてを聞くから逆に、
いらない修飾語や挨拶や「事前のお断り(もしも・・たら)」みたいなものが
ごたごたとくっついているのに中身のない言葉は大きなストレスになります。

政治家の言葉はそういうものが多いですね(笑)。

最近「やさしい日本語」を医療従事者や行政窓口にという研修依頼が多いのですが、
「やさしい日本語」は通訳しやすいシンプルな日本語です。
聞いていてもイメージが浮かびやすいし、間違いがないので合理的でもあると思います。

話は変わりますが、
講師の仕事をはじめた頃、自分の話し方にコンプレックスがありました。
どうしたら聞き取りやすい日本語になるんだろうと
3年くらい悩んでいる間、落語を聞くことにしました。
結局、話している内容は同じでも話の「間」が大切だということに気づきました。
同じ日本語でも、「間」の違いで届くものも届きにくくなる。
自分も含めて、対話を仕事で使う職業人は「届く言葉」を意識しなければと思います。

余談ですが、最近では「落語」を聞くと眠くなるため、
朝の通勤ではハードロックを聴いてます!!
元気が出ますよ~。
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