2003年以降の活動の詳細については、HPを見ていただくことにして、
ここでは、どういうコンセプトでこの研究会を立ち上げたかについて、書いてみたいと思います。
まず、外国人医療通訳で一番必要とされているのが「通訳派遣」であることは明らかです。
ですので、医療通訳に関するNGOを立ち上げると言った時に、ほとんどの皆さんが通訳派遣のNGOだと思われたようですね。また、設立準備の段階で会員になるといってくださった方々も、即医療通訳の活動ができると思ってこられた方が多く、そういう方は講座をやっているうちに残念ながら離れていってしまいました。
しかし、私なりにMEDINTを作る時に決めた3つの原則がありました。
(1)自分たちができる範囲での活動にすること
メンバーは、すでに通訳や団体職員、医師や看護師といった職業をもっています。誰かがその仕事をやめてこの活動に専念するには、お金も事務所もありません。会費をできるだけ会員と活動に還元したいと思っているので、事務所は「奇兵隊」に間借りさせてもらい、HPサーバーも「奇兵隊」、電話は代表の携帯電話~いつも留守電になってます、機種もツーカーの古いタイプで今時メールもできません(涙)~、連絡はすべてパソコンメールとメーリングリスト、広報はHPで経費節減を徹底しました。役員、スタッフの活動は手弁当で、できるだけ土日と夜間を中心にできる範囲でやっています。ですので、なかなか電話連絡がつかないとか、事務所に行きたいとかというご不満、ご要望もあるかと思いますが、もうそれはご理解いただくようお願いしています。また、主旨にご賛同いただいた、毎日新聞社大阪本社さんに2005年度から教室の場所を提供していただいています。JR大阪駅徒歩10分(雨にぬれない!)会場をお借りできて、参加者の利便性もアップして、最近では教室が満員になることもしばしばあります。本当に感謝しています。とにかくこの活動を細く長く続けるために「無理しない」が信条です。
(2)他の団体がやっていない活動にすること
先ほど「通訳派遣」はしないと書きました。どうして、通訳派遣をしないかというと、実は「しない」のではなくて「できない」のです。関東に「MICかながわ」があるように、関西には「多文化共生センターきょうと」というすばらしいモデルケースがあります。私たちはとても、これ以上のことはできません。ここの事務局長とコーディネーターは医療通訳の非常に繊細な部分まで理解して事業を組み立てています。いつも感心すると同時に彼らから学ぶことはできても真似はできないなあと思っていました。だから、私たちには「多文化共生センターきょうと」と同じことを目指すのではなく、自分たちの特徴を活かした活動に特化すべきだと考えました。それはなにかなあ・・と。そこで、医療通訳者に足りないもの、つまり研修の機会を作ることをかんがえました。幸い、MEDINTには医師や看護師の役員がいます。立ち上げからAMDA兵庫のお世話にもなっています。講師をつとめてくださる人材がたくさんいます。主旨をご理解いただいて、ボランティアで来ていただけることになりました。医療通訳者は団体に所属している人たちだけではありません。個人でやっている人、家族や同国コミュニティのためにがんばっている2世・3世の人たち、司法や行政、教育現場の通訳者で医療も扱う機会のある人などもいます。誰でも気軽に研修のできる場の提供が、私たちの能力の中で一番無理せずできる活動だと思いました。そこで、講座研修を中心にMEDINTの活動をすることにしました。
(3)ユーザー(医療従事者や行政)を巻き込んだ活動にすること
医療通訳者同士で話をすると、どうしても愚痴になってしまいます。結局、行政が悪い、病院が悪いということになって、溜飲を下げて終わります。でも、この問題を解決するには、病院、医師や看護師という通訳ユーザーの声を聞くことがとても重要です。病院にも行政にも言い分はあります。それぞれの立場で議論することではじめて解決策が見えてきます。ですので、講師に来ていただいたり、語学講座で学んでいただくことによって、医療従事者の方々にも一緒に医療通訳の問題を身近に感じてもらいたいと思っています。医療の世界の壁は厚いとの話を聞きますが、お一人お一人とお話しすると、とても良心的でこの問題について真摯に受け止めようとしてくれる方が多いように感じます。私は社会的活動には、色鉛筆が必要だと思っているんです。ジェンダー、年齢、国籍、職業、ものの見方など様々な多種多様な人が集まってこそ、深く広く考えることができる。だから、役員・スタッフ・会員とも応援してくれるだけでなく、苦言を呈してくれる人こそが宝だと思っています。
でも、MEDINTは2006年の今年、山で言うとやっと1合目。このお話はもう少し続きます。
ここでは、どういうコンセプトでこの研究会を立ち上げたかについて、書いてみたいと思います。
まず、外国人医療通訳で一番必要とされているのが「通訳派遣」であることは明らかです。
ですので、医療通訳に関するNGOを立ち上げると言った時に、ほとんどの皆さんが通訳派遣のNGOだと思われたようですね。また、設立準備の段階で会員になるといってくださった方々も、即医療通訳の活動ができると思ってこられた方が多く、そういう方は講座をやっているうちに残念ながら離れていってしまいました。
しかし、私なりにMEDINTを作る時に決めた3つの原則がありました。
(1)自分たちができる範囲での活動にすること
メンバーは、すでに通訳や団体職員、医師や看護師といった職業をもっています。誰かがその仕事をやめてこの活動に専念するには、お金も事務所もありません。会費をできるだけ会員と活動に還元したいと思っているので、事務所は「奇兵隊」に間借りさせてもらい、HPサーバーも「奇兵隊」、電話は代表の携帯電話~いつも留守電になってます、機種もツーカーの古いタイプで今時メールもできません(涙)~、連絡はすべてパソコンメールとメーリングリスト、広報はHPで経費節減を徹底しました。役員、スタッフの活動は手弁当で、できるだけ土日と夜間を中心にできる範囲でやっています。ですので、なかなか電話連絡がつかないとか、事務所に行きたいとかというご不満、ご要望もあるかと思いますが、もうそれはご理解いただくようお願いしています。また、主旨にご賛同いただいた、毎日新聞社大阪本社さんに2005年度から教室の場所を提供していただいています。JR大阪駅徒歩10分(雨にぬれない!)会場をお借りできて、参加者の利便性もアップして、最近では教室が満員になることもしばしばあります。本当に感謝しています。とにかくこの活動を細く長く続けるために「無理しない」が信条です。
(2)他の団体がやっていない活動にすること
先ほど「通訳派遣」はしないと書きました。どうして、通訳派遣をしないかというと、実は「しない」のではなくて「できない」のです。関東に「MICかながわ」があるように、関西には「多文化共生センターきょうと」というすばらしいモデルケースがあります。私たちはとても、これ以上のことはできません。ここの事務局長とコーディネーターは医療通訳の非常に繊細な部分まで理解して事業を組み立てています。いつも感心すると同時に彼らから学ぶことはできても真似はできないなあと思っていました。だから、私たちには「多文化共生センターきょうと」と同じことを目指すのではなく、自分たちの特徴を活かした活動に特化すべきだと考えました。それはなにかなあ・・と。そこで、医療通訳者に足りないもの、つまり研修の機会を作ることをかんがえました。幸い、MEDINTには医師や看護師の役員がいます。立ち上げからAMDA兵庫のお世話にもなっています。講師をつとめてくださる人材がたくさんいます。主旨をご理解いただいて、ボランティアで来ていただけることになりました。医療通訳者は団体に所属している人たちだけではありません。個人でやっている人、家族や同国コミュニティのためにがんばっている2世・3世の人たち、司法や行政、教育現場の通訳者で医療も扱う機会のある人などもいます。誰でも気軽に研修のできる場の提供が、私たちの能力の中で一番無理せずできる活動だと思いました。そこで、講座研修を中心にMEDINTの活動をすることにしました。
(3)ユーザー(医療従事者や行政)を巻き込んだ活動にすること
医療通訳者同士で話をすると、どうしても愚痴になってしまいます。結局、行政が悪い、病院が悪いということになって、溜飲を下げて終わります。でも、この問題を解決するには、病院、医師や看護師という通訳ユーザーの声を聞くことがとても重要です。病院にも行政にも言い分はあります。それぞれの立場で議論することではじめて解決策が見えてきます。ですので、講師に来ていただいたり、語学講座で学んでいただくことによって、医療従事者の方々にも一緒に医療通訳の問題を身近に感じてもらいたいと思っています。医療の世界の壁は厚いとの話を聞きますが、お一人お一人とお話しすると、とても良心的でこの問題について真摯に受け止めようとしてくれる方が多いように感じます。私は社会的活動には、色鉛筆が必要だと思っているんです。ジェンダー、年齢、国籍、職業、ものの見方など様々な多種多様な人が集まってこそ、深く広く考えることができる。だから、役員・スタッフ・会員とも応援してくれるだけでなく、苦言を呈してくれる人こそが宝だと思っています。
でも、MEDINTは2006年の今年、山で言うとやっと1合目。このお話はもう少し続きます。