MEDINT(医療通訳研究会)便り

医療通訳の制度化を目指す医療通訳研究会(MEDINT)のコラム
~みんなで 医療通訳者を増やし、守り、育てよう!~

医療通訳の守備範囲は広い

2011-05-23 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
5月は医療に関する相談や通訳の仕事が多い季節です。
今年も毎日のように病院との間の通訳をしています。

私の場合は主に電話通訳ですが、
医療通訳をしていると、その範囲の広さに呆然となることがあります。

たとえば先週だけでも
10くらいの疾患の通訳をしました。
具体的な病気の名前は出せませんが、
内科、内分泌科、小児科、婦人科、
保健センター、乳腺外科、神経科、皮膚科など。

それ以外にも
セカンドオピニオンの申し込みやら
来日した精神科の患者さんの転院先やら
医療通訳の守備範囲は本当に広いなと思います。

また、病院のソーシャルワーカーさんとの交渉通訳や
医事課との支払交渉の通訳もあります。

それから国民健康保険の遡及手続をしたり、
労災の申請手続きをしたり、
悩み事の聞いたり・・・。

言っておきますが、私の仕事は医療通訳だけではありません。
それでも医療関連の依頼は多いのです。
(その理由については来週書きます)

ただ、目の前にいる方の
治療がうまくいくように、
医学辞書や参考書片手に初めて聞く言葉に
挑戦し続ける日々です。

「梅雨に入ったら少しは減るかな・・」と思いながら、
「太陽がまぶしすぎるから・・・」とひとりごとを呟いています。
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ご迷惑をおかけします、が。

2011-05-16 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
私の本職はスペイン語相談員で、
ある時期から相談の中で医療分野の相談や通訳の割合が大きくなってきて
現在は仕事をしながら医療通訳の活動をしているのですが、
もう少し本格的に相談員のほうの仕事を極めたいと思い
4月から通信制の学生をはじめました。

月曜から木曜まで相談員の仕事をして、
金曜に大学で教えて、
土日スクーリングで学生をして、
ふと気づいたら休みをとることを忘れていました(笑)。

でも人のアタマというのは不思議なもので、
知識を使ってばかりいるとカラカラという音がして
枯渇してくるのです。
私は時々このカラカラという音が本当に聞こえる気がします。
皆さんにはそんな時ないですか?
だから時々栄養を入れてあげなければいけない。
自分にとって学生として学ぶことは、
スポンジに水を吸わせるような感覚なのです。

そしてもうひとつ。
そのためにMEDINTのことで
スタッフや会員さんの力をかりなければいけないことが出てきました。

MEDINTを作った時に、
引き受けた限りは自分が責任をとると決めました。
たとえ一人になってもこの活動を続けること。
だけど気づいたら一人ではなく人数が増えていました。
とてもうれしいことです。
15日のMEDINTの講座には私は参加できなかったのですが、
スタッフに聞くと、
会員さんが皆いろんな形で声をかけて手伝ってくれたとのこと。
いい人たちが集まってますねとも言ってもらえました。

常々思っているのは、
医療通訳に必要なものは
通訳技術だけでなく、
他専門職の人たちとうまくやっていく能力や
患者を思いやる力だと思っています。
もしかしたらそうした力のほうが大切かもしれません。

私が学生をすることで今年1年、会員の皆さんや講師の先生方には
連絡が遅れたり、講座に参加できず迷惑をかけますが、
何とかなるものだ・・・というのが新しい発見でもありました。

MEDINTの皆さんの会員力があがることを心のどこかで期待しています。
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2011-05-09 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
私は神戸の田舎にすんでいるので、
この時期になるとお店には掘りたての筍がならびます。

筍には春の息吹を感じます。
春という季節は苦手だけれど、
筍は好きです(笑)。

筍のように新しい息吹が医療通訳の中にも生まれています。
最近、医療通訳でうれしいニュースが続きました。

まずは、大阪大学で本格的な医療通訳コースがはじまったこと。
人材育成の専門である大学で本格的な医療通訳教育がなされることは
本当に夢でした。
これで、医療通訳という仕事が研修の必要な仕事であると認められていきます。

愛知県立大学では医療分野スペイン語ポルトガル語の講座が5年目を迎えます。
これも言語的側面から医療に特化した講座なのでこれからの見本になると期待しています。

愛知県でも医療通訳の実証実験事業がはじまります。
それに伴い医療通訳者も募集されています。
事業としての「医療通訳」を全面にだしたことに、愛知県の方々の意気込みを感じます。

また、メディカルツーリズムの影響で
病院や医療特区を考えている行政などでも
外国人患者誘致に向けて医療通訳を養成する動きもでてきています。
病院自身が医療通訳者を育成してくだされば、
いろんなタイプの医療通訳者が活躍できる場所ができると期待します。

こんなにいろんな研修媒体ができたらMEDINTの仕事がなくなるって?
いえいえ。それがMEDINT本来の目的なのです。

医療通訳の研修は本来研修を専門とする機関がやるべきです。
もしくは医療通訳を雇用する病院自らがその方針にあった通訳者を育てるべきです。
小さなNGOが研修をやっても所詮できることは知れています。
ただ、今までの実験的な取り組みの積み重ねが、これからの何らかの参考になるかもしれません。

様々な人たちが持てる力を医療通訳に使ってくださったら、
医療通訳は大きく飛躍することができます。
優秀な専門家の方々がその専門性を使って医療通訳に関与してくれれば、
制度化に向けても大きく動くと思うのです。

医療通訳をもっと発展させるためには、
様々な人材が参加してくれることが鍵になります。
なので私のような古いタイプの医療通訳者は
お役御免になる日が一日も早くくればいいと思っています。
そしてその時は、自分の好きな通訳の仕事だけをしたいなあと思います。
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違う場所からみえてくるもの

2011-05-02 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
医療通訳者は診察室では異質な存在です。

患者ではありません。
もちろん、医師でもないし看護師でもない。
家族や友人でもありません。
通訳をしているけれど、診察や治療にはタッチしていません。
だから、いろんなものが見えてきます。

たとえば医師と患者が話しているとき、
両方の顔が見えます。

患者がとても心配している様子とか。
医師が時間がなくて焦っている様子とか。
歓迎してもらっているなという感じとか。

10年以上前、通訳として患者につきそっていた頃、
医師は私の敵でした。
外国人だからといってちゃんと診察しないんじゃないかとか、
診療拒否されるんじゃないかとか、
外国人だからなめられたらいけないとか、
日本人と同じ適正料金なのかどうかとか。

だから医師にも胡散臭い通訳とか、
素人が勝手なことを言って・・・と思われていたと思います。
今思えば・・・お恥ずかしい。

でもMEDINTで医療通訳の活動をするようになって、
医師や看護師の人たちの
なんとかちゃんと診察したいけど、
言葉が通じないとか文化が違うことの苦悩を聞くことができて、
病院側だって困っているんだということを知りました。

そして、外国人医療は
医療者も患者も医療通訳者もなんとか患者を治療したいという思いは
同じ同士なのだということに気づきました。
どこにも患者の敵なんていないんだと。

それから勉強をしたり、医療者の皆さんの意見を聞きながら、
医療通訳者として
どうやったらうまく医療現場と患者のコミュニケーションを調整できるかを考えています。

最近は調整することばかり考えてしまい、
患者の主張と一緒に怒ることを忘れがちだと患者から怒られます。
怒ることはエネルギーがいる。
私は人生の難しいことは全部避けて結構適当に生きてきた人間ですが、
医療通訳の活動はどうしても逃げることはできないと感じています。

当事者ではなく、でも外国人医療の一当事者である医療通訳者。
難しい立場ですが、
ここから外国人医療の現場を見つめていきたいと思います。
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