MEDINT(医療通訳研究会)便り+

医療通訳だけでなく、広く在住外国人のコミュニケーション支援について考えていきます。

上がる下がる 増える減る 数字のトリック

2020-01-06 20:06:22 | 通訳者のつぶやき
12月21日に愛知県立大学で開催された「AI時代と多文化共生」にご参加下さった皆様、寒い中ありがとうございました。
全くアウエイの中で、MEDINT会員の方々のお顔が見えただけで緊張がほぐれました。
感想については、(一社)全国医療通訳者協会のブログに書きましたので
よかったらご覧下さい。

さて、

数字を訳していると
数字のもつ「イメージ」が相手に勝手な解釈を与えることがあります。

日本語能力試験の一番難しいレベルは「N1」です。
では、こうした能力を測るものは、すべて小さい数字のほうがいいかというと
「お母さん、僕の成績表は1が多いから日本では優秀なんだよ」と親を騙す子供もでてくるでしょう。

同じ中国語の試験でも、
中検(中国語検定)は1級が一番難しく
HSKは6級が一番難しい。

同じ将棋のレベルでも、
級は数字が小さいほど格が上で、段は数字が大きいほど格が上になります。

数字が大きいからよいのか、小さいからよいのかは異なります。

先日、健康診断の通訳をしていたときに
〇〇の数値が下がっていると伝えたところ
家族の方から「よかった」という安堵の声が聞こえてきました。
でも、この場合、数値が下がるということは
機能が低下しているという事に他なりません。

コレステロールとか尿酸値とか血糖値とか
体重や血圧も下がる方がいいな~というイメージがあります。
でも、数値の増減だけを見るのではなく
標準値と読み方を一緒に伝えなければ
数字の勝手なイメージにとらわれてしまうことがあります。
通訳者は数字に勝手な感情をこめてはいけないなあと痛感する今日この頃です。

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最後に、今週末のシンポジウムのお知らせです。

1月12日(日)にMEDINTのシンポジウムを開催します。
テーマは「就学前の子供たちの言語発達を考える~言語聴覚士の立場から」です。
詳細は こちら


今、私が一番知りたい子供の「言葉」の問題について
言語聴覚士という専門職の方から知見を学びたいと思っています。
実は、3人のシンポジスト・ファシリテーターの方々とは、別々に出会いました。
でも、私の中でぴたっと3人の方々のお話が繋がる予感がしました。
まだまだ定員には達していませんので、どうぞお越し下さい。

医療通訳者だけでなく、
手話通訳者、言語聴覚士、
日本語教師、学習支援の皆さんも
一緒に議論しましょう。