「医療通訳は診察室の同席でなければいけない」という話はよく聞きます。
この話を聞いて、「恵まれてるな~」と思います。
私の住む地方都市では、
府県単位を少人数の医療通訳者がカバーしなければいけない現状ですので、
特別なケースを除きとても現場まで行くことはできません。
そこで、登場するのが電話通訳です。
最初に書いておきますが、
電話通訳には熟練とトレーニングが必要です。
最初から誰でもできるわけではありません。
それでも、対面通訳にないメリットがあるので、
今後、日本で医療通訳を制度化するにあたり、
この電話通訳や遠隔通訳の活用をはずすことができません。
今日は、この医療通訳を電話で行う際の
メリットとデメリットをまとめておきたいと思います。
メリット
1:通訳者の交通費がかからない。
通訳者を派遣する場合、その交通費がかかります。
電話通訳なら、現地に行くことがないので、交通費がかかりません。
2:待ち時間が発生しない
電話通訳の多くは病院に行ってから通訳依頼が発生します。
ですので待合室で待つことなく、診察室に入ってから、通訳を始めることができます。
また、だいたいの待ち時間を知ることができるため、その間に準備することが可能です。
3:件数をこなせる
私はスペイン語なので、1日平均5件程度ですが、
もっとメジャーな言語や人数の多い地域なら件数はもっと多いかもしれません。
4:秘密を守りやすいと感じる
あまり知られたくない病気や治療のケースでは
顔の見えない通訳との関係は、後腐れなくつかえるというメリットがあるように感じます。
5:感染症の場合
感染症患者の現場では、通訳者への感染の危険があります。
そのために電話通訳に切り替えます。
新型インフルエンザやSARSのときも電話通訳が活用されました。
6:外からでも問い合わせが可能
予約変更や薬の副作用が出た場合など、患者が外から病院に電話することもあります。
その際に、電話であればトリオフォンシステムを使って3者同時に話をすることができます。
デメリット
1:患者の顔が見えない
患者の顔、表情だけでなく、患部や薬やそういったものが見えません。
「ここ」といわれればそのまま訳しますが、
通訳者には「ここ」が「どこ」なのか見えないまま訳す必要があります。
具体的に言語で表現する医療従事者側のトレーニングが必須となります。
2:対話通訳でなく、ある程度まとめて通訳する
医療通訳の原則は対話を通訳するのですが、
電話の場合、携帯や固定電話であれば電話口がひとつのため、
医療者と患者の間で受話器が行き来することがあります。
そのため、ある程度まとめて通訳する必要があり、
話した内容を漏らさないように、
メモを確実に取るなどの通訳者のスキルが求められます。
ハンズフリー設定で、診察室すべての会話をきくことができる機器であれば
ノイズは増えますが受話器のやり取りはなくなります。
また、受話器のやりとりにおける医療者への感染の危険も減少できます。
3:ユーザートレーニングが必要
一般通訳の利用も慣れていない日本人が多い中、
電話での医療通訳の使い方に、医療者も患者、家族も慣れる必要があります。
また、当然のことですが、目配せやジェスチャーなどは見えません。
通訳者が場所の空気も読みにくいことも確かです。
ユーザーサイドは伝えたいことをすべて的確に「言葉」で伝える必要があります。
ちなみに、2002年のワールドカップのとき、
医療通訳ボランティアの携帯電話を登録して、
24時間対応しようという試みがありましたが、
私は登録しませんでした。
寝ているときや外出中にかかってきたとしても
ベストの状態で、また守秘義務が守れる場所で受けることはできません。
家族と過ごす時間や映画を見ている時間に電話がかかってきても
気持ちよく医療通訳に打ち込むことができないのであれば
受けるべきではないと思います。
医療通訳は片手間にできる通訳ではないことも理解すべきです。
センターのような場所を用意して、守秘義務が守れる環境を用意する必要があります。
先週の倫理の問題にも触れますが、
医療通訳者自身の通訳環境の管理は通訳者自身で行う必要があり
自信をもって通訳できないのであれば、受けないという責任感も必要です。
一人でも多くの患者に医療通訳を使えるように考えたとき、
同席でなければ通訳できないのであれば
救急の対応や遠隔地の少数言語などは対応できないことになります。
しかし、医療通訳を必要としている人は日本中にいます。
医療者、医療通訳者、患者それぞれが電話通訳に慣れることによって、
格段に通訳できる場面は増えるとおもいます。
この話を聞いて、「恵まれてるな~」と思います。
私の住む地方都市では、
府県単位を少人数の医療通訳者がカバーしなければいけない現状ですので、
特別なケースを除きとても現場まで行くことはできません。
そこで、登場するのが電話通訳です。
最初に書いておきますが、
電話通訳には熟練とトレーニングが必要です。
最初から誰でもできるわけではありません。
それでも、対面通訳にないメリットがあるので、
今後、日本で医療通訳を制度化するにあたり、
この電話通訳や遠隔通訳の活用をはずすことができません。
今日は、この医療通訳を電話で行う際の
メリットとデメリットをまとめておきたいと思います。
メリット
1:通訳者の交通費がかからない。
通訳者を派遣する場合、その交通費がかかります。
電話通訳なら、現地に行くことがないので、交通費がかかりません。
2:待ち時間が発生しない
電話通訳の多くは病院に行ってから通訳依頼が発生します。
ですので待合室で待つことなく、診察室に入ってから、通訳を始めることができます。
また、だいたいの待ち時間を知ることができるため、その間に準備することが可能です。
3:件数をこなせる
私はスペイン語なので、1日平均5件程度ですが、
もっとメジャーな言語や人数の多い地域なら件数はもっと多いかもしれません。
4:秘密を守りやすいと感じる
あまり知られたくない病気や治療のケースでは
顔の見えない通訳との関係は、後腐れなくつかえるというメリットがあるように感じます。
5:感染症の場合
感染症患者の現場では、通訳者への感染の危険があります。
そのために電話通訳に切り替えます。
新型インフルエンザやSARSのときも電話通訳が活用されました。
6:外からでも問い合わせが可能
予約変更や薬の副作用が出た場合など、患者が外から病院に電話することもあります。
その際に、電話であればトリオフォンシステムを使って3者同時に話をすることができます。
デメリット
1:患者の顔が見えない
患者の顔、表情だけでなく、患部や薬やそういったものが見えません。
「ここ」といわれればそのまま訳しますが、
通訳者には「ここ」が「どこ」なのか見えないまま訳す必要があります。
具体的に言語で表現する医療従事者側のトレーニングが必須となります。
2:対話通訳でなく、ある程度まとめて通訳する
医療通訳の原則は対話を通訳するのですが、
電話の場合、携帯や固定電話であれば電話口がひとつのため、
医療者と患者の間で受話器が行き来することがあります。
そのため、ある程度まとめて通訳する必要があり、
話した内容を漏らさないように、
メモを確実に取るなどの通訳者のスキルが求められます。
ハンズフリー設定で、診察室すべての会話をきくことができる機器であれば
ノイズは増えますが受話器のやり取りはなくなります。
また、受話器のやりとりにおける医療者への感染の危険も減少できます。
3:ユーザートレーニングが必要
一般通訳の利用も慣れていない日本人が多い中、
電話での医療通訳の使い方に、医療者も患者、家族も慣れる必要があります。
また、当然のことですが、目配せやジェスチャーなどは見えません。
通訳者が場所の空気も読みにくいことも確かです。
ユーザーサイドは伝えたいことをすべて的確に「言葉」で伝える必要があります。
ちなみに、2002年のワールドカップのとき、
医療通訳ボランティアの携帯電話を登録して、
24時間対応しようという試みがありましたが、
私は登録しませんでした。
寝ているときや外出中にかかってきたとしても
ベストの状態で、また守秘義務が守れる場所で受けることはできません。
家族と過ごす時間や映画を見ている時間に電話がかかってきても
気持ちよく医療通訳に打ち込むことができないのであれば
受けるべきではないと思います。
医療通訳は片手間にできる通訳ではないことも理解すべきです。
センターのような場所を用意して、守秘義務が守れる環境を用意する必要があります。
先週の倫理の問題にも触れますが、
医療通訳者自身の通訳環境の管理は通訳者自身で行う必要があり
自信をもって通訳できないのであれば、受けないという責任感も必要です。
一人でも多くの患者に医療通訳を使えるように考えたとき、
同席でなければ通訳できないのであれば
救急の対応や遠隔地の少数言語などは対応できないことになります。
しかし、医療通訳を必要としている人は日本中にいます。
医療者、医療通訳者、患者それぞれが電話通訳に慣れることによって、
格段に通訳できる場面は増えるとおもいます。