MEDINT(医療通訳研究会)便り+

医療通訳だけでなく、広く在住外国人のコミュニケーション支援について考えていきます。

甘い生活

2012-08-27 14:21:29 | 通訳者のつぶやき
しっかりもののFさん。

夫がつかまっていてその情状酌量を伝えるために
陳述書を書いています。
翻訳が必要なのでお願いと頼まれました。

その文章が
行政宛なのに甘いのなんの・・・・。

どのくらい甘いかというと
南米のケーキくらい、
砂糖がじゃりじゃりいうくらい甘い。
これでもかとスティック砂糖を入れてかき混ぜる
ブラジルのコーヒーくらい甘い。

訳しているこちらが赤面する言葉のオンパレード。
お堅い公務員や弁護士の人が
この文章をどんな顔して読むのか見てみたい~と
不謹慎に思うこともあります。

ラテン系言語の通訳者と話をすると
どうしてもこの愛の言葉は日本語に訳せないものがあるね~と
いう意見で一致します。

医療通訳で甘い言葉を吐くことはないけれど
それでも「愛溢れる言動」を説明することはあります。

人によって違うと思いますが、
言葉の文化を強く感じるのは
こうした感情表現の部分であることが少なくありません。

愛を語る言葉をこんなにたくさん持っていて
誰もが饒舌になる言語のひとつが
スペイン語だよね・・といつも思います。

スペイン語を選んだサダメとして
今日も「愛してる」では微妙に表現できないスペイン語と
格闘している日々です。


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コメント

fiebre de verano?

2012-08-20 09:28:04 | 通訳者のつぶやき
いつも電話をしてくる50代女性のEさん。

「夫が失業中で家にいて頭痛やめまいをおこしたりしてる。
医者には行っていないけど、ねっちゅうしょうだと思う。
私たちはfiebre de verano(直訳すると夏の熱、夏風邪の意味)っていっているけど、
スペイン語でなんていうの?」

「hipertermiaですよ」

IT関連の言葉と一緒で
医療関係の言葉も新しい言葉がどんどん出てきます。
ちょっと古いのではSARSとか
最近では、肺炎球菌とかHibとか
熱中症もたしかに私の持っている辞書にはないですね。

そんなときは皆さんすでにご存知とは思いますが、
まず日本語のWikipediaで「熱中症」を探します。
その左側に「他言語版」と表示されているので、その「Español」をクリックすると
スペイン語の「Hipertermia」のページがでてきます。
ウィキペディアが100%正しいとは言いませんが、
少なくとも現在使われている言葉を調べるには結構役に立ちます。

中にはスペイン語へのリンクがないものがありますが、
せめて英語のリンクがあれば、推測は可能だし、
そのままスペイン語読みすると新しい言葉は結構あたったりします(笑)。

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以前、協力隊で海外に行っていたころ、
魚を与えるよりも魚の取り方を教えることが援助だと言われました。

私は農業を指導していたので、
帰国間際はひたすら種とりばかりやっていました。
買った種やもらった種でおいしい作物を作っても
種が買えなくなればそれでおしまいだけど、
種を自分たちでとれれば、それを周りの人におすそ分けして、
お金がなくても野菜が食べられる。
実際に青梗菜やオクラはそうやって残っていきました。

外国人相談をしているときも、
誰かに問題解決してもらうのではなく、
自分で問題解決して自己決定する力を持ってもらいます。
そのために必要なのは技術をもったコミュニティ通訳者です。
私は在日外国人の人に力をつけてもらいたい。
次は誰かのために手伝えるように言葉だけでなく
法律や制度や闘う力をつけてもらいたいと思いながら仕事をしています。
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夏休み・・ですが

2012-08-13 16:09:06 | 通訳者のつぶやき
愛知県立大学の授業も終わり、
週末の講座やイベントも8月はとても少ないため、
やっと休みがとれると思っていたところだったのですが、
家族が入院し、週末は病院にいます。

3月の病院実習はこのためだったのかと思うくらい、
家族の立場でカンファレンスに入ることになり、
今度は家族目線での退院援助の手法を学ぶこととなりました。

あらためて医療の現場は
治療だけでなく生活(地域)なのだなと感じます。

これからの医療通訳としては、
治療だけの支援にとどまらず、
介護や生活の支援までかかわらざるをえないのだと
ある意味覚悟しています。

糖尿病のDさん。
血糖値が危険なくらい上がってしまっても
国保の保険料が未払いだったので
保険が使えず病院に行きません。
とりあえずいくらか払って1か月だけの保険証を出してもらって、
治療をしましたが、途中で治療をやめるとまた元に戻ります。

でも仕事をしないと家族への送金も滞ってしまいます。
友人への借金もあります。

結局、生活保護を申請して、
治療の間だけは何とか生活保護で見てもらって、
働けるようになったらまた働けばいいといって
地域の外国人支援団体に付き添ってもらい生活保護申請をしました。

約半年の治療でめどが立ち、
仕事をはじめましたが、やはり体のことが不安です。
いつもは常に彼女がいてモテモテのDさんですが、
もてすぎて特定の家族がいなくて
一人暮らしの不安定な境遇で食生活改善も難しい状況です。

「生活保護って何回でももらえるの?」とDさんは不安です。
海外では制度はあるけれど5年上限で打ち切りというところもあります。

日本人は生活保護があるさと簡単に思っているかもしれませんが、
健康保険制度同様、大切にしなければ崩壊してしまう制度です。

病気と貧困は日本人同様、外国人も襲います。
医療を受けるのにまず環境を整えなければいけない状況が増えつつあります。
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もつべきものは・・・

2012-08-06 21:39:54 | 通訳者のつぶやき
ある病気を治療中のCさん。

一時帰国を希望しているのですが、
帰国にあたってもし何かあった時に
日本での投薬の状況を母国の医師に説明するために、
医師からもらった薬の名前(日本の薬の名前)を
ジェネリックネームにしてほしいとの依頼がありました。

医療通訳は日本語を外国語に、
もしくはその逆はやりますが、
日本の薬の名前をジェネリックネームに翻訳(?)することは
専門外なのです。

ただ、一時帰国をとても楽しみにしていて、
もっとも体調の安定した時期を選んで
帰国するCさんの不安を取り除くことができるのであれば
何とかお手伝いしたいと思いました。

そんな時、餅は餅屋です。

医療通訳や外国人医療でご一緒させていただいている
兵庫医療大学のK先生にお願いしました。
K先生、お忙しい中30分で変換してくださいました(すごい)!

私にとってはただのカタカナの羅列にすぎない薬の名前も
K先生にとっては、(当たり前ですが)ひとつひとつが用途も効能も違う薬です。
やはり専門分野が違うというのはすごいことだと思います。

と、同時に持つべきものは専門職の仲間だということをあらためて痛感しました。

外国人の医療支援をしていて、
本当にいろんな人に教えを乞うたり、意見を求めたりします。
その中ではじめて解決法や進むべき道が見えてくるのです。
自分一人で抱え込んでいては、とてもではないですが
きちんとしたお手伝いができないということを痛感しました。

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