MEDINT(医療通訳研究会)便り+

医療通訳だけでなく、広く在住外国人のコミュニケーション支援について考えていきます。

「支援・サポート」と「通訳」の違い

2007-04-25 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
医療通訳の話の中に、「外国人医療支援・サポーター」と「医療通訳」というふたつの言葉がでてきます。この言い方が正式かどうかはわかりませんが、この「違い」は実際にやっている方以外にはなかなか理解しづらいのではないかと思います。
ですので、今日はこの「支援・サポート」と「通訳」の違いについて述べたいと思います。
これは私の意見として聞いていただきたいのですが、「外国人支援・サポート」している時と「通訳」しているときでは、頭の使い方及び使っている場所が違います。メモの取り方も違います。
実は、「支援・サポート」の時は、頭の中で必ずしも日本語に訳していません。スペイン語のまま話を聞いて理解しています。ですので、頭の中では日本語へ翻訳していない状態にあります。頭の中のメモも手元のメモもスペイン語のままです。考えるときも日本語を通り越してスペイン語で考えるようにしています。
なので突然「今、日本語でなんていったの?」と聞かれると混乱してしまいます。両方を使い分けることの出来る器用な通訳者もいるかもしれませんが、たいていの場合、話を聞き理解することに集中するか、翻訳することに集中するかのどちらかだと思うのです。
逆に通訳に集中している時は、私の考えや感想などは頭の中から一切排除しますから、言われたことをそのままメモをとり、一字一句間違えないように通訳します。頭の中にはなにも残しません。その場を去ればすっきりと忘れてしまいます。だから、逆にこういう場面で「あなたの考えはどうなの?」とか聞かれても困ってしまいます。
依頼者の中には、そのふたつを同時にやれという無茶な人がいますが、それはとても難しいということをご理解いただきたいと思います。
ただ、現実の支援現場では、同時にこなさなければいけない場面はたくさん出てきますが、私達はできるだけ選別していきたいと思っています。
通訳を依頼する場合は、通訳者にどのような形での関与を求めるのか(「支援・サポート」は本来の通訳者の業務ではありませんが)は大切なことです。それによって、使い方が変わってくるからです。だからこそ、通訳を使う人、つまりユーザーのトレーニングが必要なのです。

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ごめんなさい 通訳できません

2007-04-18 15:32:55 | 通訳者のつぶやき
シンポジウムの話題を続けます。
伊藤さんの基調講演の中で、私が一番印象深く聞いたのは、はじめて手話通訳をした時に、先輩から言われたという一言でした。
「長く続けるためには、行政の派遣要請を受けて行くこと。個人で行くと責任は個人でとらなければならない。何か起こった時に、行政からの派遣であれば責任は行政にあるから。」
まだテープおこしをしていないので、正確ではないかもしれないですが、「何か起こった時に」というのは、まさに私達医療通訳者がいつも心配していることです。
先日、神戸で医師が患者に刺されるという事件がおこりました。診療をめぐるトラブルとの報道でしたが、私達も通訳をしていて、ひやっとすることや怖いなと思うことが時々あります。ましてや、医師や医療関係者の思いやりのない言葉を通訳するような事態には、私の口から出る言葉ではないのに、まるで通訳者の意思で話しているかのように理解されて、患者に逆恨みされたりすることがあります。
医師の言葉だけを誠実に訳すというのでは、医療通訳には足りないという所以がここにあったりします。(司法通訳者が100%正確に訳すなら、医療通訳者は120%を訳さなければならないというのが持論です)
通訳者が100%誠実に訳していても、相手の精神状態や解釈によって、誤解を招いたり、逆恨みをされたりするのは回避できるものではありません。
現在の医療通訳者の立たされている状況は、そうしたリスクを無償で抱えているという状況です。報酬や補償があってはじめてリスクに立ち向かうことができるのですが、そうした基礎すらできていません。
ある通訳者が、患者について病院にいくと、まるで病院の通訳のようにこき使われたと憤慨していました。個人で同行した場合、誰かに命令される存在でもなく、誰かに雇用されたり、派遣されたりするわけでもない。ならば医療通訳者は、どうやって自分自身を守っていけばいいのでしょうか。感染症や精神疾患などのリスクの高い通訳は「ごめんなさい」という以外ありません。
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シンポジウムのお礼

2007-04-11 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
4月8日(日)、医療通訳研究会(MEDINT)の5周年記念シンポジウムを開催しました。
主催者の私でさえ、あまりの天気のよさと満開の桜に、一駅手前の夙川で降りそうになったくらいです(笑)。花見日和、統一地方選の忙しい日に、ご参加くださった皆様本当にありがとうございました。
今回のテーマはずばり「医療現場の言葉をつなぐ~手話通訳と言語通訳の出会い」でした。医療通訳制度も何も明確になっていないこの時期に、なぜ「手話通訳」なのか、時期尚早なのではないかと思われた方のほうが多かったと思います。その戸惑いも充分に理解できます。ですので、こんなにたくさんの方が参加されるとは思っていませんでしたが、実際に参加された方々に聞くと、「音声言語通訳(というのだそうです)」を違う角度から知ることが出来て、非常に有意義なシンポジウムだったとお褒めの言葉をいただきました。これはひとえに、基調講演者、シンポジスト、コーディネーターの人選が良かったのですと言いたいですね。
私達は、医療通訳の制度化を目指しています。そのためには、派遣だけでなく、人材養成や政策提言まで、幅広く日本社会における医療通訳のあり方を考えていかなければいけません。ただ、日本には私達が参考にできる制度が非常に少なく、どんなところにもヒントが隠れていると思いながら、日々勉強しています。
そういう意味では、手話通訳の業界は、受益者(言語通訳の場合なら外国人、手話通訳の場合は聴覚障害者)の情報アクセスの権利を、多くのボランティアが支えているという構造が私達医療通訳者と同じなのです。
ただ、医療通訳と違って、手話通訳者の裾野を広げるための手話サークルや組織が全国にあることです。一年に2回、全国大会も開催されていますし、会員向けに学習誌も発行されています。
ただ、ちらっと話していた中で手話通訳の方が、「言語音声通訳のほうが、手話通訳より上という認識がある。なぜなら、言語通訳は通訳と呼ばれるけど、手話通訳は通訳でなく、手話さんとか手話の人とか呼ばれるんですよ(笑)」とおっしゃっていました。
私達から見ると、認定制度もあり、奉仕員の報酬も少額ではあるけれどきちんと規定されている手話通訳の業界は、ずっと私達より上だと思うのですが・・・(涙)
とにかく、おなじ言葉をつなぐお手伝いをする技術者として今後も情報交換していきたいと思います。
詳細は、また報告書などでお知らせできると思います。その時はHPなどで広報させてもらいますね。お楽しみに。

PS:写真をとってくださったmcinetのIさん、ありがとうございました!
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ヴィッセルボランティア

2007-04-04 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
神戸にはヴィッセル神戸というサッカーJ1チームがあります。
昨年、J2に落ちて、生中継はもちろんのこと、ニュースで試合結果さえ伝えられないという屈辱を味わい、幸いにも1年でJ1に復帰したときには本当にうれしかったです。
実は昨年、一昨年とヴィッセルボランティアとして会場運営のお手伝いをしていました。
通訳の世界とはまた違ったイベント運営のボランティアの世界を見てみたいという好奇心と地元ヴィッセルを応援したいという気持ちで参加したのですが、チケットチェックや会場案内、会場整備などの手伝いは、新しい発見だらけでとても楽しかったです。
おもわぬ試合の裏側やスタッフの素顔なんかも見ることが出来て、それだけでもやってよかったと思っています。
ところで、ボランティアに参加していた人には大きく分けて二通りの人がいたように思いました。
サッカーファンで、ヴィッセルを応援したいのでボランティアに応募した人。この人たちは、ボランティアをやっていない日はサポーターとしてスタジアムに応援にきていました。
もうひとつは、サッカーはよくわからないけれど、ボランティアを楽しんでいる人。高齢者の方が多く、もちろんヴィッセルファンではあるけれど、どちらかというとボランティア活動自体を楽しんでいるような方々です。
この様々な目的で集まっているボランティアを、登録し人数調整し、お弁当やチケットやユニフォームの手配をする担当の方は、本当に大変そうでした。社会的使命とかではなく、楽しいからやるボランティアは、気分が変わるとやめてしまいます。そうするとまた、新しい人を募集して一から説明会をやって・・・・。それなら、慣れたアルバイトを雇ったほうが効率的なんじゃないかなと思うこともしばしばあります。
でも、こうしたヴィッセルボランティアを運営し続けるのには、たぶん地元のファンを育成するという目的もあるのではないかと感じました。私自身もボランティアをやったことで、チームをより身近に感じるようになりました。
今年は少しお休みさせてもらうのですが、スタジアムでまたテレビで、応援を続けたいと思っています。

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