MEDINT(医療通訳研究会)便り+

医療通訳だけでなく、広く在住外国人のコミュニケーション支援について考えていきます。

少しだけ日本語のできる人

2006-06-21 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
全く日本語のできない患者さんよりも、日本語が少しできる患者さんにトラブルが多いことは、意外と知られていないかもしれません。
全く日本語のできない人には通訳が必要だということは、誰の眼にも明らかです。その場合、医療関係者で言葉のできる人を探してきたり、両者ともに英語ができれば共通語の英語を使うという努力をしようとします。言葉が通じにくいと、患者が外国人であることが常に頭の隅にあるので、わかりやすい説明をこころがけます。日本の習慣や制度がわかりにくいだろうという配慮も自然とするようになるから不思議です。
でも、少し日本語がわかる(日常会話ができる)となると、日本人は容赦なく日本語を使います。「あー、日本語わかりますね。よかった。」の安堵とともに、とたんに医療用語に方言や専門用語が入ります。私達日本語ネイティブでもきついのに、速い速度での言葉がシャワーのように降ってきます。
それでも、「先生、わかりません」といえる人はいいのです。問題は、わかりませんと言えない人たちです。とても遠慮がちな人や内向的な人で先生にわからないといえない人は、笑顔でうなづいていることがあります。わかったと思って、話は進んでいきますが、本人は実は理解できていません。でも、「わかりましたか」「はい」といわれると、そこで説明責任は終わっています。わからないけれど、「わかりました」と答えてしまった患者の責任です。そういう人が、後から病院に電話をかけて自分の病気の内容を聞いてほしいということがあるのですが、病院の外にでてしまっていると、電話だけでは病状の説明はしてもらえません。個人情報保護法ができてからは、それが一層厳しくなりました。ご本人にはせめて病院内から電話をかけてもらえれば、看護師さんや担当のかたから様子が聞けるのですが、皆さん忙しくされているので、遠慮してしまうようです。結局、次に通訳に入ると「そんなことも理解できていなかったのか」と驚かれることもあります。幸い、大きなトラブルになったことは今までありませんが。
日常会話ができるということと、医療の現場の日本語がわかるということにはかなりのレベル差があります。日常会話がベラベラの人でも、この人どのへんまでわかっているかなと、少し気にしながら話してくださいませんか。
日常の日本語がうまい人ほど、実は心配なのです。
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病院のかかり方

2006-06-14 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
即入院というケースが続きました。
最初は近所のクリニックに行って、薬をもらって「様子を見ましょう」といわれ、様子を見ていてもよくならないので、別のクリニックに行って、やはり薬をもらって「様子を見ましょう」といわれました。それでも、よくならないので、また別の病院に行って、やはり薬をもらって「様子を見ましょう」といわれましたが、やはりよくならないどころか、ますますひどくなってくる。結局、救急で大きな病院に担ぎ込まれて、やっと間一髪で手術や入院できたというものです。
日本に来た外国人の中には、「日本幻想」のようなものがあると感じることがあります。曰く、「日本社会は安全だ」「日本人は人をだまさない」「日本人はお金をごまかさない」・・・など。その中に「日本の医療はすべての人に万能だ」という幻想もちょっとだけあったりします。だから、1度病院に行ってその薬で治らなかったら、たまたま担当した医師が悪いと思ってしまう。それで、別の病院に行くという悪循環です。しかし、それが必ずしも正しいとは限らないということがなかなかわかってもらえません。
普通は、まず薬を出して様子を見て、それでもよくならなければ他の原因を探して精密検査をして、手術などが必要な場合は紹介状を書いてもらってというのが日本での手順です。医師は預言者でもなく神様でもなく、一度で診断できるケースばかりではなく、注意深く患者を診ながら診断していくということを理解してもらうのが意外と難しいのです。
特に小児科は、子供の様子をよく知っていて、いつも診てくれる小児科の先生を近所に作ることが大切だと伝えるのですが、少し熱が出ただけでも大学病院の救急や一日かけて大きな病院に並んでしまいます。社会に慣れていないし、周りに相談できる人が少ないから加減がわかりにくいということもあるでしょう。
では、こういうアドバイスというか受診に関する相談はどこで誰にできるのでしょうか?
医療通訳者は、病院に来てからのお手伝いはできるのですが、その前の段階で困っている外国人患者さんはたくさんいると思います。ブラジル領事館の「DISQUE SAUDE」は電話でブラジル人医師と話ができる母国語ホットライン(0120-05-0062)です。AMDA国際医療情報センター(東京03-5285-8088、関西06-4395-0555)も電話で母国語での相談ができます。このようなシステムがそれぞれのコミュニティでできればいいのに・・・と願っています。
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IDの正体

2006-06-07 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
コメントを受け付けていないので、このブログに対しての質問やご意見を聞くことができなくて申し訳ありません。余裕がでてきたら、コメントを受け付けていきたいと思っているのですが、コメント返しが大変だというのは他のブログを見て感じているので、記事が定期的に書けるようになってからにしたいと考えています。ご理解ください。
ところで、IDのところにあるピンクの恐竜の写真について、たぶんみなさん疑問をもっていらっしゃるかと思います。えっ、疑問はない?それでも今日はその正体を種明かししておきますね。
普通、IDのところには、ブログ管理人の写真や似顔絵が入ります。もしくは、ブログのテーマに関係の深い写真になるのでしょう。
すみません。そのどれでもありません。このピンクの恐竜は「ファイティー」という名前で、日本ハムファイターズの元マスコット(昨年引退しました)です。私の趣味は野球観戦で、MEDINTの活動の入っていない週末(はもちろん平日も)球場に出かけています。5月も甲子園・広島・北神戸(2軍)・スカイマークとはしごしていました。パリーグの試合を見るのが好きで、日本ハムファイターズ(本拠地は札幌ドーム)をちょっとだけ応援しています。
昨年、北海道のNPOエスニコのシンポジウムに呼んでいただいたときは、すごくうれしかったのですが、残念ながらシーズンオフでした。今回、6月24日~25日の移住連の全国大会は札幌なのですが、残念ながら日本ハムは神戸で試合です。NGOの活動と野球観戦は両立が難しい(当たり前!)ですね。
IDの話に戻りますが、ブログのテーマが硬いので、少しだけ遊びをいれたいと思ったのと、管理人はどんな人かなと思った方に、このピンクの恐竜にシルエットが似ている(特におなか周り)とだけお知らせするために入れました(笑)。勝手に癒されてください・・って癒されませんか。
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