先日、医療通訳研究会(MEDINT)で通訳技法の講義がありました。通訳の技術的な力を向上させる努力は常に必要ですし、独学であっても日々研鑽を積む必要があります。水野先生には、常に「通訳脳」を持って日常生活を送る方法を伝授していただきました。
ただ、医療通訳者は「通訳技術」だけではないと常日頃から思っています。それが何なのか、漠然としすぎていて皆さんに説明しづらいのが歯がゆいのですが、あえて言うなら、「医療通訳の使命感」と「通訳者の気働き」だと思います。
「医療通訳の使命感」については、人の命を左右する大切な通訳であることを認識すると同時に、日本社会にはまだ根付いてはいないけれども、これから絶対必要な仕事だと自負することです。
もうひとつの「通訳者の気働き」については少し説明が必要ですね。医療通訳者の仕事は、もちろん「通訳」ですが、同時に患者に寄り添い、その治療に貢献するように振舞うことだと思っています。通訳者の質によって「病室の空気」がよくなったり、悪くなったりすることもあるからです。もちろん、治療をするのは医療者です。通訳者が、治療に口を挟んだり、参加したりするのは倫理違反です。そうではなくて、そばに寄り添うことや、患者の不安に耳を傾けること、医師や医療従事者の方々とのコミュニケーションを円滑にする「空気」を作り出すことなど、間接的な医療への参加なのです。患者は文化や制度、言葉の違う日本での治療に不安を持っています。その不安は家族だけでは取り除けないこともあるし、間接的なサポートが必要となることもあります。決しておせっかいではなく、クライアントを思いやる気持ちが大切なのではないでしょうか。
一般の通訳業務の中には、こうした気働きが必要のないもの、逆に気働きをしてはいけないものが多くあります。通訳をするときに、それらと分けて考えないと、医療通訳者に求められる資質が混乱してしまうのではないかと少し心配しています。
PS:先週末2日間にわたって日本渡航医学会が東京の慈恵医科大で開催されました。日本からでていくアウトバウンドの人々と日本にやってくるインバウンドの人々の医療と健康についての様々な研究について発表がありました。来週は、この学会についての報告をします。暑い折、皆様お体ご自愛くださいね。
ただ、医療通訳者は「通訳技術」だけではないと常日頃から思っています。それが何なのか、漠然としすぎていて皆さんに説明しづらいのが歯がゆいのですが、あえて言うなら、「医療通訳の使命感」と「通訳者の気働き」だと思います。
「医療通訳の使命感」については、人の命を左右する大切な通訳であることを認識すると同時に、日本社会にはまだ根付いてはいないけれども、これから絶対必要な仕事だと自負することです。
もうひとつの「通訳者の気働き」については少し説明が必要ですね。医療通訳者の仕事は、もちろん「通訳」ですが、同時に患者に寄り添い、その治療に貢献するように振舞うことだと思っています。通訳者の質によって「病室の空気」がよくなったり、悪くなったりすることもあるからです。もちろん、治療をするのは医療者です。通訳者が、治療に口を挟んだり、参加したりするのは倫理違反です。そうではなくて、そばに寄り添うことや、患者の不安に耳を傾けること、医師や医療従事者の方々とのコミュニケーションを円滑にする「空気」を作り出すことなど、間接的な医療への参加なのです。患者は文化や制度、言葉の違う日本での治療に不安を持っています。その不安は家族だけでは取り除けないこともあるし、間接的なサポートが必要となることもあります。決しておせっかいではなく、クライアントを思いやる気持ちが大切なのではないでしょうか。
一般の通訳業務の中には、こうした気働きが必要のないもの、逆に気働きをしてはいけないものが多くあります。通訳をするときに、それらと分けて考えないと、医療通訳者に求められる資質が混乱してしまうのではないかと少し心配しています。
PS:先週末2日間にわたって日本渡航医学会が東京の慈恵医科大で開催されました。日本からでていくアウトバウンドの人々と日本にやってくるインバウンドの人々の医療と健康についての様々な研究について発表がありました。来週は、この学会についての報告をします。暑い折、皆様お体ご自愛くださいね。