MEDINT(医療通訳研究会)便り

医療通訳の制度化を目指す医療通訳研究会(MEDINT)のコラム
~みんなで 医療通訳者を増やし、守り、育てよう!~

MEDINTシンポジウム2013

2013-10-28 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
MEDINTでは毎年テーマを決めてシンポジウムを開催しています。

2012年は「医療通訳とこども」、
2011年は「看護教育と外国人医療」
2010年は「メディカルツーリズム」

やりたいテーマはたくさんあるのですが、
我慢して毎年1テーマに絞って開催しています。
そしてプロシーディングに記録していろんな人にみていただきます。

基調講演者とシンポジスト選びは一番楽しい仕事です。
だいたい、はじめてお会いした時に
「いつかこの人の話が聞きたい!」と思うのです。
昨年のリリアン ハタノ先生はまさに初めてあった時に
この人の言葉をたくさんの人に聞いて欲しいと痛感しました。
そして先生は期待以上の大切な言葉を授けてくれました。
(くわしくは「医療を担うこどもたち」を参照してください)

今年は5月に訪問させていただいた三重大学医学部附属病院の医療福祉支援センターの
内田先生に基調講演をお願いしています。
三重大学医学部附属病院は、ポルトガル語、スペイン語の医療通訳を
医療福祉支援センター内に配置されています。
その通訳さんにお会いして、まさに医療通訳のお手本だと思いました。
そんなシステムを構築された先生からいろんなお話を伺いたいと思っています。

今回のテーマはずばり
「チーム医療の中の通訳者〜私達はこんな医療通訳者と働きたい」です。

4年前、りんくう総合医療センターのフォーラムで
伊藤先生(当時)が発言された「医療通訳者はチームの一員」という発言に
とても感激し、ずっと医療通訳者は医療者に認めてもらえる存在であれと思ってきました。
ですので今回は医療者が「一緒に働きたいと思える医療通訳者像」を考えていきます。
シンポジストの方々も皆さん経験豊富な方ばかりです。
あえて、通訳者をいれていないのは医療職の立場から
通訳者に遠慮せずに好きなことを語ってもらおうという趣旨からです。

あと2ヶ月ほどですが、どうぞご期待下さい!

医療通訳研究会(MEDINT)2013シンポジウム
「チーム医療の中の通訳者〜私達はこんな医療通訳者と働きたい」

2013年12月22日(日)13時30分~16時30分(開場 13時)
場所:大阪大学中之島センター 

基調講演 三重大学医学部附属病院 小児外科・医療福祉支援センター 内田恵一氏

シンポジスト  
井田健氏(公立甲賀病院 医師)
福島ひとみ氏(泉州広域周産期医療センター 看護師)
岩田美加氏(大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター 手話通訳・外国語通訳コーディネーター)


ファシリテーター  新垣智子氏(りんくう総合医療センター 看護師)

定員:100名(要申込 メールかFAXでお願いします)
資料代:1000円(MEDINT会員無料)

お申し込み・お問い合わせ:
medint2005@yahoo.co.jp

主催:医療通訳研究会(MEDINT)
後援:医療通訳士協議会(JAMI)
 大阪大学国際医療センター 

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【書籍紹介】医療通訳士という仕事

2013-10-21 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
急に寒くなったり、暑くなったり
台風がきたり、大雨が降ったりと
せっかくの秋なのに行楽を楽しむ気分にはなかなかなりませんね。

今、MEDINTでは12月のシンポジウムに向けての調整で忙しくしています。
毎年、医療通訳に関わるテーマで2~3年先くらいに話題になるであろう
内容について取り上げていこうという趣旨でやっていますが、
今年は「チーム医療の中の通訳」をテーマに
医師、看護師、コーディネーターの方々に
理想の医療通訳者像を語っていただきます。
詳しくは来週のブログでお知らせしますね。お楽しみに!

今日は書籍出版のお知らせです。

医療通訳士協議会(JAMI)会長の中村安秀先生と
りんくう総合医療センターの南谷かおり先生が編集された
「医療通訳士という仕事」が大阪大学出版会から出版されました。

購入は こちら

第一部 医療通訳士とは何か
1章 医療通訳士の必要性と重要性 -外国人に対する保健医療の現状と課題―
2章 医療通訳士に求められる共通基準 
3章 医療通訳士倫理規定を読み解く
4章 医療通訳士の教育研究システム

第二部 医療通訳士の役割
5章 病院における医療通訳士の役割
6章 コミュニティ活動における医療通訳士の役割
7章 メディカルツーリズム(医療観光、国際医療交流)の将来性と医療通訳士の必要性
8章 外国人患者からみた医療通訳士の役割
9章 米国における医療通訳士の発展の軌跡から学ぶ

第三部 医療通訳士活動の実際
10章 自治体における医療通訳士教育について
11章 「医療通訳」を創る -医療通訳制度、人材育成、社会環境づくり-
12章 外国人集住地区における医療通訳派遣システム -東海地方-
13章 ITを利用した医療通訳システム
14章 コミュニティビジネスとしての医療通訳
15章 視覚障害者の医療シーンにおける情報保障の課題

医療通訳士協議会(JAMI)のメンバーで執筆分担し、
私、MEDINTも第6章を担当しています。
倫理から手話まで、現時点での医療通訳に関する現状を網羅しています。
よろしければ一度お手にとっていただければと思います。
(MEDINT会員の方には別途お知らせします)
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BYO通訳の問題点(2)

2013-10-14 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
連休は大量の無花果ジャムを炊きました。

私の住んでいるところは神戸とは名ばかりの田舎です。
夏から秋にかけて、新鮮なぶどう~無花果~柿が
JA(農協)の市場に溢れています。
野菜と果物はスーパーでなく普通に農協で買います。

無花果はそろそろ収穫も終わりに近づいてきたので、
ジャム用が平箱に入って1000円くらいで売られています。
ジャムを炊く季節がちょうど今頃なのです。

今週は先週の続き、
BYO通訳の問題点です。
具体的にどんな事例があるか考えてみましょう。

1)子供が通訳をする
子供の語彙は大人とは違います。
病気や身体の部位、症状などを説明するのは
どちらの言葉でも難しいと思います。
たとえば「子宮がん」と「子宮筋腫」の違いを訳すのは
子供でなくても難しいと考えます。
また、友達との約束を守れなかったり
学校を休んで病院に行かなければならいない場合は
子供の権利の問題にもなります。
また言葉で告知するときは、少なからず子どもの心に負担をかけます。
詳しくはMEDINT2012シンポジウム「医療通訳を担うこどもたち」をご覧下さい。

2)家族が通訳をする
家族は患者と一緒に悲嘆にくれたり、
これからのことを考えたりする必要があります。
通訳として関わると、動揺してうまく訳せなかったり、
患者と一緒に考える余裕がなくなってしまいます。
患者家族はできれば患者家族として一緒に話が聞ける方が良いと思います。

3)会社の通訳者が通訳する
会社の通訳者が通訳をすると守秘義務が守れないことがあります。
会社に雇われているので報告義務があるのですが、
通訳者が病名をいってしまったことで次の日には解雇になったという話も聞きました。

4)友人が通訳をする
信頼できる友人であれば問題ありませんが、
口の軽い人が通訳するとあっという間にコミュニティの中に広まってしまいます。
また、バイリンガルと通訳は違うので、通訳レベルが様々でチェックが必要です。

BYO通訳を使うことは医療者にとっても不安要素が大きいと思います。

ただ、医療通訳が制度化されていないので、
現在も多くのケースでBYO通訳を使っています。
使うときは医療者の方も気をつけて使ってもらえればと思います。
コメント (2)

BYO通訳の問題点(1)

2013-10-07 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
病院では、患者や家族が連れてくる医療通訳が
使われることが少なくありません。
というより、特定の病院以外はほとんどが
このパターンかもしれませんね。

英語の場合は直接医療者が対応することもありますし、
また患者の数が多い場合は医療通訳を雇用している病院や施設もありますが、
患者側が通訳者を用意するのが普通だと思っている医療機関もまだまだ多いのが現状です。

患者側の連れてくる通訳者のことを
「にわか通訳」(*1)という表現で表すこともありますが、
私は「BYO通訳」という表現が気に入っています。
これはオーストラリアで医療通訳ユーザー向けに作った教材の中で
外国人が連れてきた通訳者、
つまり「ユーザー側の管理できる通訳者でないとき」の注意点という部分で使われている言葉です。

オーストラリアに旅行したことがある方ならわかると思いますが、
BYOとは「Bring Your Own」=「持ち込み」という意味で、
レストランなどにお気に入りのワインなどを持ち込む時に
それを了解しているレストランのことをBYOがOKのレストランというふうに呼びます。
私は大好きなサービスなのですが、
これと同じように、例えば病院で治療などを受けるときに
患者が自分のお気に入りもしくは信頼できる通訳者を「持ち込む」ことを
とりあえずこのように呼んでみたいと思います。

BYO通訳には
たとえば「こども」「会社の通訳者」「生活支援者」「コミュニティの通訳者(有料)」などがありますが、
共通しているのはユーザー側が質の保障をできないことであり、
それぞれに使う際に問題があることです。

来週はBYO通訳を使うに当たってのそれぞれの注意点について書いてみたいと思います。

PS:BYO通訳というのは勝手に私が言っている言葉なので
日本の中で定着しているフレーズではありませんので、今後議論が必要です。

*1 たとえば静岡県立大学の濱井研究室の方々が使っています
http://plaza.umin.ac.jp/thamai/summary/
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