MEDINT(医療通訳研究会)便り

医療通訳の制度化を目指す医療通訳研究会(MEDINT)のコラム
~みんなで 医療通訳者を増やし、守り、育てよう!~

暖かくなってきましたね

2014-03-31 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
3月も終わり、やっと重いコートを脱いで歩ける季節になりました。

もう22年も同じ場所で同じ相談員の仕事をしているので、
4月といっても異動もないし、
周りだけが毎年クルクルと変わっていく感じです。
年をとると、その1年のすぎる速度も速くなります。

4月に特別な思い入れはないのですが、
それでも日に日に日差しが強くなっていくので、
4月には新しいエネルギーを感じます。

MEDINTは2002年10月に発足して、
はや12年です。
その前のAMDAひょうご(現AMDA兵庫県支部)の時から数えると
医療者でもないのに個人的には15年くらい医療通訳とかかわってきています。

私は健康に不安があるので、
MEDINTの責任をとれるのは10年くらいだと思って活動をはじめました。
だから大きな活動や事務所を持つことはせずに、
責任の取れる範囲での活動を心がけてきました。
会員も1年で更新してもらうようにしています。

予定していた10年が過ぎて、
もう少し頑張れるかな~と思って社会福祉士の資格をとって、
医療通訳者というよりは、自分自身が外国人医療に寄り添える人材になりたいと願うとともに、
医療通訳者の輪を広げるための活動にシフトしつつあります。

医療通訳の制度化については、
いろんな方々が声を上げてくださったり、
システムを作ってくださり、以前に比べて随分広がってきた気がします。
このへんで、もう少し足元をしっかり見て、
MEDINTの原点である医療通訳者と医療従事者のネットワークに力を入れていきたいと思います。

助成金も減って、今までの事業の蓄えも多分今年で終わります。
今年はきちんと方向転換していかなければいけない年だと思っています。
1年くらいかけて、これからのMEDINTのしくみを考える装置を作っていきますので、
半分位、期待して見ていてくださいね。
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あーすぷらざへ行ってきました

2014-03-24 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
あーすぷらざ(神奈川県立地球市民かながわプラザ)に行ってきました。

昨年の「多文化共生マネージャー養成講座」でご一緒した方が、
相談窓口があるので一度見に来ていいよと言ってくださったので
お言葉に甘えて、めったにない東京方面出張に合わせて訪問してきました。

兵庫から神奈川に行ったペルー人が「住みやすいよ」と言い、
神奈川から来たペルー人が「神奈川ではこんなサービスがあってねえ」と言い、
じゃ、神奈川に住めばと言いたくなるくらい、よいところらしい神奈川県。

以前から、どんな人たちが支援をしているのかなと気になっていました。

 もちろん、神奈川県にはMICかながわやカラカサン、カラバオの会など
ずっと活動されている民間団体もたくさんあります。

 あーすぷらざは1998年に国際理解や国際平和、地球規模の課題について、
日々の生活の中で考え、 自分にできる身近なことから行動していくための総合施設として設立されました。
外国人相談関連は一般相談(及び法律相談)と教育相談があります。
大きな施設の特徴を活かして、 情報ライブラリーがとても充実しており、
特に教育相談は豊富なライブラリー資料が連携活用されていて、
外国人自身にも支援者にも様々な情報入手が可能な形で運営されています。
 外国人相談も川崎、厚木などでも開催していて、
利便性を工夫されています。

どんなふうに運営すれば、より相談者に身近な窓口になるか 相談員の方々と意見交換しました。

相談窓口はほうっておくと井の中の蛙になります。
「私たちはこれくらい頑張って支援している!」はよいのですが、
より解決に近づける窓口がどこにあり、自分より知識のある人がどこにいるのか、
誰と連携していくのが一番相談者にとっていいのかというクールな目が必要なのです。
外国人支援相談は思いだけでなく、いかに解決に近づけるかのテクニックも大切。
 相談員の情熱は頭は冷静に、ハートは熱くが基本だと痛感しました。
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イサベルさんのインタビュー

2014-03-17 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
International Medical Interpreters Association(IMIA)のイサベルさんが先週の大阪大学の
シンポジウムでの講演のため来日されていました。

日本の医療通訳者にインタビューしたいという依頼を受けて、
シンポジウム終了後、ほかのスペイン語通訳者と一緒にインタビューを受けました。

日本でも医療通訳を研究してくださる方は増えてきていて、
いろいろお話させてもらうことは多く、少しは慣れているのですが、
やはり現役医療通訳者の質問は核心をついているというか
すごく答えにくい、でもとても重要な問いかけがあり新鮮でした。

「介入」ケースやそれに伴う心理的な負担については、
実際に医療通訳をやっていなければ、予測しづらい場面です。

医療通訳は「通訳」であるので、
ただ言葉を訳しているだけで、診断をするわけでも治療をするわけでもありません。
だから、気持ちは楽でしょうと思われることが少なくありません。
でも、実際の医療通訳はただ訳すだけでは仕事になっていないのです。

ある外国人に、「きちんとした通訳者に訳してもらったけど、
理解できないからもう一度訳して」と言われました。
「通訳する」ことと、「伝える」ことは違います。
きちんと患者に理解してもらってはじめて「伝える」という作業が完了します。

医療通訳の場合は、この「伝える」ことがとても重要なのです。
だから、専門用語を封印して、わざとわかりやすい単語を並べることもあるし、
言葉と違う表情で複雑さを表現することもある。
お互いのコミュニケーションが平行線になっている場合は
その原因がどこにあるかを考えながら通訳する。

例えば・・・
そもそも「選定療養費」のしくみをしらない人に
知っている人が当たり前のように話しても全然イメージがわかないので、
その「そもそも」の部分の説明から入らないと「伝わらない」のです。

「うちの選定療養費は3150円ですよ。」と言われても・・・。

「介入」のイメージについて、私は「怖い」と答えました。
どんな時でも、専門外の介入には緊張と不安がつきものです。
医師や看護職といった人達と信頼関係があって、
言い直し、聴き直し、議論ができる環境がなければ
この介入時の恐怖は払拭されないと思っています。

通訳内容が難しくなってくるほどに
医療通訳はチーム医療の中に位置づけられなければいけないという思いは
どんどん強くなっていきます。

昨年12月のプロシーディングの校正も進んでいます。
4月には皆さんにお届けできると思います。
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広島に行ってきました

2014-03-10 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
土曜日、自治体国際化協会の地域国際化アドバイザーの仕事で
(公財)広島平和文化センターが開催した「通訳ボランティア研修会」に行ってきました。

コミュニティ通訳の専門職化を訴える一方で、
現実問題、この分野を支えてくれている人たちは
多くが通訳ボランティアの人たちであるという矛盾。

でも、この人たちの頑張りや志を別物にするのではなく、
制度化の際にきちんと活かせるように考えなければと
痛感しながら研修を行いました。

お天気の良い土曜日、
忙しい合間をぬって、研修に参加される方々には
本当にいつも頭が下がります。

コミュニティ通訳の現状を話すにつれて、
「そんな難しいこと、自分には無理」という声も出てきます。
コミュニティ通訳は人の権利を左右する大切な通訳です。
簡単なものではありません。
楽しいものでもありません。
ただし、必要なものなので、
自分のできる範囲+研修などを受けることによってスキルアップし、
現場経験を積むことで育っていくものだと思っています。

だから、最初から「簡単、誰でもどうぞ」とは口が裂けても私は言いません。

10日(月)大阪大学のGOGLOBAL2「国際医療教育を、考える」
シンポジウムに行ってきました。
平日の午後にもかかわらず、会場のグランフロントナレッジシアターはたくさんの人でした。
大阪大学が採択された未来医療研究人材養成拠点形成事業
概要についての議論だったのですが、
医学、公共政策、外国語といった総合大学の利点を活かした事業とのことです。
その構想の中に医療通訳者の養成も入っているので、
高等教育機関での医療通訳者養成に期待がかかります。


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みんなちがってみんないい

2014-03-03 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
私の暮らす神戸にも春がやってきました。

神戸の西側の地域では、
毎年春になると「シンコ」を甘辛く炊いた「イカナゴのくぎ煮」が出回ります。
今年の解禁日は28日だったので、
週末あたり、くぎ煮のいい匂いがスーパーや食材店に漂いました。

神戸のおばちゃんは皆自分の味を持っていて、
ショウガ多めとか甘めとか家庭の味があり、好みがあります。
私はいろんなところからいただくので自分で炊くことはありませんが、
「イカナゴのくぎ煮」を見ると春が来たなあと思うのです。

春といえば、
医療通訳もずいぶん進んできたのかなと思います。

厚生労働省の平成25 年度補正予算案で、
外国人患者受入れ医療環境の整備推進が掲げられて
「医療機関における外国人患者受入れ環境整備事業実施団体の公募」も決まりました。

平成26年度予算では
「医療関連産業の活性化」のなかで医療の国際展開の推進を掲げ
「外国人が安心・安全に日本の医療サービスを受けられるよう、医療通訳等
が配置されたモデル拠点の整備に向け、通訳育成カリキュラム作成や外国
人患者向け説明資料の標準化などを図る」としています。

でも、私はなんとなく遠いところで起こっている出来事と感じています。

現場では相変わらず医療現場での通訳の必要な場面は増えていると感じます。
私の通訳の仕事でも年々医療関連の通訳事案の割合が増えてきており、
DVや交通事故、高齢、障害といった様々な困難事例に医療通訳が重なります。

どんな医療通訳を理想とするかと言われれば、
「いろんな通訳者が共存する制度」と答えたいと思います。

同じ国の通訳者がいい場合も、
日本人通訳者がいい場合も、
厳しい通訳者がいい場合も、
優しい通訳者がいい場合もあります。

お金に困っているからその相談通訳をお願いしたい場合も、
自分の話をゆっくり聞いてくれる通訳がいい場合もあります。

それは通訳の本来業務ではないのだけれど
治療にいい効果をあたえることがあるのは現場を知っている人なら体感しているはず。

「医療通訳者像」を決めてしまうのではなく、
ボランティアからプロまで様々な人たちが関わってくれるのが理想です。
医療現場や患者が通訳者を選べるようになったら素敵です。

群雄割拠の医療通訳事業が
今まで頑張ってきた地域の善意の人々の気持ちを蔑ろにしないように。
オリンピックのあとは草木も生えないような状況にならないように。
医療通訳も「みんなちがって、みんないい(by金子みすず「わたしと小鳥とすずと」)」んだよと
大きな声で言い続けたいと思います。




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