MEDINT(医療通訳研究会)便り

医療通訳の制度化を目指す医療通訳研究会(MEDINT)のコラム
~みんなで 医療通訳者を増やし、守り、育てよう!~

答えて

2008-05-14 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
先週の記事を受けて、ある読者の方がコメントを寄せてくれました。
ご本人の了解を得て、一部転載させていただきますね。

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日本での定住外国人が増えるということは、治療が困難なケースも日本人患者同様に出てくると思います。ここに通訳者が患者にとって大きな精神的支えになると思います。癌は今だ治療は難しいものの、新しい治療が開発され不治の病ではなくなってきています。しかし、闘病には患者本人の精神的なパワーとその患者のサポート(精神的・社会的・身体的)が必要不可欠であり、ここには患者を取り巻く環境(治療環境や家族環境なども)が一丸となって取り組むことが患者の闘病を助けると思います。 この患者サポートの部分で、医療者ももちろんかかわるのですが、ハンディがある外国人患者にとって、医療通訳者の役割は精神的サポートの一旦を担って行くことになると思います。患者にとって、通訳者は「通訳マシーン」ではなく、「人」としてみています。人として接するのは当然のことだと思っています。もちろん聞く姿勢や、患者に寄り添うというのは人として当然のことだと思います。
(Aさん)
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医療通訳のとても難しいと感じるところは、通訳だけでいいのかという問題を常に伴うところです。机上で考えるならば、医師の言うことを通訳するだけの「通訳マシーン」の開発でいいと思うのですが、この方がおっしゃるように患者は通訳者を「人」として見ていること、そして同時に期待していることに大きなずれがあります。
先週のローチェさんの講義の中にその答えはありました。医療通訳の制度化を考える中で、この問題を外して考えることはできません。また、人に寄り添い支援する通訳だからこそ医療通訳をやるという心構えの人にぜひ医療通訳者を目指してほしいと思っています。
コメント

日本で治療を受けたい

2008-05-07 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
癌の告知の通訳はつらい仕事のひとつです。

癌が見つかった後、外国人の場合「どこで治療しますか?」「家族と良く話し合って決めてください」と医師に言われます。
化学療法や放射線療法など様々な治療法には患者の理解と意志に基づく選択が必要です。
コミュニケーションが十分取れない日本での治療は、医療通訳者を確保できない限り、かなり難しいものです。
ただ、日本のように保険制度がある国ばかりではないですし、がん治療に対しての技術も日本より進んでいるとは限りません。

10年以上前ですが、ある患者さんが、本国の医師の言葉に従って、家族を置いて単身治療のために帰国したことがありました。
ご主人は家族を支えるために日本で仕事を続けなければ行けないし、子供は日本の学校があります。母親一人の帰国でした。
ある日、突然彼女はひとりで成田に戻ってきました。腹水がたまった状態で、よく飛行機に乗せてくれたなあという感じだったのですが、そのまま空港から救急車に乗って病院に運ばれてから、家族のいる家に戻りました。
命がけの旅行だったと思います。
ただ、それからの彼女は、家族と共にとても穏やかな日々を送りました。
時々かかってくる電話の声で、とても体調のいいときは病気を克服したのではないかと思うくらい元気な声を聞かせてくれました。
でも、結局は日本でなくなりました。
彼女にとっては、家族と共に暮らすことが、もしかしたら薬より効いたのかも知れないと思うこともありました。

告知を受けて、帰国か日本での治療かを迷う外国人は、10年以上たった今でも少なくありません。
できれば、今までずっとかけ続けてきた保険をつかって、家族の下で、日本の進んだ治療を受けられればと願う人は少なくないと思います。
「コミュニケーション」がその願いを阻むならば、それを少しでも取り除くこと。それが医療通訳の仕事です。

立て続けに癌患者さんの通訳をして、私は医療従事者ではないので、通訳しながら、どうやったらよりサポートできるのか・・悩み続けています。




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